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HRQOL
QOLという言葉があります。QOLとはクオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略称で医療現場でよく使われる言葉です。患者さんのQOLなどと言います。 QOLは「生活の質」もしくは「人生の質」と訳されることが多いです。
QOLは、生活や人生が豊かであるということの指標となる概念ですが、ここでいう豊かさとは物質的なもののみならず、生きがいや自己実現など精神的な満足度が重要視されます。QOLが高いかどうかは、そのほか心身の健康や良好な人間関係、やりがいのある仕事や充実した教育、余暇の過ごし方など多様な観点から評価されます。また、人によって感じる豊かさもさまざまであるといえます。
近年は精神の健康に対してのQOLの概念が高まっており、HRQOL (Health Related Quality of Life)が注目を浴びています。これらは以下のドメインで測られるそうです。
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なんらかの原因で鬱病になった際、その重症度にかかわらず社会復帰にはこのHRQOLを高めることが重要とされています。そして回復して社会復帰までの時間は重症度にかかわらず、このHRQOLが大きく関わってきているとの論文があります。そしておそらくはこのHRQOLが低いために女性および高齢の患者、フルタイムの仕事をしている患者、意思決定の自由度が高い患者はHRQOLに回復が遅れるという可能性があります。
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回復までにHRQOLが高いと1年とかからず、低いと同じレベルに下がるには3年と3倍近くの開きがあります。
回復までの時間は症状の重い、軽いではなくではなく、「健康関連の生活の質」が関連しているというのは何を示唆しているのでしょう。そして上記の患者さんはなぜHRQOLが低いのでしょうか?
鬱病とまでは言わずとも様々な要因で落ち込むことがあると思います。原因を解決することも重要ですが、自分のHRQOLを見直すことが落ち込みから回復する手段としては有効であることが示されています。特に女性、高齢者、フルタイムの労働者、自由業の方々はここに気をつけることが予防にもつながりそうです。解決することだけを考えるのではなく自分の環境や身体、精神の状況にも気を配ることができれば長期的に問題に取り組む健康を得ることができ、結果として問題そのものも解決するかもしれませんね。
会社など組織の健康にも上記のことは当てはまるかもしれません。問題を解決するだけに注力すると組織の精神が病んでしまうかもしれません。あえて働きやすい環境を作ることが組織の精神的な落ち込みからの回復、つまりモラルややる気の回復、に役立つのではないかなと論文を読みながら思いました。
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