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「復活」取り止めも無いメモ

〈上〉
歯の欠けたような月

俺たちはこの若者を現在のような境遇に落とした原因を無くすように努力する代わりにこの若者を罰することによって事態を改善しようとしている

このような恐るべき状態や、人間の感情に対するこのような愚弄に誰も侮辱を感じていないことに、彼はびっくりした。

精神的な嘔吐感が彼の心を捉えていた。

「あんたはあたしをダシにして、救われようとしているのよ」

世間に最も流布されている迷信の一つは、人間というものはそれぞれ固有の性質を持っているものだということである。すなわち、善人とか、悪人とか、賢人とか、愚者とか、精力的なものとか、無気力なものとかに別れて存在していると言う考え方である。そういう時が多い、少ないかだけのこと


(下)

わざと痛いところを狙って触られたような気がするものである。しかし、そう思われるのは打身の場所だけが特に痛みを強く感じるからである。

悪い行いは後悔しくり返さぬようにできるが、よくない考えは全てのよくない行為を生み出す

1 罪のないのに誤審で投獄
2酒や嫉妬、逆上によるもの
3密売や、盗みで生計を立てる人
4賢いが故に権力に逆らう
5むしろ社会の方が遥かに彼らに対して罪がある 絶え間ない迫害と誘惑のために痴呆化 社会の外に見捨てられた 生活条件が組織的に彼らを犯罪と呼ばれる行為へ追い込んだ
遠い過去において彼らの両親や先祖に対して罪を犯している

「どんな泥棒だって、盗みは悪いことだ、盗みはしていけない、盗みは不道徳だ、ということくらいは知ってますよ。」
「いいえ、知らないのです。盗んではいけないと言うことは聞いてますよ。しかし工場主が彼の賃金を削り取って、彼の労働を盗んでいることも、大勢の役人を抱えた政府が税金という形で絶えず彼の金を盗んでいることも、ちゃんと見抜いて知っている」

我々地主は遠い昔から公共の所有であるべき土地を奪ったことも知っていれば、連中がこの盗まれた土地からペーチカのため枯枝を集めるとたちまち刑務所へ放り込まれてお前は泥棒だと言われ自分にもそう思い込ませようとすることを連中は知っている。取り返すことが家族の義務だということも知っているのですよ。

これらの連中は明らかに、勤務しているというただそれだけのために最も素朴な同情の念に対しても不感症になってしまったのだ。〜ちょうどあの舗装した土地が雨を通さないのと同じように。

あの連中が掟でもないものを掟と認め、神自らが人間の心に書きつけた永遠に変わることのない否定できぬ掟を、掟と認めていない

他人に対する行為の責任は決して個人として彼らに降りかからないように一つに結びつけることである

私はあの判決を宣告されて泣いていたけれど でも今は一生神様にお礼を言わなくちゃいけないんだわ だって、一生かかっても知ることのできないようなことを知ったんだもの

あれは慈善というスポーツに熱中しているのだ、といったことがある この評はあたっていた。

猟師が獲物を探すように、他人への奉仕する機会を発見することに集中されていた

他の人々に見えないことが見える俺が気違いなのだろうか、それとも俺の見ているようなことを平気でする彼らの方が気違いなのだろうか。

極度に凝縮された堕落と悪徳を作り出して、そのあとでこれらを民衆の間に大大的に広めるために故意に考え出された機関であるように思われる。「どうしたら最も有効確実な方法でできるだけ多くの人々を堕落させることができるか」

堕落の黴菌を世間へ撒き散らすために釈放される

ただ人々が常に自分を神に対して罪深いものと認め、従って他人を罰したり強制したりする資格のないことを認めさえすればよい

《あなた方は何世紀にもわたって犯罪者と認めたものを罰し続けてきましたが、果たして犯罪は絶滅したでしょうか?どうです、絶滅しましたか?いや、絶滅するどころか、かえって刑罰のために堕落させられた犯罪者と、のうのうと他人を裁いたり罰したりする判事検事予審判事看守などという新しい犯罪者のために、その数はますます増加しているじゃありませんか》

一般に社会や秩序が存在しているのは、他人を裁いたり罰したりしているこれらの合法的犯罪者がいるからではなく、むしろこうした堕落した現状にも関わらず人々が互いに愛し合い、憐れみあっているおかげなのだ、と今やネフリュードフは語ることができた。

いつも感動を覚える山上の垂訓を読んだ時、その大半が極端で実行不可能な要求を提出している抽象的な美しい思想ではなく、現実に実行できる単純で明快な戒律を見出したのであった。

あれほど憤慨させた暴力も一人でに消滅してしまうばかりか、人類の到達できる最高の幸福ーこの地上における神の王国が実現されるのである。

五つの戒律 480〜

1殺しても怒ってもいけない
2姦淫してはいけない 女の美しさを楽しんではいけない 一人の女と結ばれたら裏切ってはいけない
3どんなことに対しても誓いを立てて約束してはいけない
4目には目を報いてはならず、右の頬を打たれたら左の頬を差し出す 侮辱を許し心静かにそれを忍び人に求められた時は断ってはいけない
5敵を憎んだり戦ってはいけないばかりでなく敵を愛し助け奉仕してやらなければならない

神の国と神の儀を求めなさい、そうすれば他のものは一人でに与えられるであろう。ところが、われわれはその他のものばかりを求めているから、それを見出すことができないのも無理はない。

デカダンへの批評

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