英語がどうしても読めない人へ

「英語をたくさん勉強しているのに、どうしても英語が読めない。」
「努力して英単語をたくさん覚えたのに、なんとなくしか英文を読めず、正確に読めている自信がない。」

このような悩みをもった方に、普段オンラインで英文法や英文読解を教えています。このnoteでは、英文法の解説や、英文を正しく読む方法をお伝えしていこうと思います。

「英語が単語を並べる順番が大切」

" Tom helped Lisa. "
少し英語を学んでいる人であれば、この英文を
「トムはリサを助けた。」「トムはリサを手伝った。」と
日本語に訳すことができるでしょう。

「トムは助けた人」「リサは助けられた人」ですね。
では、簡単な質問をしましょう。
なぜ、トムは助けた人で、助けられた人でないとわかるのでしょうか。
また、リサは助けられた人で、助けた人でないとわかるのでしょうか。

答えは、
「Tomがhelpedの前にあるから、Tomは助けた人」
「Lisaがhelpedの後にあるから、Lisaは助けられた人」
となります。

わかっている人には、「何を当たり前のことを言っているんだ。」と言われそうですが、ここにはとても大切なことが含まれています。

それは、「英語は、単語を並べる順番で意味が決まる。」ということです。

英語では、文のはじめに「私は、あなたは、彼は、佐藤さんは」といった、「〜は」を書くことになっています。これを主語(しゅご)と言います。
この文は誰の話なのか、つまり、文の主人公をはじめに書くということです。

次に「〜する」を書きます。これを動詞(どうし)と言います。
動きを表すことばということですね。この文ではhelpが動詞です。

そして「help=助ける」という動詞を使った場合は、その後ろには「誰を助けるのか」を書くことになっています。

このように、英語では単語を並べる順番が決まっていて、helpを使う場合、
「①誰が助けるのか + ② help + ③誰を助けるのか」の順で並べることになっています。

そのため、さきほどの「Tom helped Lisa.」の TomとLisaを入れ替えて、「Lisa helped Tom.」とした場合、助ける側と助けられる側が入れ替わり、リサがトムを助けたことになります。文の意味が完全に変わってしまいますね。

日本語の場合、「トムはリサを助けた。」としても、語順を入れ替えて
「リサをトムは助けた。」としても、同じ意味になります。
(「トムはリサを助けた。」の方が自然ではありますが。)
「トムは」の「は」や、「リサを」の「を」を助詞(じょし)と言います。この助詞のはたらきによって、助けた側と助けられた側がはっきりわかるようになっています。そのため、語順が入れ替わったとしても、正しく意味が伝わります。

英語には助詞がないため、単語を並べる順番にルールを作ることで正しく意味が伝わるようにしています。そのため、英文を正しく読めるようになるには、単語並べるルールを学ぶ必要があります。これが英文法を学ぶということです。

もうひとつ例を挙げてみましょう。次の2つの文の違いがわかりますか。

① I found the easy book.
② I found the book easy.

2つの文は、easy(=簡単な)という単語と、book(=本)という単語の順番が反対になっただけで、それ以外は同じ順番で単語が並んでいます。
それでも、easyとbookの順番が反対になっただけで、

①「私はその簡単な本を見つけた。」
②「私はその本が簡単だとわかった。」
と意味が大きく変わります。

①は、もともと本の内容が簡単であることは知っていて、どこかにしまってしまったりして手元になかったが、その本を発見したということです。
②は、本の内容については知らず、実際にその本を読んでみて、内容が簡単であることがわかったという意味です。

easyとbookの語順が反対になっただけでこれほどにまで意味が変わるのですから、やはり単語を並べる順番を学ぶ必要がありますね。

英語では、さきほどの「Tom helped Lisa.」のように、「主語+動詞」から書き始めるのが基本です。この主語+動詞というところまでは大丈夫という人も多いでしょう。問題となるのはこの後です。

