GIGAスクール構想の闇
「半年もしたら、生徒たちはiPadに飽きます」
「学力が低下します」
本校にiPadが導入された。生徒1人に1端末。
すごい時代になったものだ。
iPad利用のためのオリエンテーションが終わり、授業で使えるようになった。
いち早く私は、授業で使用していった。
ところが•••である。
「iPadを使うために、授業の準備の時間がかかる」
「iPadを使うことで、子ども達の意識が『学習』に向かいにくい」
と感じた。
そして、それを「iPad導入の先進地区」から来た同僚にボヤいた時の返事が、冒頭の言葉である。
そもそもGIGAスクール構想とは❓
文部科学省のGIGAスクール構想によると、令和5年までに、中学校、小学校の全ての学年に一人1台のPC端末を導入し、令和2年までに高速通信ネットワークを全ての高等学校、中学校、小学校に完備することなどが掲げられています。
自治体によって差があると思われるが、私の勤務校の自治体には、全児童生徒にタブレット端末iPadが貸与された。
タブレット端末の導入により、目指す教育とは❓
「創造性を育む学び」とは、どういう学びだろう。
20世紀の学びは、没個性で画一化されたものだったが、「創造性を育む学び」とは、新しい学習指導要領で示されている「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)が生み出す学びのことだ。学習指導要領の解説で「主体的・対話的で深い学び」とは、「解き方があらかじめ定まった問題を効率的に解いたり、定められた手続を効率的にこなしたりすることにとどまらず、直面する様々な変化を柔軟に受け止め、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかを考え、主体的に学び続けて自ら能力を引き出し、自分なりに試行錯誤したり、多様な他者と協働したりして、新たな価値を生み出していくために必要な力を身に付け、子供たち一人一人が、予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である」としている。
平たく言えば、
「先生の話を聞いて、ノートに写す」授業
ではなく、
「タブレット端末を利用して、子ども達自身で、課題を解決していく」授業
をつくり出していくというものだ。
実際に私が行った授業では、iPadの恩恵を受けた。
どのような授業か。
中学1年生の理科の授業。「生物のなかま分け」
20種類の生物を3つのなかまに分けるというもの。
カブトムシやチューリップ、アサガオやクジラなどの20種類。
これらを3つのなかまに分ける。
もし、iPadがなかったら、
①生物の名前を付箋に書く。20種類✖️30人分=600枚
②その付箋20枚を3つのグループに分ける
③画用紙に付箋を貼り付け、3つのグループの特徴をマジックで書く
といった感じの授業になる。
ここでiPadの登場により、①から③の作業は劇的に楽になった。
①一人20枚✖️30人=600枚の付箋を用意する必要がない。
これはiPadで付箋のようなものを作ることができるから。
しかも、生物名を入力できる。
1セット作り、生徒のiPadに送れば、すべての生徒が個々でなかま分けができる。
②今までなら、机の上で付箋を貼り付けてなかま分けをしていた。それがiPad上でできる。生徒達は夢中になってしていた。
③出来上がったものを教師のiPadに送信すれば、全ての生徒の作品を全ての生徒が見ることができる。
iPadすごい❗️
GIGAスクール最高‼️
生徒はもちろん、私もそう思った。
生徒も授業のたびに「今日はiPad使うの?」と聞いてくるようになった。
ところが•••である。
前述の授業はまさに「iPadの恩恵を受ける授業」
しかし、そんな授業ばかりではない。
植物の観察や実験、まとめの授業ではノートを書き、問題練習をする。
iPadは必要ない。
iPadを利用するメリットがない訳ではない。
iPad内のアプリなどで、問題練習ができる。
「iPadは使いようだな」
と思っていた矢先に、冒頭の言葉。
「半年もしたら、生徒たちはiPadに飽きます」
「学力が低下します」
iPadを利用して1週間。
私自身が「飽きる」というか「使いようだな」「盲信してはいけないな」と感じた。
そして、「学力が低下する」
iPadを使えば生徒達は喜ぶ。
iPadを操作して楽しいから。
話を聞くべき時もiPadを触ってしまう。
iPadの出し入れに時間を使ってしまう。
「使い方を間違えば本末転倒になる」
どんなものでも、そうである。
しかし、今回。
先進地区の話。ナマの話。
それをはじめに聞いていたら•••
それを保護者が聞いたら•••
そうならないように、私はしていく。