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米を喰え!<パックごはんをトレジャーハントする> (2)パックごはんのGeopolitik

1.「パックごはん」業界の生存圏争いを、スーパーの店頭から探る

”利きPackごはん”を始めるにあたり、私の居住地周辺のスーパーマーケットやディスカウンターなど18店を回って、店頭にある白米のパックごはんを集めてきた。

家内が「また買うの?」とぼやいたが、まあ、ごはんなら、どれだけあっても困ることはないし、賞味期限が長いものでは1年もあるので楽に消費できる。これで食料危機を乗り越えるのだ。

さて、集めた全37アイテム、下記がその一覧。

仕様・価格は2022年6月28日時点

価格や容量、原料、製造者、販売元などをまとめたが、入力しながら自分はある項目が気になった。お気づきになられただろうか。

それは「製造者」のところ。大きく3つの勢力に別れている。

◇   ◇   ◇

ひとつは業界の雄である「サトウのごはん」のサトウ食品株式会社。そしてあと2つは、「株式会社ウーケ」と「テーブルマーク株式会社」だ。

株式会社ウーケ:日本最大の米穀商社「神明」のグループ企業。「神明」が発売元の商品も量販店に流れているが、相手先から受けたOEM製品が販売元のブランドとして数多く流通していることがこの表から伺える。

福岡県産米のパックも同社富山入善工場で製造されていて、驚いてしまった。富山入善工場は、敷地面積52,595m²、工場建築面積9,005m² 、A・B棟:鉄骨造3階建て、C棟:鉄骨造2階建ての規模を誇り、生産能力は約420,000食/日と公式サイトにある。凄い量だ。

テーブルマーク株式会社:同社の大本は、冷凍エビフライや冷凍うどんで有名だった株式会社加ト吉。2008年日本たばこ産業株式会社(JT)が加ト吉の株式を公開買い付けして子会社化。さらに2010年にテーブルマーク株式会社と社名変更したものである。

公式サイトの会社沿革によれば、1996年に「パックごはんの量産体制を確立」し、2010年1月の社名変更直後の11月に「魚沼水の郷工場が稼働」したとしている。つまり96年に新潟魚沼工場が操業し、需要拡大に対応するため魚沼水の郷工場を新設したという流れだろうか。

なお、一覧表にあるCGCジャパンのPB『国産おいしいごはん』は、同社とテーブルマーク社の共同開発とある。製造元の「株式会社フードレック」は加ト吉操業の地・香川県観音寺市にあって、元はといえば加ト吉系列会社として1996年5月に無菌化包装米飯1号ラインの稼働を開始した企業。現在はテーブルマーク社の傘下だ。

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さてさて、「パックごはん地政学」における生存圏争奪にしのぎを削る三大勢力と言うべきか、「サトウ食品」vs 「ウーケ」vs 「テーブルマーク」による食民分割の今後の動向は如何に? はたまた、その間隙をぬって第四の新勢力が台頭してくるのか、否か。

「パックごはん」の天地の情勢は複雑怪奇なり。

2.近郷近在の量販店店頭におけるフェイス状況概観

というわけで、「パックごはん」を市場に届ける企業の状況を俯瞰したが、次はマクロからミクロな話。

少なくとも私の居住地区周辺の量販店店頭をざっと眺めた印象としては、

1)ローカルチェーンやボランタリーチェーンで、テーブルマーク社とその関連会社の商材の店頭化が著しく、大容量のバンドル商材が棚最下段にズラリと並んでいたりする。冷食やうどんの絡みもあってか、テーブルマーク社は結構フェイスを喰っている印象を受けた。

2)イオン系はPVトップバリュー商材(TV)がテーブルマーク社製となっている。当然トップバリュー商材のバンドルが棚最下段を占拠している。面白いのは、店舗規模が大きいイオン・レギュラー店でアイテム数が少なく、やや小商圏型のマックスバリュにすごいバリエーションが揃っていたりするのだ。個店の商圏対応について権限を柔軟にしているのだろうと思った。

3)サトウ食品製品は、さすがリーディングカンパニーなだけに、多くの店舗でもレギュラー『こしひかり』バンドルが定番化されている。御当地ブランド米では、チェーンそれぞれMDの個性があってバラバラ。『魚沼産こしひかり』が数店で定番に入っている。またそれ以外のブランド米についてはマックスバリュやドラッグストアモリで数アイテム同時に店頭化されているのが目立った。

購入現場をウォークスルーしたところで、次は、本当に飯を喰うのだ。腹減って死にそうだ。


(了)




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