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HIROBA公式マガジン

水野良樹(いきものがかり)の実験的プロジェクトHIROBAの公式マガジンです。毎週金曜日にラジオ的長文コラム『そのことは金曜日に考えるから』が更新されます。その他の記事も随時更新…
ソングライター水野良樹が主宰するHIROBAの公式マガジンです。HIROBAは『つくる、考える、つ…
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#水野良樹

読む『小説家Z』 水野良樹×珠川こおり 第4回:考え直す作業が入るのも、エンタメの一種なのかもしれない。

エンターテインメントには憧れます。 水野:これから、どんな作品を書きたいとかってありますか? 珠川:うーん、ちょっと『マーブル』は踏み込みすぎたなって。 水野:あー、そうですか! 珠川:ありがたいことにもうすぐ発売なんですけど、炎上するんじゃないかなとか不安になっちゃって。1作ぐらい、もうちょっと気楽に。いや…でも、書くんだったらやっぱり何かしら自分の思っていることを、見つめ直したりとかしたいなと思ったりもしますし。せっかくの作品なので、いろいろ考えちゃいますね。

読む『小説家Z』 水野良樹×珠川こおり 第1回:書いているときには映像が流れている。

書いたときの自分の考えや気持ちが変わっていくのがおもしろい。 水野:小説家Zです。小説家のみなさんに、どのように物語を作られているのか、なぜ物語を書いているのか、ざっくばらんに伺っていきます。今日は珠川こおりさんにお越しいただきました。よろしくお願いします。 珠川:よろしくお願いします。 水野:やっとお会いできました。なぜ水野と珠川さんが繋がっているかと言いますと。珠川こおりさんが初めて出された小説『檸檬先生』という作品。今、重版が続いてまして、もう7刷目ですか? 珠

読む『小説家Z』 水野良樹×珠川こおり 第2回:言ってしまえば、押しつけたくないので。

「スイカが嫌い」というAさんの一部分。 水野:他者ってどういうふうに捉えています? 珠川:他者ですか? 水野:『檸檬先生』の「共感覚」もそうだし、新作『マーブル』も、主人公が自分の弟に対しての想いが強くて、弟の幸せのために干渉してしまう。それはどちらも「わかりあえない他者」みたいなものを提示されている気がしています。珠川さんは、自分以外の人間ってどう捉えていらっしゃるのか。 珠川:そうですね…。他者は、わかりあえないものだと思っているんですけど。『マーブル』に関してい

読む『小説家Z』 水野良樹×珠川こおり 第3回:書いているときと推敲しているときの自分は、違う自分。

融合している音楽。 水野:小説以外のことも、いろんなことがお好きだと伺っています。音楽も好きだと。 珠川:でも素人なので、本当に。 水野:何がいちばん好きですか? 音楽、美術、文章。文章も小説があったり、詩があったり。 珠川:えぇー。どれも好きなので…。でもずっと音楽をやってきたので、音楽はやっぱり好きですね。 水野:音楽と小説、魅力が違うとしたら、どこが? 珠川:根本的に長さが違うっていうのは、大きな違いですかね。でも結構、混同して考えちゃいがちなので。 水野

読む『小説家Z』 水野良樹×加賀翔 第4回:やらざるを得ないタイプの人間。

「ちょっとおかしいぞ、あの水野ってひと」 水野:リンクするのかわからないけど。僕もなんかやってないとダメな人間なんですね。 加賀:嬉しいですね。絶対にリンクする。 水野:「なんかやってないと俺はダメなんだ」って思っちゃうタイプ。練習するとか、本を読むとか、「何か行動を起こしてないとダメだろう」っていう強迫観念があることに最近気づいたんですよ。 加賀:でもちょっと水野さんを見ていて、すごすぎるとは思っているんですよ。その…量が(笑)。 水野:(笑)。 加賀:量も質も

読む『小説家Z』 水野良樹×加賀翔 第3回:「ちょっとでもおもしろくなりたい」って気持ちが、いつのまにか仕事になっていた。

「もうあんたは固定!お笑いでいってください!」 加賀:こんなこと水野さんに言うのは恥ずかしいんですけど。ポジティブないきものがかりさん、ずっと好きで。中学のときとか、ストレートに前向きなことを言うのって難しいと思うんですよね。避けがち。逃げちゃう。もちろん自分も斜に構えていた時期ありましたし。でも、王道のど真ん中で戦っているのが、すごくカッコよくて。そういう感覚があるので、自分もすかさないようにって。 水野:身につまされるなぁ。なんで加賀さんがお笑いにいったのか、芸人

読む『小説家Z』 水野良樹×加賀翔 第2回:ひとの神輿を担いでいきたい気持ちが強くなった原体験。

カメラマンとアシスタントのやり取り。 加賀:水野さんはフィクションというか、小説の主人公は自分じゃないし、自分の経験ではないことを書かれているじゃないですか。 水野:はい。 加賀:だから感動してしまったし、キツかったんですよ。エピローグ前の最終章とか、桜木がこう…。どこまで言っていいのかですけど。「あぁ…聞かずに…」というか、「どっちなの…!?」っていう。これが泣いてしまった。でもよかったなとも思える。どっちとも取れないけど、でも物語としてすごくおもしろかったです。

