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[カフェ開業] ジカホウ(自火報)には注意

おはこんばんちわ。
ココロ株式会社、何でも屋の北村です。
バリスタ見習いです。

美味しい「ラテ」と語れる「撮影スタジオ」の融合を目指し、東京メトロ丸ノ内線新宿御苑前駅に「556 Cafe Studio(ゴーゴーロクカフェスタジオ)」をオープンさせようと、ゆるりと準備を進めております。

理想的な物件

物件探しも終盤。

この頃には、立派な撮影スタジオではなく、狭くても良いので「手軽に撮影できるスペース」に主眼を置きながら、物件を血眼になって探していました。

そこに。

手頃な広さの空間。
キレイで落ち着いたモスグリーンのカウンター、手入れの行き届いた厨房機器、エントランスには水々しい緑鮮やかな観葉植物。

全体がグリーン系統でもってデザインされた、とても丁寧に運営されていたと思われるカフェの居抜き物件と巡り会いました。

これはBダッシュで申し込まないと。

隅々まで内見を行い、さらには朝昼晩と町に出向き、人の流れや町の雰囲気を自身の目でしっかりと確かめ、近隣のお店やテナント、役所や銀行などの場所もチェックし、駅から多少の距離はあるものの「ピン」と来るものがあったので、すぐさま申し込みを入れました。

造作譲渡金についても。

不動産屋さんと前オーナー、そしてワタクシたちとの間で着地点を見つけ、納得のいく金額でもってフィックス。本契約を翌週に控え、銀行の振込準備をするだけのところまで来ました。

さぁ、後は。
ハンコを押すだけの簡単なお仕事。


契約書だけは何回もチェックするコト

本契約を二日後に控えた、地方出張の夜。

一仕事終え、居酒屋でしっかりと酔っぱらっていると、不動産屋さんから契約に関する最終草案のメールが。

酩酊している中でチラリと確認したところ、至極まっとうな賃貸借契約の最後に、別紙としてかなりの数の特約が盛り込まれていました。

普段なら。
酔っ払っていると全くもって使いものにならないのですが、とある一節を読んで、ワタクシはガンギマリに。

消防法に基づき消防署等より苦情もしくは改善命令が出た場合は、乙の費用により解決するものとします。

むむぅ。

香ばしい。
そしてコクがある、とても。

文章としても、実に無駄がなく美しい。

会社を立ち上げて十数年。
小さな会社なので、もちろん法務部などがあるわけでもなく、会社の定款から雇用契約、受委託契約書など、ありとあらゆる「お役所的文章」を自ら見よう見まねで作り続けてきたワタクシの第六感が働きました。

「志村、うしろっ!」

ドリフ定番のクライシス。
きっと。あの志村さんだって気づくはず。

消防に関して何かしらの問題がそこにある、と。


自動火災報知設備とは

虫の知らせとは、まさにこのコト。

ジリジリジリジリ♪

物件のあるエリアの消防署に相談したところ。

ワタクシたちがハンコを押そうとした物件は自動火災報知設備の申告がない物件で、管轄のシステムにも登録されていないとの返事が。

やはり、香ばしい。

自動火災報知設備(じどうかさいほうちせつび)は、感知器を用いて火災により発生する熱や煙を自動的に検知し、受信機、音響装置(ベル)を鳴動させて建物内に報知することにより、避難と初期消火活動を促す設備である。日本では消防用設備、火災報知機の一種であり消防法と条例により、一定面積以上の建物や店舗がある雑居ビル・重要文化財などの防火対象物に設置が義務付けられている。
略称で「自火報(じかほう)設備」とも呼ばれる。

Wikipedia

色々と調べたところ。

自火報は、延べ面積500㎡以上のマンションで設置が義務付けらており、また延べ面積300㎡以上で住居や事務所、料理店や飲食店、物品販売など、複合用途のビルの場合に対しても、自火報の設置が義務付けられているとのコト。

500㎡ > 契約しようとした物件 > 300㎡

契約しようとした物件は。
500㎡未満300㎡以上の集合住宅で、元々は1階が倉庫として運用されていたので、そもそも自火報の設置は必要なかった物件らしく。

ところが。

倉庫のテナントが飲食店になったことにより、自動火災報知設備の設置も必要となったのだが、ビルオーナーも不動産屋さんも、そして前テナントのカフェオーナーも、ギュッと固く目をつぶって運用していた模様。

むむぅ。

しかも。
飲食店部分だけならいざ知らず、建物全体に自動火災報知設備が必要となるので、まさに絶体絶命のピンチ。

消防法に基づき消防署等より苦情もしくは改善命令が出た場合は、乙の費用により解決するものとします。

この特約。
読み込めば、読み込むほどコクがあり、脱帽ならぬもはや脱皮。

消防署から勧告を受けたら。

ワタクシたちだけのチカラで、ビル全体に自火報を設置するのは至難の業。それもワタクシたちの費用負担でもって。営業開始日までに。

「ここはBダッシュしかない」

当店の非常口です

とても気に入っていた物件だったのですが。
不動産屋さんに急いで断りの連絡を入れました。とても、とても丁寧に。

でも。
今回の一連の経験で、消防に関する知識のレベルがグンと上がりました。そう、ひのきの棒からはやぶさの剣へと。

おかげさまで。
556 Cafe Studioのある、ここ新宿区に消防計画を提出する際には、とてもスムーズに事が運びました。

もちろん。
自分自身の手で消防計画書を作成し、消防署のお姉さんにも手取り足取りご指導いただきながら、無事に届出も受理され、検査も合格しました。

最後に一言。

「物件契約の前に、絶対に管轄の消防署に相談すること」

事前相談や防火対象物使用開始届を行わずに営業を開始した結果、消防の立ち入り検査にて自動火災報知設備などの設備が必要だったという事例も、かなり報告されているみたいなので。

みなさん、事前に消防署へ相談しましょう。自衛消防隊長より。

次週に続く(長い)。


「カフェバー」×「撮影スタジオ」

このnoteでは。

カフェ開業までの道のり、コーヒーやエスプレッソ、カフェ運営、映像やWeb制作、そして氷河期アラフィフ世代の足跡について、気負わずにゆるりとアウトプットしていけたらと。

「同じ阿呆なら、踊らにゃソンソン」

どうぞ、宜しくお願いいたします。

2024年6月22日
きたむらともひろ拝

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