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AFTER TALK with YOSHIKI MIZUNO

2019.11.24

AFTER TALK with
YOSHIKI MIZUNO

阿部広太郎

グラウンドからの帰り道、無言。
いま、なんと声を掛けたら、
後輩の表情が明るくなっていくのか、
スパイクの音だけがひびく静かな時間、
ずうっと考えていた。
十代の頃、スポーツをやっていた頃から、
考えることを止めることができない。

言葉の仕事をしている今、
以前よりも、より意識的に、
いちいち考えてしまう。
どうしてなのか。
どうしてそうなるのか。
どうしてそうしているのか。
いや、なんにもないかもしれない。
「すべてのことには意味がある」
このフレーズを思い出しては、
考えることを止めることができない。

はじめてお会いした水野良樹さん。
どうにもはじめてな感じがしなかったのは、
テレビやウェブで何度もお見掛けしていたから、
というのはもちろんあると思うのだけど、
ことばに対する向き合い方に
共鳴していたからかもしれない。

自分の考えを押し出すよりも、
相手と自分の重なりを見つける。

「おー、なるほど、わかります」
と言いながら、心の中で、
(えっ、ですよね、僕もです)
と、握手したくなる勢いだった。

水野さんがHIROBAをはじめた理由。
「気づいたらはじめていた」
という一面もあるだろうけれど、
どうしてもそこを知りたくなった。

HIROBAと題したこの広場は、
何が広がっていくんだろう?
僕が「広太郎」という名前なのもあり、
広がりという概念は気になってしまうのだ。

会話しながらたどりついた、
「いっしょにを、広げよう」
その言葉を見つけたとき、
気球がゆっくりと空を昇っていくように、
その言葉から広がるイメージを、
ふたりして味わったような気がした。

今、こうしてひとりこの文章を書いてる時、
HIROBAのサイトには「with」という文字が、
いくつも並んでいることに気づき、
おっ、と静かに驚く。

「これからwithの時代がくる」
と言うとちょっと大げさだけど、水野さんは、
いっしょに、の可能性を広げようとしている。
一人から生まれるものを信じた上で、
二人だからこそ、三人だからこそ、チームだからこそ、
そこから生まれるなにかを見つけたいのではないか。

それが答えなのかわからないけれど。
「答えはあるようでない。答えは育てていくもの」
尾崎豊さんの言葉を思い出す。

なにかを企てる時は、
心地よいこじつけが必要だと僕は思う。
偶然が、必然にむすびつくような手書きの線を。

水野さんとこれから何をいっしょにできるだろう?
広がるイメージを眺めるのが楽しくて僕は、
考えることを止めることができない。

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