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「ネコ乱」一周年ありがとう!

配信プラットフォーム「シラス」で、自分のチャンネル「菅浩江のネコ乱入!」をはじめて、一年になります。
どきどきはらはらではじめた配信が続けられているのも、ひとえに視聴者のみなさまのお蔭です。
今回は、まだ見たことのない方々にも触れていただきたくて、これまでのことを書きました。


シラスとは

 評論家・東浩紀さんが発起人の、批評媒体「ゲンロン」。東京五反田には「ゲンロンカフェ」というのもあって、積極的に交流がされています。
 そのゲンロンの流れで始まったのが、「シラス」です。

 YouTubeでいいじゃん、という考えの方が多いのは判ります。無料で好きな番組が見られますものね。
 けれども、です。

 のっけから話は少しズレますが、出版界では「再販制度(再販売価格維持)の瓦解」が問題になった時期がありました。
 それまで書籍は「定価」が基準。中古でない限り、出版社が決めた定価以外では売れませんでした。これは自由競争ではないため、独占禁止法に触れるのではないかという見解があり、見直しを迫られていたのです(「著作物」は独占禁止法1953年の改正で再販制度が認められています)。

 安くなるならいい、というのは消費者側に立ったときのみの考えです。
 たとえば学術誌。必要な人が少なくて売れないから、と、安くで売られてしまうと、研究者は生活できなくなってしまいます。
 エンタメ本にしても、ちゃんと売れる高い本を出せる作家ばかりがもてはやされ、実験的だったり新人だったりしてあまり売れない作家は、安くでしか売れないから出版しないでおこう、と敬遠されてしまいます。

 現在、出版の場合は、初版で○○部刷ったのが定価で全部売れると仮定して契約に定めた版権料が著者に支払われています。しかしこれは、売れなかったら出版社は在庫を抱え、倉庫代もかかり、結局は本を断裁(廃棄するために切り刻むこと)するしかないという、たいへん申し訳ない事態も招きます。

 では配信の場合はどうか。
 よくあるように、無料で「著作物(配信)」を発表し、確実に見てもらった分だけプラットフォームが配信者に支払う、という安全策が取られているわけですね。
 要するに、仮にとても専門的で有益な情報を出していても、宣伝が覚束なかったりそもそもそれを必要とする人が少なかったりして、ビュー数でカウントされてしまうとほとんど利益にならないのです。

 シラスは、全部が有料番組です。
 つまり、需要は低くても、絶対にその情報を必要とする人がいるのであれば、発信者には多少の収入になります。
 数千人の流し見勢は集められなくても、数十人がメモを取りながら見るような番組を作れば、そのぶんはちゃんと発信者にキックバックされます。
 収入が見込めるがゆえに、時間もそれ用に捻出できますし、さらなる情報提供の準備もできます。有料制は、結果的に視聴者が望む番組がますます増える仕組みでもあるのです。
 私のようなネームバリューや宣伝力に不自由な人間にとっては、とてもとてもありがたいシステムというわけですね。

怖くないよ~、シラスの登録

 シラスの番組を見ようとすると、まず登録を促されます。
 すべて有料であるからこそですが、最初にクレジットカード情報を入力しなければなりません。ここがたぶん、ハードルが高い。
 まだ何も買ってない、もしかしたら一本も見ないかもしれないものにたいしてカード情報を入力するんですから、気持ちは判ります。
 でも、安心してください。
 カード情報を入力しても、引落はいっさい発生しません。
 みなさんが実際に「この番組を買って見よう」とか「このチャンネルの月会員になろう」とかと決心してボタンを押さない限り、課金はないのです。
 注意点はハンドル名。一度入力すると変更ができませんので、慎重に決めて下さいね。

 登録だけしたら、二つの機能で番組を覗き見することをお勧めします。

冒頭無料

 配信時間や料金で違うようですが、多くの番組が冒頭を無料で見られるようにしています。私の場合は最大の30分を無料に設定しています。
 時間が来ると、料金を払ってこのまま視聴を続けるかどうかを訊いてきますので、ここまででいいやと思ったら、そこで止めてください。

ザッピング機能

 最近導入された仕組みです。
 生配信中に限り、お好きなところの 5分のみ、視聴できます。
 ブラウザのプレイボタンを押そうとすると、番組購入かザッピングかを訊いてくれますので、ザッピングを選んでください。そのチャンネルの雰囲気がよく判ると思います。……いや、たまたま雑談に突入してぐだぐだしてるとこにあたっちゃった、ってことがありますから、つまらなくても一回で諦めず、次の生配信でまたザッピングにチャレンジしてみてくださいね。

