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読む『対談Q』吉田尚記さん(アナウンサー)「どうしたら”圧倒的な情報収集”ができるのか」前編①

HIROBAの公式YouTubeチャンネルで公開されている『対談Q』。こちらを未公開トークも含めて、テキスト化した”読む”対談Qです。

今回のゲストはアナウンサーの吉田尚記さん。

顔が似すぎている、ふたり


水野
:対談Qの時間でございます。今日のゲストはアナウンサーの吉田尚記さんです。よろしくお願いします。

吉田:(動画を)観ているひとが、顔似すぎてない?って思っていると思う。

水野:ははは。

吉田:似ているんですよ。ちょうど一昨日、スターダストという、ももいろクローバーZの皆さんとかが所属している芸能事務所のイベントがあって。司会をして。イベントの最後の曲が「We Are "STAR"」。

水野:あー、僕が作らせていただいた。

吉田:そうなんですよ。あの曲がいかにスターダストファンに刺さっているか!

水野:ああ、それはどうも…。

吉田尚記

ニッポン放送アナウンサー。
1975年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。
2012年第49回「ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」受賞。
「マンガ大賞」発起人。
『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)が13.5万部を超えるベストセラーに。ほか、コミュニケーションからメディア論、アドラー心理学、フロー理論などについて10冊以上の著書(共著含む)があり、2022年1月に医師の石川善樹氏とのウェルビーイングについての共著が出版予定。

吉田:あれのメイキング動画で水野くんも出てくるでしょ?

水野:スタジオで指示を出しているシーンですね。


吉田
:そうそう、水野くんが、ももクロのメンバーたちに挟まれてる写真があって。僕、ももクロ周りで「ごぼう」って呼ばれているんですけど。

水野:あだ名でね。

吉田:そう。黒くて細くてめんどくさいって。

水野:いやいや(笑)

吉田:それで「なんでごぼうが写ってるの?」って、ファンの方々のあいだで、書かれて。

水野:僕も言われました。「ごぼうがいる」って何のことか一瞬わからなかったですけど。

吉田:ももクロファンからも「似てる!」って思われてるんだよ。

水野:(笑)なんなら実のご兄弟よりも僕のほうが…。

吉田:似ていますよ。弟より絶対に似ている。ごめんなさい、似ているってだけで、こんなに話して。

水野:これで、みなさんわかると思うんですけど、吉田さんは喋るんですよ。まぁそれがお仕事なんですけど。

吉田:まぁね。

水野:とんでもない文字量をいつも喋るので、今日のテーマはこちらです。「どうしたら“圧倒的な情報収集”ができるのか?」。なぜそんなに色々なことを知っていて、なぜそんなに早いスピードで喋れるのか? 

「どうしたら“圧倒的な情報収集”ができるのか?」


吉田
:まぁ後者はね、トレーニングせざるを得なかったところはありますよ。でも集めているつもりは、ないんですけど。情報収集したいって思う?

水野:勉強はしたいじゃないですか。吉田さんみたいに物知りになりたいなとか。好奇心をずっとドライブさせたいなとか。どうやって好きなものに向かい合っていくんですか?

吉田:多分、自分の人生を振り返ると2回ぐらい転機があると思うんですよ。こうなるまでに。

水野:ああ。

吉田たとえば開いていない箱があったとするでしょ。それを「開けちゃだめ」って言われるのが、むちゃくちゃツラいタイプなんですよ。

水野:絶対見なきゃ嫌なタイプ。

吉田:見たい!って思っちゃうの。大きいつづらと小さなつづら、どっちを見る?って言われたら「両方」って思っちゃう。

水野:ははは。知らないことがあるのが嫌なんですか?

吉田:知らないことがあるのが嫌なのかな。でも、まず「自分はそこを知らない」ってことに気づいてないじゃないですか。知らないときって。

水野:ああ。

吉田:浦沢直樹先生の『パイナップルARMY』って漫画があって。

 吉田:傭兵を育てる教官が出てくるんですよ。で、傭兵にいくつかランダムに、積み木みたいなものが入った箱を渡して「この中に爆弾がある」と。「どれが爆弾だと思う?選んでみろ」って言って、みんながバーッと積み木を選んで置いていくのね。

水野:はいはい。

吉田:「じゃあ一斉に爆発させるぞ」ってバーンッ!ってやったら、積み木じゃなくて箱が爆発する。

水野:ははは。積み木じゃなかったんだ。

吉田:そう、箱という要素に気がついていない。つまり、目の前につづらが置いてあっても「つづらについて何も知らない」という問いが見えていない。

水野:なるほど。

吉田:すごい勢いでメタなところ行っていますけど、大丈夫ですか?

水野:すごいスピードですけど、わかります。問い自体にさえ気づいてない。

吉田:そうそう。問いを立てないと何もそこから引き出すことができない。自分はその「問いを立てる」ってことはそんなにうまくないのかなっていうのが、子どもの頃、少し思ってましたね。

水野:そうなんですか。

吉田:中高に行ったら、頭の良い奴らがいっぱいいたんですよ。そうすると、もう知らないことが恥ずかしくなくなる。で、すごいやつほど、自分が知らないことを恥ずかしがらない、悔しがらない。

水野:へぇ、あんまり気にしない。

吉田:それを見て、あ、知らないことは恥ずかしくないぞって思って。何かあったら「知らないですけど、こういうことですか?」って平気でひとに聞くようになったんですよね。

水野:そこのハードルがないんですね。

吉田:ないです。知らないことが恥ずかしくない。(この収録時は)ちょうど昨日、選挙があったんですけど。今回の選挙に関して、選挙のシステムを完全にわかっているかというと、わかってないなと思いながら見ている。

水野:でも伝える側になっちゃったりするじゃないですか。

吉田:伝える側になるときは、ここまではわかっていないと仕事にならないというところは、仕事のために必死にやります。

水野:まぁ、そうですよね。

吉田:選挙特番でナントカ党の担当になったと。この党の支持母体は?みたいな。そういうときは一気に問いが立つんですよ。この党ってどうなってるの?って。そういうときに、上手な問いの立て方、効率的な問いの立て方を覚えて、一回身につくと、あとで他のことを知るときに役に立ったり。

クイズ王たちの不思議な”いい加減”さ


吉田
:あと、もう一個の転機が、伝える仕事に就くと、異常にものを知っているひとたちにも出会うわけです。いちばん典型的なのはクイズ王たち。クイズ王のひとたち、みんな超いい加減なんですよ。

水野:どういう意味でいい加減なんですか?

吉田誤解を恐れずに言うと、みんな、めちゃくちゃ“ノンポリ”なんですよ。右とか左に偏っているひとがいない。

水野:へー。おもしろい。

吉田:なんでかっていうと、なんらかのことを圧倒的に信じてしまっているって、自分の情報収集に見落としがあるっていうことの証明になっちゃうんですよ。偏ってしまうということは。

水野;なるほど。

吉田:いろんなことをフラットに知ろうとすると「うん!すべてのことを知るのは無理だな!」って結論になる。ある方向に偏らない。逆に言うと、言われたことを、みんなどんどん身に着けていく。それで、すごい知識網ができちゃって。

水野:スポンジのように。

吉田:でね、そのひとたちが最終的にたどり着くのってなんだと思います?

水野:なんですか。

吉田:みんなオカルト大好きになるんですよ(笑)

前編②につづく…


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