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音の感じ方に影響するラウドネスについて

音の大きさを表すには、さまざまな指標があります。
一般的に音圧レベル(デシベル)がよく使われますが、人間が感じる音の大きさは、デシベル以外の概念も重要です。

そこで登場するのが「ラウドネス」という概念です。ラウドネスは、人間の聴覚特性を考慮した「音の心理的な大きさ」を表す指標です。

YouTubeをはじめさまざまなプラットフォームに音楽や動画をアップする際に、このラウドネスという概念が重要になります。

今回は、このラウドネスとは何か?
人間の聴覚特性との関係と「等ラウドネス曲線」、
さらに、ネット上に公開するコンテンツの音圧について考えてみたいと思います。




ラウドネスとは


ラウドネスとは、人間の聴覚が実際に感じる音の大きさを表す指標です。
音圧を表すデシベルではなく、“人間の聴覚が感じる”音の大きさというところがポイントです。

人間の聴覚の特徴

人間の聴覚が実際に感じる音の大きさとは何でしょうか?
これは人間の聴覚の特徴に関係しています。クセみたいなものです。

人間が聞くことができる音(可聴範囲)は20Hzから20kHzというのは聞いたことがあると思いますが、私たちは、20Hzの低い音から20kHzの高い音まで、均一に聞こえるわけではありません。

得意な周波数と不得意な周波数があるということです。

人の耳は、同じ音圧の音でも低い周波数の音と、高い周波数の音は、中間の周波数より聞こえにくいという特徴があります。

聞こえにくい音
・低い周波数:200Hz以下
・高い周波数:10000Hz以上

聞こえやすい音
・中間の周波数:特に3500Hz付近はもっとも聞き取りやすい

それらをわかりやすく表してくれた表が下の「等ラウドネス曲線」というものです。

等ラウドネス曲線

図の赤いラインがフォンという単位の音の大きさを表しています。
(青い線は過去に使われていたものなので今回は無視します)

等ラウドネス曲線


例えば、グラフの真ん中付近にある40フォン(中央の太い赤線)をみると、
1000Hzでは、40dBが、100Hz付近の低音では60dBを超えています。

これは、言い換えると、
1000Hzの40dBの音と、
100Hzの60dBの音は
同じ音圧(同じ大きさの音)に聞こえる
といことになります。

つまり、低音では中間部より音圧を20dB以上大きくしなければ、同じ大きさに感じないということになります。

逆に、3500Hz付近の音は聞き取りやすい音なので、1000Hzより小さい音圧でも同じ大きさの音に感じるということになります。人間の耳の構造上大体の人がそうなっているそうです。


インターネットコンテンツにおけるラウドネス

YouTubeやSpotifyなどのインターネット上のコンテンツプラットフォームでは、コンテンツのラウドネスレベルを一定に保つためにLUFSという単位を使って表します。

単純なデシベル数値ではなく、上記した等ラウドネス曲線に基づいて人間の聴覚が感じるラウドネスを数値化し、人の耳での聞こえ方を整えています。


YouTubeのラウドネスレベル

YouTubeでは通常-14LUFSをターゲットラウドネスレベル(基準値)としています。
-14LUFSを超える音はYouTube上で自動的に-14LUFS以下となるように調整されます。調整されると音の抑揚がなくなってしまい、音質の低下につながります

ですから、動画や音楽をYouTubeで公開する場合、この-14LUFS付近となるように、コンプレッサーや音圧レベルの調整すると良いです。

また、LUFSには大きく3種類があります。
・Momentary :最も大きな瞬間の値(400ms)
・Short Term:数秒間の平均値
・Long Term:全体の平均値

YouTubeではLong Termの全体の平均値が-14LUFSとなっています。ちなみに、SpotifyもYouTubeとおなじ-14LUFSです。

編集ソフトのラウドネスメーターで確認

Davinci Resolve をはじめ、さまざまなDAWソフトなどには、音声のラウドネスを測定するラウドネスメーター機能が備わっています。メーターを見ながら、最適なLUFS値となるようにレベルを調整し、整音することがとても重要ですね。

フリーでラウドネスレベルを測定するプラグインもあります。ラウドネスレベル測定に特化したプラグインなので、より詳しい情報を得ることが可能です。


まとめ

ラウドネスとは?
人間が感じる音の大きさ(心理的な大きさ)を表す指標
・単純な音圧(デシベル)ではなく、人間の聴覚特性を考慮している

等ラウドネス曲線
・人が聞いている周波数と音圧の関係を表した曲線
・3500Hz付近が最も感度が高く、100Hz以下と10kHz以上は感度が低い

ネットコンテンツにおけるラウドネス
・YouTubeやSpotifyは、LUFSという単位でラウドネスを管理
・ラウドネスレベルは-14LUFSを目がめて調整した方が良い
・コンテンツの音圧を一定レベルに保ち、視聴環境に合わせた音質を提供

以上、記事の内容が役立てば幸いです。


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