見出し画像

フィールドレコーディング用バイノーラルマイクの種類とおすすめマイク

海や川など自然の音を収録するフィールドレコーディングはいろんなマイクが使われます。
その中でもより臨場感のある音が収録できるバイノーラルマイクについて、その種類や製品をご紹介します。

バイノーラルマイクとは

バイノーラルとは、簡単に言うと、人間の耳で聞く音の立体感を再現する録音方式のマイクのことです。
バイノーラルは英語で「binaural」と書きます。

「bi」は「二つ」を意味する接頭辞で、「aural」はラテン語の「auris」から派生し、「耳」を意味します。したがって、「aural」は「聴覚に関する」または「耳に関する」を意味します。

この二つを組み合わせると、「バイノーラル (binaural)」は「両耳に関する」という意味になります。

ですから、バイノーラルマイクは、人間の耳の位置に配置された2つの無指向性マイクを使用し、立体的な音を収録するために開発されたマイクです。

耳が左右で異なる音の強さや時間差を感じ取ることで、音の方向や距離感を認識します。この原理を利用し、バイノーラルマイクは左右の耳にそれぞれ配置されたマイクを使って、立体的でリアルな音響を再現します。



バイノーラルマイクの種類

上記のとおり、バイノーラルマイクは、人間の耳が左右で異なる音の強さや時間差を再現するため、大きく分けて実際に人の頭を模したダミーヘッド型と、イヤホン型のマイクを自分の耳に装着するイヤホン型があります。



ダミーヘッド型バイノーラルマイク

ダミーヘッド型はその名の通り、ダミーで作られた人間の頭の形をしているマイクで、その両耳部分にマイクが仕込まれています。
録音時は、収録したい場所でマイクスタンドや三脚で大体人間の背の高さに設置します。
先にも書いた通り、頭部があることで、音波が頭部に当たって反射したり、回り込む現象(回折)を再現できます。これにより、より自然な音場を再現し、音源の位置や距離感がよりリアルに感じられるという仕組みです。


代表的なバイノーラルマイク

  • NEUMANN  KU100

  • HSU III.2, HSU III.3

  • SR3D バイノーラルマイク

  • B1-E DUMMY HEAD

  • SAMREC Type 2500RHR

ダミーヘッド型バイノーラルマイクといえばこれというほどの実力、知名度を誇る「NEUMANN KU100」。
ドイツの老舗音響機器メーカー「Neumann(ノイマン)」によって、1990年代に開発されたダミーヘッド型バイノーラルマイクです。
ちょっと価格が高すぎて、個人で使うには現実感のないですが、映画制作や音響研究、バイノーラル録音において広く使用されています。

KU100は、他の製品とくらべ、ノイズが少なく低周波から高周波(20Hzから20kHz)まで周波数成分も均一に拾うことができ、原音を忠実に再現することができ、ダミーヘッド型バイノーラルマイクの定番として認知されています。

その他、ASMRの録音では、SR3DやB1-E DUMMY HEADがよく使われていて、NEUMANN KU100と比べ、安価ですがとても臨場感のある音を配信されている方が多くいますね。



イヤホン型のバイノーラルマイク

こちらはダミーヘッドではなく、人間の耳に実際にイヤホンのように装着して使うバイノーラルマイクです。ダミーヘッド型より比較的コストパフォーマンスに優れ手軽に使うことができます。

代表的なイヤホン型のバイノーラルマイク

  • DPA 4560-OC-B-B00

  • Adphox BME-200

  • radius RM-ATZ19

  • Roland CS-10EM

イヤホン型のバイノーラルマイクでは圧倒的な価格とスペックのデンマークを拠点とする音響機器メーカーDPAの「 4560-OC-B-B00」が有名です。
他のイヤホン型とくらべ、感度、最大SPL(最大入力音量:音量の大きい環境でも問題なく録音できる)スペックが高く、高品質な音の収録が可能です。

DPAはもともと音響・振動測定の分野で有名なBrüel & Kjær(B&K:ブリュエル・アンド・ケアー)のマイクロフォン部門から独立しており、超小型カプセルの開発技術や緻密な設計で高品質なマイクを多く販売している憧れのメーカーです。



その他バイノーラルマイク

ダミーヘッド型やイヤホン型の他には以下のようなバイノーラルマイクがあります。

  • 3Dio Free Space

  • Headrec Audio BINAL 2

  • SR3D ASMRマイク

上記はダミーヘッド型と似ていますが頭部分がない形です。簡易型バイノーラルマイクや、耳型マイクと呼び方は色々です。

頭部分がない分、実際の再現性はダミーヘッド型には劣るものの、左右に分かれたマイクと、イヤホン型より大きく設計されたマイクカプセルが高品質な音を収録できるのが特徴です。

10万円以内で買えるHeadrec Audio BINAL 2はかなり再現性が高く、高品質なバイノーラルマイクです。


まとめ


この記事では、臨場感のある音を収録できるバイノーラルマイクについて解説しました。

バイノーラルマイクは、人間の耳の構造を模倣し、左右の耳に届くわずかな音の違いを捉えることで、まるでその場に自分がいるかのような立体的な音響を再現します。

バイノーラルマイクの種類としては、

ダミーヘッド型
人間の頭を模した模型にマイクが埋め込まれたタイプ。
NEUMANN KU100:高価格ですが、高い音質と信頼性を持つ本格派、プロフェッショナルなモデル。
SR3D:はより身近に手に入るモデル。


イヤホン型
耳に装着するタイプ。ダミーヘッド型に比べて手軽に利用可能
DPA 4560-OC-B-B00:イヤホン型の中でも高品質なサウンドが特徴。

手軽にはじめるにはAdphox BME-200radius RM-ATZ19がおすすめ。


その他
頭部がない耳だけのタイプ
Headrec Audio BINAL 2:価格を抑えつつ、高い再現性を実現。

バイノーラルマイクは、フィールドレコーディングはもちろん、ASMR、ゲーム、音楽など、様々な分野で活用されており、より臨場感のある音体験を求める人におすすめです。
youtubeでは上記マイクを使ったバイノーラルマイクコンテンツがたくさんあるので、気になった方は、ぜひ検索してみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?