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読書『近代美学入門』
井奥陽子著『近代美学入門』(ちくま新書/2023)を読みました。一部で良書と話題ですが、美学の考え方の変遷が、すごく分かりやすく書かれています。美学の非専門家が読むには、十分すぎる内容です。目次を見たら、章立ては芸術、芸術家、美、崇高、ピクチャレスクとシンプルです。
僕は後半のテーマの崇高に関して、星野太著『崇高の修辞学』を睡魔と格闘して読んだり、そこそこ高値な桑島秀樹著『崇高の美学』をポチッて読んだり、E・バークの『崇高と美の観念の起源』にトライして挫折したり、グランドツアーの本まで探して読んだりしましたが、そんな労力を使わずにとも、全てこの本に、きれいにまとめて書かれています。当然、知らない情報もたくさんあり、有り難かったです。
後半の崇高とピクチャレスクも、すごく重要ですが、前半の技術が芸術になった変遷や、一部の職人が芸術家へと生まれ変わった過程。そして、美学らしく、美の概念の歴史的な変化など、このあたりの基本は、現代美術家も押さえておかないと、作品は作れないと思います。
まあ、その上で、著者も書いていますが、私たちが抱いている美や芸術についての常識は、近代ヨーロッパの作り出した価値観に過ぎない。それを知ることが、本書を読む意味でしょうか。僕の作品制作も、そこが出発点なので、いろいろと再確認することができて、このタイミングで読めて、有り難かったです。
#アートの思考過程
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