 登録すれば、様子も判るし確認もできる。相性も判るし雰囲気も知れる。
 そして、自分で決定するまでは絶対に課金はない。
 まずは登録してみてください。

番組単体買いと月会員

 気に入ったら、その番組だけ買うことができます。だいたい、数百円から千円ちょっとでしょうか。この状態でもコメントはできますので、お気楽に。
 また、チャンネルそのものが気に入ったら、月会員になったほうがお得です。「ゲンロン完全中継チャンネル」を除いて、高くてもせいぜい三千円くらい。月会員になると、過去のアーカイブが閲覧できるほか、「会員限定」放送が見られたり、私のように特典(作品講評)があったりします。
 番組を見てると、よく「延長」がかかります。番組買いの方々は数百円の延長料金が発生します(ボタンを押さなければ、そこまでで番組から離脱できます)。が、月会員なら無料で延長、というのも多いです。

 お金をいただくにふさわしい内容をお届けするという覚悟の発信者が、知に飢えたみなさまをお待ちしておりますので、ほんと、ぜひぜひ。

 下のリンク、番組ページの下の方にチャンネル一覧があります。
 哲学、うどん、植物、言語、音楽、美術、コミック……。硬軟取り合わせてさまざまな分野がひしめいているので、目移りしますよ。

「菅浩江のネコ乱入!」ご紹介

 私のチャンネルは、創作講座を中心にした内容です。
 分野としてSFに重心がかかっていますが、特にこだわらず、エンタメ全般について語っています。

配信中はかならずネコが乱入する

書く前に考える小説講座

 大事なのは、キャッチフレーズにもしている「書く前に考える小説講座」であること。
 小説でもアニメシナリオでもマンガでも、製作時間はバカになりません。
 それなのに、もともとの話(ストーリーや構造)が悪いと、その時間ごと無駄になってしまいます。もっとひどい場合は、作っているうちに破綻が出てきてしまって完成まで漕ぎ着くことすらできない。
 実際に製作に入る前にしっかり考えておきましょうよ、というのが、私の主張です。
 手慣れてきたら、計画や青写真がなくても書くことはできるでしょうが、まず最初はきっちり準備することから慣れようよ、というわけ。

 ストーリーには山や谷を設けましょうという超基本から、このnoteでもちょっとやった「物語をひねる」とはどういうことを求められてるのか。山と谷の差異があるほどカタルシスは大きくなるけど、ご都合主義には気を付けて。さらにもっと根本的に「テーマ」って考慮してますか? すべてがテーマのために奉仕してますか? でも遊びも必要でバランスが難しいね――などなど。

 手前味噌ですが、受講者のみなさまからは毎回いい反応をいただいていますから、これから見始める方にもきっと役に立つはずです。

自作解説・既存作品分析

「ここはこのつもりで伏線を貼った」「この描写があるから納得がいく」「カタルシスへ登り詰めるバランスはこうなっている」。
 作品を分析すると、著者がやろうとしたことがどのような効果を上げているかが判ります。
 漫然とお客さん(読者・視聴者)として楽しんでしまわない、のがコツのひとつ。

 そのためにネコ乱では、私の自作品解説だけではなく、小説、アニメ、マンガなどを題材にし、分析力も鍛えるようにしています。
 これまで、萩尾望都さんの名作「半神」や、「オッド・タクシー」「羅小黒戦記」などのアニメ作品、そして完結した「鬼滅の刃」と連載途中の「呪術廻戦」の構造分析比較にも取り組んできました。

 また、短詩型文学(俳句や短歌)、歌の歌詞など、短い文章が鮮烈な印象を与える様子も、一文一文の効果に注目してお伝えしました。

 見てくださっている方も役に立ったとおっしゃっていますが、実は、これをすることで私自身もずいぶん勉強になっています。今後も分析は続けていく所存です。

月会員限定・応募と講評

 月会員限定配信で応募URLをお伝えすることで、会員限定の課題に応募できるようになっています。
 梗概であったり、短い完成原稿であったり、描写力を磨くスケッチ描写であったり。課題はさまざまです。

 直近では、「発想力を磨く」目的で、道具を使ってミッションをクリアする、というのをやりました(改稿受付継続中)。この道具をどう使えばいいのか。道具の性能を抽象化して、あたりまえの発想から脱皮する、納得のいくリアリティラインを模索しつつ、人の心を掴む処理をめざす。
 発想力、と、言うは易く行うは難し。
 自分一人だとなかなかそこまで訓練できないので、みんなでやってみようかな、と思ったしだいです。

