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【西の魔女が死んだ】感想

娘とふたりっきりの夏休み。
三週間近く盛りだくさんの夏休みを満喫し、
普段の土曜日のように、二人で家にいる。

娘は【You tube】。抑揚のないセリフでゲームをする映像が淡々と流れる。
テレビが取られているので、私はパソコンで映画を観ることにした。スクロールしながら、昔、観たいなと思っていたタイトルを見つけた。

【西の魔女が死んだ】

不登校になった中学生の女の子が、祖母の元へ預けられ、魔女の修行をするというストーリー。

私は、この映画に出てくるパッチワークの布団カバーや、木の椅子、手入れされた台所用具や、森や、地植えのワイルドベリーや、様々なものが気に入っている。

一週間で不登校になったマイ(主人公)の理由も共感できた。愛想笑いや、見え見えの仲良しごっこ。私も女子グループに「なんで、トイレに一緒に行かないとならないんだろう」と妙に反発した気持ちがあった。相手が、というより、無理やりに合わせる自分が気持ち悪かったのだと思う。

サチ・パーカーさん演じるおばあちゃんは美しかった。きっと、幸せなおばあちゃんだけど、孤独でもあったと思う。マイがいた日々が、孤独を感じさせたのかもしれない。後半、ささやかな幸福に包まれているはずのおばあちゃんが寂しそうに見えた。

魔女になるには、「自分で決めて、決めたことをやりとげる」ことが必要。
早寝早起きをして、ごはんを食べて、運動して。
普通のことだ。地味なことだ。

でも、私もその「地味な普通のこと」をしたくてここにいる。毎日、「地味で普通のこと」しかしてないけれど、そのささやかな出来事が私には幸せだ。意外とちゃんとやるのは難しい。

夫の靴を磨くのが嬉しい。「あ、ありがとう」と少し嬉しそうにする彼の顔を見るのが嬉しい。娘の笑顔が嬉しい。
洗濯物がパリッと乾くのが嬉しい。お日様で乾くのが嬉しい。贅沢言えば、映画のようにラベンダーとお日様の香りがしたら最高だけど。

おばあちゃんは、魔女だった。みんなを幸せにする魔女。
心に灯りを灯せる魔女。
人間の魔女。

人間だから、死んでしまう。
両親のそのときを思うと怖い。きっと、現実はこの映画のマイと同じように「ああしておけばよかった」と後悔を持ってその日を迎えるのだろうと思う。号泣するのだと思う。
両親が「幸せな人生だった」と思って安らかであって欲しいと願う。

私は、「おやすみ~」と言って、お布団に入ってまたは、センキチさん(突然、半分青い)のように昼寝をしながら、安らかに死にたい。できれば、家族のそばで、みんなに「ありがとう」と思いながら、西の魔女のように、愛している人にこっそりメッセージを残して。

それまでは、小さな魔法を使えるように、日々修行するのみだ。

そうそう、エンドロールに流れる手嶌葵さんの「虹」は、出だしでハッとして、じわじわと染みてくる。素敵な声だ。ぜひ、最後まで。



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