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CRO業界情報①:CROの市場性

みなさんこんにちは!
ヘルスケア業界(CRO)で新規事業の仕事をしているヒロシズです。

今回は、CRO業界の市場性を見ていきたいと思います。

はじめに(記事を書こうと思った経緯)

近年、ヘルスケア産業の市場性が期待されています。
また、多くの異業種参入や、既存の企業の事業拡大・転換などをよく見るようになり、業界の動きも早まっているように感じます。
一方、私の周りからは、よく以下のような声を聴くことがあります。

・CRO業界に就職したいが、業界がいまどのような動きをしているのかわからない(就活生)
・日々の仕事が忙しくて、なかなか情報収集まで手が回らない(社会人)

そこで!今回は、CROとその周辺産業はどうなっているのか?どうなりそうか?を、一般公開されている情報をもとに、紹介していこうと思います。

この記事は、以下のような方にぜひ読んでいただければと思います!

・CRO業界に興味があるが、情報収集に苦労している就活生
・なかなか日々の情報収集をする時間が取れない社会人
・製薬業界のHot Topicの一部を見てみたい人
・ヘルスケアになんとなく興味がある人

なお、今回のCRO関連情報紹介の記事は、シリーズ化できればと考えております。

※今回の記事は、所属する団体の見解ではなく、私個人の見解となります。

① CRO市場の現在

医薬品や医療機器等の開発支援を軸に事業を展開するCROにとっては、その開発支援対象となる製品の市場規模は重要になってきます。
ここでは、国内の医療用医薬品に注目して見てみましょう。

IQVIAの調査(※1)によりますと、2020年の国内医療用医薬品市場規模は、約10兆3717億円です。
これは、前年比2.4%の減少となります。
複数の情報によると、この減少はCOVID-19による患者の受診抑制が影響しているだろうとのことです。

また、過去の市場規模推移(※2)を見ますと、6年連続で10兆円を上回っていることがわかります。
ただ、この推移から、2015年以降は国内の医療用医薬品の市場規模はある程度横ばいになっていることがわかります。

※1:IQVIA 2020年医薬品市場統計-売上データ
https://www.iqvia.com/ja-jp/locations/japan/thought-leadership/topline-market-data
※2:医療用医薬品市場の推移
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/17796/

②国内で行われている治験の数

CROとして大事なのは、開発支援の観点から、「どの程度の数の治験が行われているのか?」です。
国内で行われている治験の数の推移は、PMDAのページ(※3)から見ることができます。
2019年までのデータしか載っておりませんが、今回は、初回治験計画届=新規治験の申請数として紐解いていきます。
それらの数字を見ると、2019年は、医薬品・再生医療等製品はピークの2018年よりも新規治験数が減少、医療機器は過去6年の中で最も新規治験の届出が多いことが分かります。

また、医薬品の治験計画届出件数の推移を薬効分類別にみると、最も多いのは抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)で、次いでビタミン・血液・体液用等代謝性医薬品、中枢神経用薬であることがわかります。
近年、抗がん剤や希少疾患薬の開発に関心が集まっている現状と関連していそうな結果かと思われます。

※3:PMDA 治験計画届出件数、薬効分類別の届出件数の情報まとめ
https://www.pmda.go.jp/review-services/trials/0014.html

③CRO業界の売上

ここからは、CRO業界の話に入っていきます。
CRO業界の動向を見ることができるソースの一つとして、CRO協会というものがあります。
この協会には、CRO複数社が参画していることから、CRO業界の動向を一つのマス情報として捉えることができます。

ただし、注意いただきたいのは、この協会には国内のCRO全てが加盟しているわけではありません。
大手外資が入っていないなどもあり、「日本全ての状況」として捉えるには情報が不足しております。

CRO協会が公表している情報(※4)を見ますと、2019年は2018年と比較して、会員総売上高は2.6%増加、フェーズ別売上はPhaseⅠ~IIIは0.6%増加、製造販売後臨床試験は33.0%減少、製造販売後調査は25.7%増加となっております。
疾病領域別プロジェクト数の割合では、腫瘍が多く、次に中枢神経系、代謝性疾患の順です。

まとめると、以下が見えてくるかと思います。

・加盟しているCROの総売上高は増加傾向
・受託案件はPhase1-3の治験Phaseが多い
・疾患別の受託状況を見ると、PMDAのHPに記載されていた薬効別の治験計画届出数と相関している

ただし、こちらの情報も2019年時点であり、COVID-19禍の状況を反映していないことを留意する必要があります。

※4:CRO協会 2019年 会員企業の受託状況
http://www.jcroa.or.jp/customers/data.html

さいごに

いかがでしたでしょうか?
今回はCRO市場の紹介に留めました。
次回以降は、CRO業界とその関連しそうな周辺情報に特化して紹介していく予定です。

また、私は以下のTwitterアカウントにて、定期的に以下のような情報を発信しています。

・ヘルスケア関連の最新Topic
・新規事業企画での経験
・財務会計情報
・その他面白いと思ったことの紹介

皆さんからのフォロー、お待ちしております!

では、また次回!

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