あの頃のインディーズロックシーンの思い出

私は観られなかったんですが、先日、オナマシのイノマーさんが亡くなられるまでの日々に密着した番組が放送されていたようで、TwitterのTLなどでも改めてイノマーさんを偲ぶ投稿をちらほら見かけたり、私がよく聴いているPodcast「ラジオ屋さんごっこ」でも取り上げられていたりということもあり、久しぶりにイノマーさんが2001年頃に企画・監修されていた「STREET ROCK FILE」という雑誌を引っ張り出してきて、あの頃のインディーズロックシーンについて、想いを巡らせていました。


2001年頃というと、2000年のAIR JAMにてHi-STANDARDが活動休止を発表するまでにメロコア系のバンド人気がピークを迎え、その後GOING STEADYや氣志團などのブレイクへとつながっていく、過去に最もインディーズロックシーンが盛り上がっていた時期かもしれません。

そんな時期にこの「STREET ROCK FILE」という雑誌は、発刊されました。
内容としては、主にその当時活躍していたバンドのインタビュー、バンド名鑑、イノマーさんセレクトの過去の名盤ガイド、そして付録として注目バンドの音源を集めたコンピレーションCDがついてくるというものでした。
その頃、まだ一家に一台というほどパソコンも普及しておらず、もちろんYouTubeなどもなかったので、アーティストをディグる方法といえば、CDショップの試聴機や、歌詞カードのスペシャルサンクスの欄に書いてあるバンド名を頼りに当てずっぽうでTSUTAYAで借りてくるぐらいしかなかったので、この内容はどれも非常にありがたいものでした。


創刊号が発売されたのは、写真の表紙からも分かるように、GOING STEADYやB-DASH、ガガガSP、氣志團などが注目され始めながらも、KEMURI、HUSKING BEE、BACK DROP BOMBなどAIR JAMに出演していた世代のバンドも根強く人気があった時期ですね。


その後、この雑誌は確か3か月に1回ぐらいのペースで定期刊行されるようになっていくのですが、徐々に「青春パンク」と呼ばれるGOING STEADYのフォロワー的バンドを中心に紹介する内容へとシフトしていったため、私はVol.4ぐらいまでで購入をやめてしまいました。

ですが、この雑誌を刊行してくれたイノマーさんのおかげで私の10代の楽しい音楽ライフを過ごせたのは間違いありません。なので、今回は「STREET ROCK FILE」を片手に、私が10代の頃に聴いていた音楽の思い出でも振り返っていこうかと思います。

1.スカパンク編
1999年、SNAIL RAMPというスカパンクバンドがシングル『MIND YOUR STEP!』を発表し、日本のインディーズ業界では快挙となるオリコン週間チャート10位という記録を達成。その後、当時の人気音楽番組「HEY! HEY! HEY!」に出演します。
その際のライブ映像を見て「うわっ、全部歌詞が英語や!テンポめっちゃ速い!観客めっちゃ暴れてる!何言ってるか全然わからんけどなんかカッコええ!」と衝撃を受けた私は、すぐに隣町のCDショップへ行ってこのシングルを買いました。いわゆる初めて買ったCDというやつです。
このSNAIL RAMPからインディーズロックの世界を知ったので、その後はSTREET ROCK FILEのバンド名鑑を頼りにまずスカパンク系のバンドのCDを中心に近所のTSUTAYAでレンタルするようになり、KEMURI、POTSHOT、SCAFULL KING、CHANGE UP、LIFE BALL、YOUNG PUNCH、3.6MILKなどをよく聴いていました。
POTSHOTのデビューアルバム「Pots & Shots」なんかは今聴いてもやっぱりカッコイイですよね。
その後、大学生ぐらいになると、少しオーセンティックよりのOi-skall matesにもハマりました。ちなみに当時Oi-skall matesでギターを担当していたのが、現T字路sの妙子さんです。

