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怒った

電車で、無理矢理降りる人にぶつかった。
道で、すれ違う人に故意に肩をぶつけられた。

追いかけて、やり返そうと思った。でもやらない。
「ああ、動物なんだな」と思うことでやり過ごした。

今まで怒ることは幼稚な行為だと思っていた。でも、行き場を失った刃は自分に刺さることにも気がついた。全ての人に優しさを与えようとして、気がつけば、ごめんなさいと口走りそうになっていた。

いっそ、誰かに突き立てたほうが楽だ。自分の安全を確信し、怒りをぶつける。それほど自分の価値を感じることはない。

どれだけ知恵を重ねても、沸き立つ怒りは動物と変わりがない。それを押し殺すこともやはり良くない気がする。言葉に出さなくとも、受けた暴力に屈してはいけない。こいつが間違っているのだという信念を持たなければならない。

全ての人と分かり合いたければ、分かり合おうとしない人とも分かり合わなければいけない。不可能だ。

答えは出ない。知恵を付け、関心を捨て、踏み潰すしか方法がない。

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