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サイドエアバックは必要か


はじめに

 自動運転車や自動ブレーキ車が普及した場合でも、エアバックは依然として不可欠な安全装置であり、不要になることはないと考えられています。すべての車両が自動運転化されない限りエアバックの必要性は残ると思います。さらに、道路状況、気象状況などを考えると(運転中の周囲の環境が原因もあるため)車が自動化されてもエアバックはなくならないかもしれません。
 衝突の種類に応じて想定される被害を洗い出し、どのような安全対策が必要となるかを検討してみたいと思います。日本では特に日本車のサイドエアバックの普及が遅れていますので、問題提起したいと思います。

 注:エアバックは、地震などの自然災害時に乗員の命を守る安全装置ではありません。

衝突による危険

 衝突の種類によって、乗員が受ける怪我や被害の程度が異なります。主な衝突パターンごとに、エアバックが無い場合に想定される典型的な危険について説明します。危険は、発生頻度と人体に対する重大性を考慮する必要があります。ここでは、自車乗員の危険性について考えます。

前面衝突

  • 乗員は車体前方への慣性により前方に投げ出される可能性がある

  • 乗員の頭部がフロントガラス、ハンドル、ダッシュボードなどの前方構造物に激突し、頭蓋骨骨折や脳挫傷を起こす可能性がある

  • 乗員の胸部が圧迫を受けて肋骨骨折や内臓損傷が発生する可能性がある

  • 乗員の下肢が潰れて骨折したり、膝などが車体に激突して怪我をする危険性がある

  • 重度の怪我で乗員が死亡する可能性がある

後面追突

  • 乗員は後方から前方へと強く押し出される

  • 乗員の頸髄が損傷(むち打ち症)する可能性がある

  • 後部座席乗員の頭部が前方座席に打ち付けられて頭蓋骨を骨折する可能性がある

  • 胸部や腹部が圧迫されて内臓が損傷する可能性がある

側面衝突

  • 側面から車体が潰れるため、乗員保護スペースが狭くなる可能性がある

  • 近接する乗員の頭部や胸部、骨盤が直接圧迫を受けて重傷を負う可能性が高い

  • 乗員同士が打ち付けられ、頭部や胸部、腕、骨盤が直接圧迫を受けて重傷を負う可能性がある

  • 乗員の脊椎や肋骨骨折、内臓損傷などが生じる危険性が高い

転覆

  • 乗員が車体内で激しく打ち付けられ、頭部を含む様々な部位の外傷が発生する可能性がある

  • 窓から体が放り出され、路面との激しい摩擦で裂傷や打撲など重篤な外傷が発生する可能性がある

  • 最悪の場合、乗員の頭部外傷や内出血で死亡する可能性がある

 衝突時の被害は、乗員の姿勢や拘束状況、乗員保護装置の作動状況なども大きく影響します。車両の安全性能向上とともに、適切な乗員拘束(エアバック、シートベルト)が極めて重要となります。

 自車が自動運転車になった場合、前面衝突や転覆の頻度は下がる可能性がありますが、事故発生時の危険度は変わりません。また、相手が自動運転車でなければ、後面や側面からの衝突頻度は変わらず、その危険度も同様です。したがって、「はじめに」で述べたとおり、エアバックは不要にはなりません。むしろ自車視点からすると側面衝突の頻度が高くなれば、サイドエアバックの必要性が増してくると思われます。

現状について

 日本ではサイドエアバック[3]の普及が遅れています。ポール側面衝突時の乗員保護に関する基準が改正され、2023年1月20日以降の新型車から適用されることになりました[1]。


出典[2]:株式会社JATO 「世界サイドエアバッグ装着状況」より

 側面衝突は、交差点や進行方向変更時の減速に伴う事故が想定されているため、この基準改正がサイドエアバック普及の契機となると考えられます。

参考文献

[1]国土交通省、ポール側面衝突試験の速度を引き上げ…道路運送車両の保安基準を改正 | レスポンス(Response.jp)
[2]世界サイドエアバッグ装着状況 - JATO
[3]サイドエアバッグとは。エアバッグの効果・警告灯|チューリッヒ (zurich.co.jp)

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