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そうだ珈琲屋になろう その4

転職先を探す際ほとんどが都内中心。

しかも当時実家暮らしだった私はそこから通勤する考えで探していた。

特にそれが問題だと思ってないし、貯金とか考えればその方が良いと思っていた。

転職先だって都内の方が圧倒的に多い。

そんなに厳しい条件じゃないと思っていたが、『美味しい自家焙煎珈琲店でちゃんと給料も出る』を条件にしただけで全然見つからなかた。

悩んでいた私に彼女が言った。

「全国にも色々有名な珈琲屋さんもあるんじゃないの?家を出て一人暮らしすればどこだってあるんじゃない。」

さらに「20代半ばになるんだから家出て色々経験した方が良いよ。」

盲点というわけじゃないがさすがだなと思った。

フランスに行ったり有名店で経験もしている彼女の言葉は重かった。

何より心のどこかで甘えがあることを感じていた。

求人内容の給料が少ないとか休みが少ないとか、その勤務だとあのテレビが見れないとか友達と遊べないとか。

もっと覚悟しないとダメだと自分に喝をいれました。

そしてそのタイミングで沖縄コーヒー農園の記事を見つけたのです。

普通に珈琲屋で修行する人は普通にいるだろう。

栽培から携わって自家焙煎珈琲をするのは少ないはず。

しかも珈琲のすべてを知れる気がした。

気合は入ってました。

気持ちの込んだ文章を手紙に書きすぐに郵送した。

そして1週間後私は電話をした。

「手紙は読んでくれましたでしょうか?・・・。」

電話の先で話しているのは沖縄北部にある「ヒロ・コーヒーファーム」の足立浩志さん。

足立さんはやさしい口調で私に答えた。

「働きたいの?受け入れてあげたいけど、8番目の順番になちゃうな。」

なんと同じように希望者が7人もいるそうだ。

順番がめぐってくるとすれば数年かかるとのこと。

私は落胆した。

せっかく覚悟もして気合も入っていた。

足立さんは「うちの農園に来たことはないよね?働かないにしても1度機会があったら見に来てごらん。」

その時はあまりけしてうれしい言葉ではなかった。

むしろ残念でまた転職先を探さなければいけないのかと落ち込んだほどだ。

しかし数日間考えているうちにあることを思った。

自由にどこかに行けるのも今だけなのかもしれないと。

働き始めたら自由がなくなるのが想像つく。

しかも何か行動しなければ何も変わらない気がした。

私は友人に相談して沖縄への旅を計画するのである。

(つづく)


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