読む『小説家Z』 水野良樹×加賀翔 第1回:親父から電話がかかってきて、「小説読んだで」って。

コントを書くとき、台本は書かない。 水野:さぁHIROBA、小説家Zです。今日のゲストは初めての小説『おおあんごう』を出版された、かが屋の加賀翔さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。 加賀:よろしくお願いします。かが屋の加賀と申します。凄まじいところに呼んでいただきました、本当に。 水野:この番組は、僕のプライベートスタジオで収録しているんですけど。もう入って来るなり、加賀さんがスタジオを褒めてくださって。 加賀:いやいや。 水野:なんなら僕の活動まで褒

読む『対談Q』 水野良樹×東畑幸多 第4回:最後は感動のストックが役立つし、人生的にもおもしろい。

自分が何に心を動かされるかを知る。 東畑:自分が何に心を動かされるかを知るって、楽しい行為というか、趣味として感動を集めていると思うんです。たとえばM-1で去年、錦鯉さんが優勝して、Twitterに「ライフ・イズ・ビューティフル」と書かれて、おじさんふたりで抱き合っているみたいな。ああいうものに感動する。パブリックイメージと違う姿が見えるというか。 水野:はい。わかります。 東畑:あと、宇多田ヒカルさんの最近のジャケットで、お子さんが見切れているみたいなものがあったんで

読む『対談Q』 水野良樹×東畑幸多 第3回:広告は賑わいを作るのが存在意義。

本物の笑顔はひとに力を与える。 水野: 僕、震災のときにJR九州の新幹線のCMを観て、思わず泣いてしまったんですね。で、東畑さんに会うので久しぶりに観たんですよ。やっぱり泣けるんですよ。状況が変わっても、自分の人生が変わっても、あるいは社会状況が変わっても、変化しない感動がある。あそこには普遍的な何かがある。 東畑:2回作れと言われても、作れないものってあるじゃないですか。いろんな偶然も重なって。それに近いものですね。ただ、本物の笑顔はひとに力を与えるんだろうと思います。

読む『対談Q』 水野良樹×東畑幸多 第2回:説明できないような3%を意図的に作っていく。

HIROBAの公式YouTubeチャンネルで公開されている『対談Q』。こちらを未公開トークも含めて、テキスト化した”読む”対談Qです。 今回のゲストはクリエイティブディレクターの東畑幸多さんです。 時代の後ろ側を歩くひとに寄り添う想像力。 東畑:企業広告をずっと作っているんですけど、少し前は、「時代を変える」とか、「世界を変える」とか。 水野:どーんと。 東畑:そうなんですよ。時代の先頭を走りたがっていたんですけど。今って大きな規模が信じづらい時代だなと思っていて。

読む『対談Q』 水野良樹×東畑幸多 第1回:ひとを思う時間がお金を思う時間より多くあるべき。

会社をやめるのはめちゃくちゃ怖かった。 水野:対談Qです。ひとつの「Q=問い」についてゲストの方に一緒に考えていただきます。今日は、クリエイティブディレクターの東畑幸多さんにお越しいただいています。よろしくお願いします。 東畑:よろしくお願いします。 水野:お会いするのが5年ぶりぐらいです。東畑さんが電通から独立されて。しかも新たな試みをスタートされたのを拝見して。ちょっと通ずる部分があるんじゃないかなと思ってお呼びしたんですけど。なんか…緊張しますね(笑)。 東畑:

読む『対談Q』 水野良樹×柴田聡子 第4回:小さいものを、反転させたら、広い。

誰にもなれないけど、あっちも私になれない。 柴田:どんどん自分が小さくなっていく感じはしませんか? 歴史のなかの点にも満たない、すーごいチリ。 水野:それはどういう感覚なんですか? 柴田:すごーい小さい点だから、まぁ土の一個として、ちょっと役に立てばいいかなぐらいの抜け方というか。そうなると、生きていることとかも本当にこだわりがなくなってくるというか。 水野:はいはいはい。 柴田:今、自分に家族とかもいなくて、自由気ままにやっている。そうなると、この短い一生を、音楽

読む『対談Q』 水野良樹×柴田聡子 第3回:今、思春期かもしれない。

「受け止めるよ」っていう手のデカさ。 柴田:人間を超えていくひとって、いっぱいいるじゃないですか。 水野:そうそうそう。スーパースターの方って超えていっちゃう。 柴田:あれはもう人間の何かを脱ぎ捨てないとできない。 水野:『クリスマスの約束』という小田和正さんの番組があってですね。 柴田:はいはいはい、知っています。 水野:2009年に、みんなでメドレーをやる企画があったんですよ。そのとき初めての試みで。それぞれ自分の代表曲をメドレーで歌い合って、全員でコーラスし