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イノベーションについての駄論と雑論

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最近世間で話題のイノベーションについてのコラムです。景気の悪くなった今になってイノベーションを実現しようと必死になるのはなんか格好悪いですね。ビジョナリー・カンパニー衰退の第四段…
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#デザイン経営

デザイン外注でデザイン経営は実践できるのか

結論からいうとできない。外注のデザイナーが経営の根幹に関わるような提案をした際に快く採用する経営者がいないからである。デザイン経営に必要なのは経営者の覚悟である。 デザイン経営とはデザイン経営とは、経済産業省と特許庁が提唱する新しい経営コンセプトで、デザイン(ビジネス課題を創造的に解決する行為)を実践できる組織体制を経営者が整備することにより、企業のブランド価値向上とイノベーション実現の両方が実現する、というものである。 ブランド価値向上は、サービスデザインの実践によって

イノベーションは顧客から、でしょ。

意味のイノベーションの実現困難性 最近流行りの「意味のイノベーション」という言葉の意味を知るために「突破するデザイン」という本を読んだ。意味のイノベーションとは要するに「コモディティ化した商品に新しい意味が与えられることで、新市場が創出されること」という意味である。典型例として、かつては照明器具だったロウソクが癒しアイテムとして認識され市場拡大している事例が挙げられている。おおむね同意である。 しかし気になる点もある。意味のイノベーションを起こすプロセスの起点は自分の想いや

シリアル・イノベーターという超人待望論

結論から言おう。超人など存在しない。多様な才能を持った凡人達が結集することでシリアルイノベーションチームとなることを目指すべきだ。 シリアル・イノベーターとはシリアル・イノベーターとは、アビー・グリフィンらが書籍「シリアル・イノベーター 「非シリコンバレー型」イノベーションの流儀」で提唱した概念で、組織に属しながらブレイクスルーイノベーションを繰り返し起こせる人の意味である。シリアルイノベーターには以下の6つの素養があるという。 ・パーソナリティ(Personality)

事業部をデザイン部門の下部組織にしてみては?

イノベーションを実現するための組織の在り方について、21世紀の今もまだ定番がない。なので本稿では思いつきを提案する。 デザイン部門主導のイノベーション?先日、ニコンが社内のデザイン組織を社長直属にするというニュースがやや話題になった。ブランド価値向上と新規事業創出が目的とのことである。 実は筆者は上述ニュースのような「デザイン部門が事業部から独立している某一部上場企業」に勤務していたことがある。その企業でデザイン部門はどのような存在であったかというと…社内下請であった。製

デザイン思考はデザイナー的なものの考え方ではない

デザイン思考とは本来は「デザイナー的なものの考え方」の意味だが、いま流行しているデザイン思考は微妙に違うものである。違いは「無秩序性」である。以下に解説する。 デザイナーと幼稚園児の粘土細工まずは読者諸兄に小学校の頃を思い出していただきたい。粘土細工を作るとき、小学生の諸兄はロジカルに土台・骨格・肉付・表層の階層構造を意識しながら粘土細工を作っただろうか? そんな小学生はほぼいないだろう。まずは思いつくままに適当な形をつくり、その適当な形からインスパイアされてイメージが具

サービスデザインでイノベーションを起こせる(起こせない)理由

二番煎じ的なタイトルで申し訳ない。UXデザインとよく似た概念「サービスデザイン 」とイノベーションの関係性について説明したい。 サービスデザインとはサービスデザインとは、ようするにサービス業で実践することを前提としたUXデザインのことである。UXデザインとの差異は「サービス・ドミナント・ロジックに従う」「包括的設計の原則に従う」の2点である。 「サービス・ドミナント・ロジック」とは、2004年にロバート・F・ラッシュとステファン・L・バーゴによって提唱された概念で、「サー