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Y字ドライバーを買え、そんでもって壊れたSwitchを分解しろ

『剥がすと保証対象外になります』と書かれたステッカーをカバーに貼る、普通の家では見つからないような形状のネジを使う、接着剤や溶接での接合など、デバイスを破壊せずには分解できないようにする…

このように、内部構造へユーザーがアクセスすることを拒む製品はままある。

分解したら不利益があるぞ、物理的に分解させないぞ、使い続けたいならお客様サポートセンターに電話しろ、それが手間取るなら新品を買え…といったふうに、ユーザー自身に『修理』をさせないためならば、あらゆる手段を使う。

それらはいつも、自分たちの権益を確実なものとするためのものである
オフィシャルなiPhoneの修理がべらぼうに高いことを見れば、その意図は一目瞭然だ。
奇妙な形のネジも、パネルに付着した接着剤も、それ以外のメリット、例えば工学的な効率性などをもたらしてはくれない。
Switchや3DSの裏に使われているY型のネジはプラスネジより回しやすく人間工学的に優れていたりするのだろうか?実際にやってみたが違いは判らない。

修理という営みは決して昨日今日の産物ではない。先人たちは傘がくたびれば張替えてきたし、剥がされた紙は洗われて食材の包装用紙になっていたという。食器が割れれば金継ぎで繋げ合わせて、元通りに使えるようにしてきた。傷口に絆創膏を貼るかのように、人間は壊れたものを修理し、そうでなくとも、無駄にはならないような別の形で有効利用してきた。そうしていつもモノを愛し、かつ資源を有効に利用してきた。


利益を貪り喰って肥え太らんとする資本主義の論理が、ユーザー達をその世界から追い払ってしまっていると言わざるを得まい。やれ『お客様の安全のために』だの『快適にご使用いただくため』だのと尤もらしいことを嘯いてはいるが、とっくのとうにその魂胆は見え透いている。お為ごかしも大概にしろ!

もしSwitchを分解できれば、もしMacBookを分解できれば、それらをより安上がりに、しかも長く大切に使い続けることができたというのに。
しかし、大半のユーザーは高い代金を払ってメーカーにデバイスを送るか、諦めて近所の電器屋に行くしかなくなっている。買い替えられてもはや使われなくなったデバイスは、ゴミ箱に放り込まれている。

本来なら払わなくていいものを払い、ユーザーたちは空っぽの財布を嘆いている。ゴミ捨て場のレアメタルたちが『こんなはずじゃなかった』と涙を流している。そして、メーカーのお偉いさん方は今日の豪華なディナーに思いを馳せ、ほくそ笑んでいる。


ならば、今こそ反撃の時だ。
持続可能で楽しいこのライフスタイルから疎外されてしまった、この現状に風穴を開けてやろう。
Y字ドライバーを手に入れよう。『剥がすと保証無効』シールなんか剥がしてしまおう。壊れたものは治して使おう。

我々がかつては手にしていた『修理』という大切で愉快な知恵と技を、今一度我々パンピーの手元へ取り戻そう。

さあホームセンターへ出かけるときだ!


【参考ページ】
江戸時代にあった、1000ものリサイクル屋
https://www.nihonbashi-gururi.tokyo/posts/column_02

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