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「ルビーのなみだ」6

スザナが一旦帰国する少し前、
ローズは、久しぶりにルビーに
会った。

スザナが前回帰国してから
5年ほど経っていた。
やっと正常化したローズと
ルビーの関係。でも、ルビーは
子供たちとは別に、ローズに
会いに来た。

この時、パパの話になった。

一番献身的にパパの介護をしていた
ルビー。

「でもね、最後のほうは、パパ、
ママか、ローズか?としか
聞かなかったんだよ。
え? この話したことなかったっけ?」

ローズは、初めてきいた。
パパが、ルビーではなく、
自分の名前を呼んでいたことを。

「ママはともかく、どんだけ頑張っても
私じゃないんだな、と思った。
パパが分るのは、ママとローズだけ
みたいだった」

ローズは慌ててフォローした。

「パパも、朦朧として、娘は全部
ローズだったんじゃない?」

ルビーは、あいまいに、
さみし気に笑った。

パパそっくりのローズ。
パパに一番かわいがられたルビー。

でも、パパはローズの名前しか
呼ばなかったのだ。

(続く)

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