アルビノフェス2019で歌ってきた

 noteでははじめまして。廣瀬といいます。ソプラノ歌手として生きていくことが夢の人です。

 アルビノ当事者でもあります、

 他にも色々あるけれど、今回関係あるのはこのふたつ。


 本日、御茶ノ水ワテラスコモンホールにて「アルビノフェス2019」というイベントが開催されました。

https://albinofes2019.jimdofree.com/


 簡単に言えば、アルビノ当事者で対外的な表現活動をしている人を集めたイベントです。結果的には歌を歌った方が最多でした。

 開催決定を聞き、「この趣旨で廣瀬を呼ばないとかないでしょ。呼んでくれなかったらこちらから出してくださいってお願いしよう」と思っていた(笑)ところ、光栄にも会の側から出演依頼を頂きました。

 当事者界隈で物議を醸していたらしいフェス。実際問題、開催決定から開催日までの期間の短さその他色々な理由により、事前準備にも広報にも手と手間が足りていない感が否めませんでした。そのことで誤解や反感を沢山招いていたのは否定できない事実だと思います。

 本日開催日を迎え、思ったことを書きたくなったのでnote投稿デビューしてみます。


 先に結論を言ってしまうと、「アルビノの中の多様性」がよく見えてくるイベントでした。

 会場には出演・出品者側、お客様側合わせてアルビノ当事者がたくさん。

 あまり知られていないのかもしれませんが、アルビノと一言に言っても髪の色も目の色も肌の色も実に多様です。今日目にした方々だけでも、茶髪、黄色系の金髪、クリーム色にも見えるような薄めの金髪、白に近い方まで。もしかしたら私が気付かなかっただけで染めていたり生まれつき黒髪だったりする当事者の方もいたかも。瞳の色はなかなか見えませんが、今まで聞いた話や会った人たちから判断するに、黒、褐色、茶色、黄色、緑、青、紫、赤と様々だったと思われます。視力も、日焼けのしやすさも、眼振や羞明の度合いも日常生活にほぼ支障がない方からかなり対策を必要とする方まで、びっくりするくらい多様なんです。

 それと同様に、出演者・出品者の表現者としての在り方や実力もプロからセミプロ、趣味の方々まで実に多様。そして同じ歌を歌うにしても、ポピュラー、アニソン、ゴスペル、アイドルソング、クラシックといろいろ。きっとアルビノというものへの考え方、とらえ方、生き方も全員違ったことでしょう。そこにきっと貴賤はない。


 こうやってアルビノを冠してイベントをやってみたからこそ見えてくる、アルビノというマイノリティの中の実に幅広い多様性。

 お客様の中には、同じ歌ものでもひとつのジャンルのものには興味があってしっかり内容を感受できるけれども、他のジャンルには興味がない・持てない・よくわからない、という方も多々いらっしゃったことと思います。けれどそれは当然のことで、許されるべきことで、他人が楽しもうとしているのを邪魔しなければ咎められるようなことでは決してないと思います。

 輝いているアルビノを集めることでダイバーシティを目指す、といったようなことがイベント趣旨のなかにあったかと思います。多様性の理解と受容。それはもしかしたら、自分が好きなものを楽しめない人が存在すること、自分がよくわからないものをとても楽しんでいる人がいること、そういう人が同じ空間、もしかしたら隣にいて、同じ時間を共有するということをそれぞれが許容することから始まるのかも、そう思いました。


 きっと今回のイベント趣旨や内容、クオリティ、細部のいろいろなところに関して否定的なご意見をお持ちの方、受け容れられない方がたくさんいるでしょう。そして今回のイベントでプラスのものを受け取ってくださった方もたくさんいるでしょう。ここはおかしいと思ったけれども、ここは良いと思った、というような方もまたいらっしゃるでしょう。

 光があれば影が生まれる。闇があれば光がある。今回のフェスはきっと鮮烈な強すぎる光でした。光が強く鋭いのならば、そこに生まれる影も深く濃いものになると思われます。きっとそれでいいし、だからこそ見えてきたのがアルビノの中の多様性の幅広さです。

 多様性の理解と受容をうたうイベントが、多様性を否定するはずがありません。


 アルビノとひとくくりに語られますが、こんなに幅があるんだ、と改めて強く感じたイベントでしたし、そのことをもっともっとアピールして、アルビノはその人のすべてではない、いちハッシュタグに過ぎない、人生のメインとは限らない、ということを伝えていきたいと感じました。

 少なくとも私の人生の今のメインはアルビノではありません。不登校でも発達障害疑惑でもセクマイでもありません。声楽です。これは最近対外的にアルビノのお話をさせて頂くとき、なるべく言うようにしていることでもあります。


「アルビノのなかの多様性」を互いが実感しアピールするためのかたちとして、今「アルビノだけを『本』役にしたヒューマンライブラリー」を企画できないか、と考えています。

 アルビノとひとくくりにされて語られることに違和感を感じるからこそ、アルビノとひとくくりにしてイベントをやってみたい。矛盾ですね。


 もし実現出来たら、よろしければいらして下さい。

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