「主語+動詞+?」と、動詞の後の語順が大切になるのです。
動詞の後の語順は、どの動詞を使うかによって決まっています。
helpなら後はこの語順、goなら後はこの語順と、それぞれの動詞で後に続く語順が決まっているのです。

ただ、100個の動詞があれば100パターンの語順があるということではなく、
どんな動詞も大きく分けて5パターンの語順のどれかになります。
この5パターンを「基本5文型(きほんごぶんけい)」と呼んでいます。

基本5文型がわかるようになると、英文を読む力がぐんと伸びます。
この基本5文型については、「品詞と基本5文型」の記事で説明します。

品詞を学ぶと学習の効率がよくなる

" I like 〜. "

「私は〜が好きです。」という英文ですね。
〜のところに何か英単語を入れてみてください。

I like Shohei Ohtani. / I like sushi. / I like baseball. / I like Kyoto. / I like Canada. /  I like sports cars. / I like comics.
など、いくつも文を作ることができるでしょう。

できた文をみてみましょう。likeの後の単語には共通点がありますね。
Shohei Ohtani=大谷翔平(選手)は、人の名前です。
sushi=寿司は、食べ物の名前です。
同様に、
baseball=野球はスポーツの名前、Kyoto=京都は都市(または都道府県)の名前、Canada=カナダは国の名前、sports cars=スポーツカーは車の種類を表す名前、comics=コミック、漫画本は本の種類を表す名前ですね。

つまり、likeの後には、どんなジャンルのものであれ、何かの名前を表す単語が続くということです。このような、何かの名前を表す単語を「名詞(めいし)」と言います。

「likeの後には名詞が続く」とわかると、これから新しく単語を覚えた時に、その単語が名詞であればlikeの後に続いても大丈夫と自信をもって言えますね。

名詞や動詞など、単語をその役割ごとにまとめた呼び方を品詞(ひんし)と言います。これからは、単語を覚えるときも、英文を読むときも、常に品詞を意識するようにしましょう。

1つの単語でも、品詞は1つとは限らない

次の2つの英文の意味を考えてみましょう。

① I was reading a book at that time.
②I booked a table for two.

①「私はそのとき、本を読んでいました。」の意味です。
bookは名詞で、「本」の意味です。
②はどうでしょうか。①と同じように、bookを本と思い込んでしまうと、「どうしてedがついているのか」という疑問が浮かびます。
「edは過去形を表す」と習ったから・・・「本だった」・・・
では無理がありますね。
edをつけて過去形にすることができるのは、動きを表す言葉「動詞」です。
そこで、bookを動詞だと考えて辞書を引きます。

すると、
book=名詞「本」
book=動詞「予約する」
と確認することができます。これを踏まえて、I booked a table for two.
「私は二人のためのテーブルを予約した。」
「私は二人分のテーブルを予約した。」
と正しく意味を理解することができます。

同じbookという単語でも、使われる場所が違うと、品詞も違うということがわかりました。品詞がわからなければ、辞書を正しく使うことも難しくなります。一般的な辞書でbookを調べると、まず最初に名詞としてのbook、つまりは「本」について説明があります。そして、かなり下の方まで移動して、ようやく動詞としてのbook「予約する」の項目が出てきます。I booked a table for two.の文で、bookが動詞であることがわからないまま辞書を引くと、しばらく名詞のところでうろうろすることになり、なかなか正しい説明 にたどりつくことができません。

品詞を意識することがいかに重要かがわかりますね。

今回は単語や英文をやさしいレベルのものにしましたので、そんなに難しく考えなくても大丈夫なのでは?と思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、今回お伝えした内容は、どんなに難しい英単語でも、どんなに難しい内容の英文でも、同じように当てはまります。むしろ、内容が難しい文を読むときこそ、この基本的な考え方がより大切になると言った方がよいかもしれません。

まとめ

・英語では、単語を並べる順番が重要。
・品詞を常に意識して英文を読むことが大切。

次の記事では、英語の単語の並べ方の基本「基本5文型」と、単語の品詞についてお伝えします。










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