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#8 これぞ幼馴染?

高校生になった私達。
私はなんだかんだNのことが忘れられなかったが、もうあきらめて、別の人を好きになろうと、なるべくNのことを考えないよう常に意識していた。
(その時点でNを意識していることは当時は気づいていなかった)

NはNで高校で好きな人ができたようだった。
だけど、彼も報われない恋をしているようだった。

中学生の時、リアルに俺の事を書くな!って怒っていた彼が、
自分では好きな人のことを綴っていた時は内心で笑っていた。

私は私で、高校は女子校だったが、部活は吹奏楽部はやめて、チアリーディング部に入部。
基本的に陰キャがあつまる公立の女子高の中でも、少しだけ派手な部類にいるようになっていた。
眼鏡だったのをコンタクトにした。片目だけ一重だったのを毎朝アイプチをして二重にした。
所謂「高校デビュー」を果たしたのだ。

ある日部活帰りに家路についていたら、乗り換えの駅のホームで高校生にナンパされた。
整った顔で、背も高く、嫌いじゃなかったし、何より初めてナンパされて嬉しかったので、連絡先を交換し、付き合った。
一つ年上の彼は、少しだけ大人に見えたけど、ちゃんとしたお付き合いをしたことのなかった私は戸惑った。何もわからなかった。

それでも、学校も部活も楽しく、彼氏もできて、高校生活をエンジョイしてる頃にはNへの想いは薄れていた。


ある日、地元の駅を歩いていると、後ろから私の名前を呼ぶ声がした。
Nだった。

帰るの?今日何できた?自転車?バス?

私たちのマンションは最寄りの大きい駅まで歩くのには時間がかかるので、
バスか、自転車が普通だった。

自転車だよー。

気まずさMAXだった部活を引退して、塾の時は多少会話したものの、
中学卒業以来まともに会話も連絡もとってないのに、
気さくすぎるだろお前。
と思ったが、正直、お互いのことは親から色々聞いているので、久しぶり感はないし、駐車場でたまに会ったりもしていた。

俺自転車こぐからさ!一緒に帰ろ!!

はにゃ?
さてはこいつバス代を浮かせたいんだな。

それまでに苦労してNへの想いを必死に隠そうと努力し続けた私は、
こういったひねくれた考えしかできないようになっていた。

いいけど。。。。

とだけ返事をして、一緒に駐輪場に向かい、Nがこぐ自転車の後ろに乗った。
当時はそこまでニケツ!ダメ絶対!な時代ではなかったので、普通に道を通って帰った。

初めてちゃんとみるNの制服の後ろ姿はかっこよかった。

にやけそうになるのを必死にこらえて家に帰った。


今思えば、
どんだけ甘酸っぺぇぇぇ青春してんだよ馬鹿野郎、もっとかみしめろや。
とウン十年前の自分を引っ叩きたいところですが、
当時はそれどころではなかった。

ドキドキするのを必死にこらえて、
好きになっちゃダメだ!好きになっちゃダメだ!
と碇シンジくんばりに唱えないとやってられなかった私である。



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