2.メロコア編
なんといってもこの時期シーンを席巻していたのはHi-STANDARDを中心としたメロディックハードコアと呼ばれるジャンルです。
私も御多分に漏れず、HUSKING BEE、BRAHMAN、NICOTINE、TROPICAL GORILLA、Captain Hedge Hog、BEAT CRUSADERS、NAVELなどは好んで聴いていました。

3.ハードコア・ミクスチャー編
私が高校生の頃、最もハマっていたのがTHE MAD CAPSULE MARKETSでした。
確かWOWWOWでフジロックかROCK IN JAPANの総集編が放送されていて、「TRIBE」から「PULSE」の流れがめちゃくちゃカッコよかくて、どハマりした記憶があります。
これをきっかけに、徐々にミクスチャーやハードコアと呼ばれるジャンルも聴くようになり、WRENCH、FC FiVEなどはCDも買い集めていました。
最終的に辿り着いたBREAKfASTは今でも聴いてます。最高ですね。

4.初期パンク編
ハマっていくにつれて、どんどん2000年頃よりも以前のインディーズロックシーンにも興味が湧いてくるもんで、THE STALIN、あぶらだこ、LIP CREAM、GAUZE、the原爆オナニーズ、NUKEY PIKESなどはCDも集めていました。
この辺のバンドのCDは、京都の寺町商店街にAvisさんというアングラなロックバンドのCDを多数揃えられているお店でよく探していたんですが、2017年に閉店されてしまったようですね。寂しいです。

5.ギャルバン編
おそらく今はあまり使わない言葉なんでしょうが、ギャルバン(ガールズパンクバンド)も結構いろいろ聴いてました。
中でもマサヨ、エナゾウ、キム☆リン、アヤ坊の4人で活動していた頃のロリータ18号は、映像作品までほとんど集めるぐらいハマっていました。オリジナル曲ももちろん好きなんですが、洋楽カバー曲がどれも秀逸で、特にThe Bugglesの「Video killed the radio star」のカバーは、傑作だと思います。
エナゾウ(エナポゥ)さんは脱退後、おでんくんの声優やPUFFYのサポートギターなどの活動をされてましたが、今はどうされてるんでしょうね。
この当時、ロリータ18号も所属していたBENTENレーベルというガールズバンド専門レーベルの活動が結構活発で、マミー・ザ・ピープ・ショー、ヌードルズ、Petty Booka(おぎやはぎ小木さんの奈歩夫人も在籍)とかも人気ありましたよね。
あとは、先述のOi-skallmatesのギターをされていた妙子さんが在籍していたDIESEL ANNというバンドもすごく好きでした。この当時から応援していた身としては、今のT字路sのブレイクはすごく嬉しいです。
他には、SOFT BALL、Yellow Machinegun、HOLiDAYS、ガールズバンドではないですが女性ボーカルのWATER CLOSETなども聴いてました。初期のSOFT BALLみたいな、英語拙い系の「こういうのでいいんだよ」っていうバンドは未だに探しています。

6.日本語ロック編
その他、今でもNUMBER GIRLは大好きですし、GOING STEADYも勿論聴いておりました。あと京都の浴衣ロックバンド鴨川(涙出るくらい懐かしい)とか。
当時「青春パンクバンド」と呼ばれるゴイステフォロワー的なバンドがどんどん出てきて一大ブームになったのですが、そっちは全然ピンときませんでした。でも、そういったバンドがMステのようなキー局の音楽番組に結構出てて、面白い時代だったなぁと思い出されます。

というわけで、イノマーさんの話から、私がよく聴いていたインディーズロックバンドを振り返ってみました。誰が興味あんねんの世界ですが、もしかしたら同世代で当時ロックが好きだった方には、懐かしんでいただけたかもしれませんね。
正直私は、当時、イノマーさんが書かれていた文章や、オナマシで発表されていた音楽は好きではありませんでした。
でも、イノマーさんが生み出された「STREET ROCK FILE」が、10代の頃の私の音楽経験を豊かなものにしてくれたことは確かです。
改めましてイノマーさんに感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?