 応募していただいたものには、必ず朱筆を入れたり講評を言ったりします。強力な助っ人は、東京創元社編集社の小浜徹也さん。新人賞も手掛け、読書量もすごく、SFファン歴も長い小浜さんが、編集者の視線で適確な駄目出しをしてくださっています。これだけでも月会費の元は取れてあまりあることだと思いますよ。

雑談や朝配信もあります

 講座内容はかなりまじめにやっている反面、固いばかりでは疲れますよね。
 なので、仕事に使うツールの話や、書式のことなど、柔らかい周辺事情も随時お伝えしています。
 もっとくだけて、スポーツジムへ行くと気が晴れるよ、とか、このあいだ始まったアニメがイマイチで、みたいな雑談も。
 洗濯機が止まるのを待つ間に、30分ほど朝配信をしたりもしてます。もちろん短いぶん安いですので、通勤通学のときに音声だけでもどうぞ。
 配信の有無は、菅浩江公式LINEとTwitterでお知らせしていますので、どうぞよろしくお願いします。

https://lin.ee/d2okGCG   公式LINE
https://twitter.com/Hiroe_Suga_2nd  X(Twitter)

これまでの配信(抜粋 ほぼ新しい順)

  • 道具を使ってミッションクリア

  • 一人称での戦闘~京まふでの質問より

  • 朝配信~日常と妄想力

  • 日常と想像力

  • ★音声不調すみません★SF大会F-CON会場から!

  • 突発・CSIグレイブデンジャーの構造分析

  • 「タイトルと三行内容」~内容も織り込んでの感想

  • 朝配信~「ダンジョン飯」と「パリピ孔明」

  • 朝配信~タイトルについて

  • 突発だけどキャラ立ての話 ~お題箱より

  • 執筆ツール紹介

  • 鬼滅の刃と呪術廻戦 構造比較2

  • さらば宇宙戦艦ヤマト1978 ~ゲスト・氷川竜介

  • ショートショート講評

  • 鬼滅の刃と呪術廻戦 構造比較

  • お題箱回~途中で筆が止まっちゃう!

  • 魅力的なタイトルとは

  • カタルシスについて

  • お題箱より ~ネーミングなどなど

  • 誰が喋っているのか分からなくなる問題(2)

  • やけ突発!データが不思議なトビかたをしやがった!

  • 誰が喋っているのか分からなくなる問題(1)

  • 宇宙戦艦ヤマト1974 ~ゲスト・氷川竜介

  • キャラクターのこと~お題箱より

  • ラストをひとひねりしてみよう~appleさん回

  • 『誰に見しょとて』梗概検討回

  • 菅浩江×小浜徹也×遠野よあけ「特別企画 SFファンダムとは」 第2回

  • 800字梗概「春」

  • 厨二病的設定を活かしたまんまなんとかする!~2022/1/6続編

  • 菅浩江×小浜徹也×遠野よあけ「特別企画 SFファンダムとは」

  • 厨二病的ダメアニメをなんとかする

  • たった6行のリアリティ

  • 「もっとひねらなくちゃ」と言われたら

  • 米子映画事変特別配信

  • 写真課題講評

  • ガツンとくる言葉~歌詞と短詩型文学

  • 藍銅さん受賞おめでとう企画

  • オッドタクシー・羅小黒戦記、いろいろ教えて!

  • 【会員限定突発・課題を出します】

  • 「五人姉妹」自己解説と、アニメCMを例に舞台設定のことなど

  • 「半神」、トムジェリ&バックスバニーで構造解析。お題箱の一部にもお答えします。

  • 初回放送やってみる!みんな来てね。

 番組単体販売での人気は、やはり氷川竜介さんをお迎えしたヤマト関連でした。ほんとうに貴重なお話しをうかがえて、楽しかった!

 まだまだありましたが、アーカイブは半年で消えていきますので……。

 2022/10/20 には、小学校の国語の教科書に載っているものを題材に、YouTube、ニコ生、シラス、のサイマル配信をする予定です。
「ごんぎつね」「まいごのかぎ」「一つの花」を取り上げ、たとえば三人称で兵十とごんの両方の心理を書いている「ごんぎつね」を一人称で書けるのか、「まいごのかぎ」を一段上等にしている仕組みはどこにあるのか、などを検討します。

初のサイマル配信

 どんな感じかみてみたい方は、ぜひ無料部分でお確かめ下さい。
 そして、ぜひぜひ、シラスへのご登録、よろしくお願いします!


みなさまのお心次第で、この活動を続けられます。積極的なサポートをよろしくお願いします。