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クリスマスイブに契約書

意味の分からないタイトルになった。

昨日契約書を交わさせていただきました。
代官山のカフェの紙ナプキンにたった横線3本に日付のみ。
たったそれだけの契約書。
それをクリスマスプレゼントだと言っていただいた。
業務委託契約でも設計契約でもなんでもない、
そんな契約相手と契約書の話。

契約相手は尊敬する御年80を超える紳士。
出会ってから10年近くが経つ。
お会いする機会が自分にとって貴重で幸福、好奇心をくすぐられ、
いつでもなんでも考え実行するそのバイタリティ、人間性に尊敬の念が絶えない。
その方に対する興味が何より自分で楽しい。
丁寧な言動。柔らかい物腰。くしゃっとかわいらしい笑顔。
文化・芸術にも詳しく、自主出版で本をつくるほど
芸術的に思考と言葉を操る方。

(契約相手については、個別に書かせていただきたい)

・契約相手の紳士は、
いつか「あなた以上に美しい線を描く人を知らない」と、
自分に言ってくれたことがある方。
(出会ってから何度か言っていただいているのだが、恥ずかしいのか、会話に集中できていなかったのか、その方の別の言葉について考えていたのかわからないが、私自身が認識したのは今年の9月。。。)

デザインのためには線が必要だし、建築図面ならなおさら。
デザインしたいのが空気だとしても線を描かねばならない、
何かと何かを分け、形を与え、意思を表明する。
自分にとっては「線」は設計・デザインには不可欠な要素で。
尊敬する方に自分の線と「美しい」かつ「誰よりも」などと、
言っていただけたことに感動をしないはずがない。
(ぞくっとして、緊張したことを今でも鮮明に覚えている)

・契約日はクリスマスイブ。
今年の秋、彩りを感じる前から紳士の新事務所(大人の書斎)を
デザインさせていただいた。
無事に工事も終わり現地確認をいただいたのが昨日(クリスマスイブ)
出来栄えには大変満足いただいた帰り、
カフェに寄りコーヒーを飲みながら今後の動きやこれからの展望を話していた、そんな昼下がり。
紳士は話の流れでふと「間々田さん、線を引いてよ」と、おっしゃった。
スタッフに店の紙ナプキンを持ってくるよう優しく指示をした。

・試験の内容は線三本。
テーブルに置かれている紙ナプキンは、
普段ならコーヒーの汗を拭いてくれたり、テーブル、口元のトマトソースを拭ってくれる、心強くもはかない存在なのに!昨日ばかりはそうはいかなかった。
テスト用紙にしか見えず、前提が前提だけに緊張した。
いつもは鞄からすっと出てくるペンが出てこない!
ペンは紳士の内ポケットからすっと出てきた。(恥ずかしい限り。。。)
モンブランのボールペンは、きっと多分実質の質量よりも重たく感じていたであろうことは、想像に易い。
(キャップのマグネット着脱が心地よかったのは別問題)
紳士が好きな数字が「3」ということもあり、
自分は3本の線を描くことをすぐに決めた。
緊張しながらテスト用紙に漢字の「三」のように3本の線を描いて、
試験官に提出した。

・試験用紙は契約書となった。
紳士(=試験官)は笑顔で受け取り。
これは二人の契約書だねとにこりと言った。
その瞬間。紙ナプキンは試験用紙から契約書になった。
契約書の内容は、定期的に会いながら、
・社会に還元できるモノづくりをすること
・自分の想いを形にする話や相談をすること
と、口頭で決まった。
契約書の意味は、
「問題が起きた際にどちらの責任で何を行うかを明記することで、
それ以外に意味は特にない。」
と、教えていただいた。
そうだとすれば、この契約には何の問題もない。とも言える。
尊敬し信頼していただいている関係で、
問題があるとすれば、
互いの想像力と発想が、互いの心を打たなくなった時。
自分はこの契約を問題なく履行し続けるだけの存在であるだけだ。

それは、
何も契約に縛られるものではなく、
自分の目指す姿そのもの。
であるからだと、心を奮い立たせる瞬間だった。

そんな契約書を、こんなうれしいクリスマスプレゼントだと
おっしゃっていただいた紳士にはサンタの季節を問わず。
プレゼントを届けたいと思う。

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