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「TOKYO NIGHT PARK」 瀬尾まいこさん対談 HIROBA編集版 前編

作家の瀬尾まいこさんを迎えたJ-WAVE「TOKYO NIGHT PARK」の対談。
書くこと、つくること、それは誰のため?
文学や音楽を通して人とつながる、かけがえのない価値について考える。
前後編のHIROBA編集版としてお届けします。

【前編】音楽なしでも生きていけますか?

水野 今回のゲストは、作家の瀬尾まいこさんです。

瀬尾 よろしくお願いします。

水野 はじめまして。リモートではありますが、お会いできて光栄です。

瀬尾 こちらこそ。

水野 J-WAVE「GOOD NEIGHBORS」の企画で、瀬尾さんが書かれたエッセイをクリス智子さんが朗読され、そこにHIROBAとして音楽をつけるというかたちでご一緒させていただきました。

注釈:「GOOD NEIGHBORS」のリーディングコーナー「TABLESIDE STORY」にて、瀬尾まいこさんが書かれた食を通して紡がれる4篇のオリジナルエッセイをクリス智子さんの朗読で2019年8月26日から4日間にわたってオンエア。

瀬尾 はい、ありがとうございました。

水野 曲はいかがでしたか?

瀬尾 すごく素敵でした。軽いエッセイが重厚感のある印象になって。

水野 ありがとうございます。いわゆるBGMをつくるのが初めてで。

瀬尾 そうだったんですね。

水野 クリス智子さんの声を含めて、エッセイから醸し出される雰囲気をどう拾ったらいいのか少し迷ったりもして、なかなか難しかったです。ご自身の作品が朗読されるのは、どんな感覚ですか?

瀬尾 クリス智子さんの穏やかな声が音楽に乗って流れてきて、自分の書いたものではないような気がしました。

水野 文章を書いているときは、音はあるものですか?

瀬尾 ないですね。無音で仕事をしています。

水野 音楽があると気が散ってしまうというか。

瀬尾 そうですね。誰もいない、何も音がしないところで書いています。

水野 書いているときは、どんなイメージが湧いていますか?例えば食事のシーンなら、食事の感覚とか。それとも、本当に文字だけの世界なのか。

瀬尾 イメージが浮かんでいるときもあれば、ないときも…その時々ですね。

水野 僕らが曲を書くときには、例えばタイアップ曲だと細かな注文をいただくんですね。そこからイメージをつくっていって、「このシーンなら、こんな曲が流れたら感情が高まるんじゃないか」というような考え方をします。でも、文章を紡いでいく思考回路は、音楽とはまた違うような気がしていて。もともと文章を書き始めたきっかけは何だったんでしょうか?

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