キャズム理論からFigma JapanのJourney を振り返り、現在地と今後を考察する


はじめに

なんか真面目なタイトルですが、今日はキャズム理論をベースにFigma Japanの今までと、これからをハイレベルに振り返り、そして少し考察してみたいと思います。
まず最初に、キャズム理論ですが、それって何?という方もいらっしゃるかもしれません。
これは、ジェフェリー・ムーア氏が唱えた理論で、簡単にいうと新商品や新サービスなどの市場への浸透度合いを示すものです。成長の初期段階の「アーリーアダプター」と、成長の加速を導く「アーリーマジョリティ」の間にある「キャズム」(日本語では、(溝)や(隔たり)と訳されたりします)を克服することが、新規市場開拓において重要と唱えている理論です。

具体的な段階としては、以下の5つがあります。

  • イノベーター(革新者) >>> 2.5%

  • アーリーアダプター(初期採用者) >>> 13.5%

  • アーリーマジョリティ(前期追随者)>>> 34%

  • レイトマジョリティ(後期追随者)>>> 34%

  • ラガード(遅滞者)>>> 16%

私の簡単すぎる説明だと少しわかりにくいのですが、例えば以下のような記事で図解いただいているので、ご覧いただくと、イメージが湧きやすいかと思います。

ということで、今回のnoteは、Figmaが日本に上陸してから現在に至るまで、どういった形で歩んできたかを、キャズム理論とともに振り返り、そこから得られた学びと、今後に対する想いを簡単ではありますが、記載したいと思います。

日本法人設立前

(〜2021年12月まで)

Figmaは、2016年に製品をリリースしてから、日本に上陸するまでに既に一部の日本のユーザーさんにもご利用いただいていました。
キャズム理論に当てはめると、素晴らしいテクノロジーを率先してご利用いただく”イノベーター”のお客様にご利用いただいていた状況と言えるかと思います。
この時期は、以下のような状況でした。

  • 製品、リソース(Website, Support Document等)は、英語のみでの提供

  • 製品は、Design ProductのFigmaとOnline Whiteboard ProductのFigJam(Beta)のみの提供

  • 日本に社員がいない状況だったので、お問い合わせ対応(営業面、技術面)は全て英語ベース(言語の壁、時差の壁あり)

  • CommunityもFoF Tokyoは活動して頂いていたが、まだ認知があまり進んでいない状況

日本法人設立後〜1周年記念イベントまでの道のり

(2022年1月〜2023年3月まで)

最初の一年、振り返ってみると大分昔のような感覚を覚えますが、この時期は以下のような状況でした。

  • 製品、リソース(Website, Support Document等)を日本語で提供開始(2022年7月末)

  • 製品は、変わらずFigma DesignとFigJam (BetaからGAへ) のみ。但し、それぞれのProductに沢山のFeatureが追加された

  • 段階的に日本チームを拡張し、2022年12月の段階では、お問い合わせ対応(営業面、技術面)を全て日本語で行える状態に。社員数も15名を超える規模感に

  • Community活動も活性化

    • 2022年5月のConfig Watch PartyからCommunity Advocatesのみなさんにもご協力いただき、まさに”Communityの支えなく、Figma Japanの成長なし”といった形に

    • 2022年7月には、FigmaのGoodsを販売しているFigma Store (Online)の提供を日本でも開始

この時期を振り返ってみると、”アーリーアダプター”のフェーズだったと思います。製品的にも態勢的にも、まだまだ成長の余地がある状況でしたが、日本でのAwarenessが高まってきており、コアのターゲットとなる層には一定の認知をしていただけるようになったかと思います。
市場への向き合いという観点で、この時期に私が意識していたことは、"Build”です。新しい仲間を迎え、日本で事業展開できる組織としての基盤を作り、市場に対しては、兎にも角にもAwaranessを高め、より多くの方々にFigmaを知ってもらうことを意識していました。

1周年記念イベント〜2周年記念イベントまでの道のり

(2023年3月〜2024年3月まで)

  • 2023年6月Devモードがベータ版として公開され、2024年2月に正式リリースに

    • Devモードが追加されたことで、アイデア出し (FigJam) > デザイン (Figma Design) > 開発者へのハンドオフ (Dev Mode) までを1 Platformで対応することが可能に

ひとつのプラットフォームで全てに対応
  • 引き続き日本チームを拡張し、2024年3月の段階では、セールス、オンボーディング、セールスオペレーション、セールスイネーブルメント、ソリューションコンサルタント、マーケティング、デザイナーアドボケイト、プロダクトサポート、コミュニティサポート、オフィスマネージャー、教育事業担当者、HRなど、社員数も30名を超える規模感に

  • Community活動もさらに活性化

    • 2023年3月の段階では、FoF TokyoのみだったCommunity Groupも北は北海道から、南は沖縄まで、一気に24のChapterに拡張。(下記記事が公開されたタイミングでは23のChapterでしたが、その後、北海道が追加されました)。

    • Community活動を盛り上げて頂いている皆さんには、感謝しかございませんし、引き続きCommunityへの愛を忘れず頑張りたいなと思っています。

このタイミングは、少しトリッキーで、当初より訴求してきた”デザインツール”という側面では、”アーリーマジョリティー”のフェーズに浸透したと考えることもできましたが、弊社のプロダクトラインナップが、プラットフォーム化してきたことで、”デジタルプロダクトの開発”というプラットフォーム観点から考えた時には、違った見方ができるかとも思います。

これから

(2024年3月〜)

  • 戦略発表会でアナウンスをさせて頂いたのですが、以下のような形の3 led-growth strategyで市場に対して貢献をしていきたいと考えています。

3 Led-Growth Strategy
  • 上記戦略の浸透を行うには、組織としても更なる成長が必要です。この記事(初稿)を書いているのは、2024年5月31日ですが、ちょうど先ほどLinkedInにFigma JapanのOpen Positionを投稿しました。私のProfileからご覧いただけますので、宜しかったら是非ご覧ください。やっぱり組織、ビジネスの成長の根幹は”人”だと思います。一緒に働く仲間を大事にしながら、そしてこれから出会う新たに一緒に働く仲間との出会いを楽しみに頑張っていきたいと思っています。

  • Innovationという観点では、来月末に開催されるConfigもとても楽しみにしています。今は、AIがホットになってきており、Figma Productsにも搭載が進んできていますが、昨年のConfigでは、AIに加え、DevモードやVariablesなどのエキサイティングなプロダクトやフィーチャーの正式リリースが発表されました。さぁ、今年のConfigはどんな感じになるのか?今から、ワクワクしています。

おわりに

会社の状況が成長と共に変化してきていますが、我々が成すべきことは、とても沢山あります。ある種、新たなマーケットを作るような仕事でもあると感じており、それ故に大変さもありますが、得られる経験や成長も計り知れません。
色んな見方があるかと思いますが、今の会社の状況をキャズム理論に当てはめると、上記した通りまだアーリーマジョリティのフェーズにはしっかり入りきれていないと思います。キャズムをしっかり乗り越えるのは大変だと思いますが、見方を変えると可能性に満ち溢れているとも考えられます。
私としては、引き続き、気を引き締め、常に考え、自分達ができる最大限の貢献を日本市場にしていきたいと考えております。
そして、素晴らしい未来を社員、Communityの皆様、お客様など関係する方々と一緒に作り上げたいと考えています。
Nothing great is made alone!
これからのFigma、そしてFigma Japanもよろしくお願いします。そして、ご期待ください!


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