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☖1三歩での角換わり棒銀対策


はじめに

角換わり棒銀、それはこの世においてもっとも邪悪な戦法の一つである。
角換わりにおいて最近は多くのアマチュアがプロの棋譜を基に早繰り銀、腰掛け銀と勉強している。
中でも腰掛け銀は本当に緻密で早繰り銀や右玉に対する勉強が必要にもかかわらず同型になっても気が休まらないというシビアな戦法だ。
それでもやはり最善を求め日々研鑽を積むアマチュアの方々がいる中で、それを嘲笑うかのように存在している戦法がある。

こいつ

そう"角換わり棒銀"である。
人々の勉強のすべてを序盤早々全否定してきやがるこの戦法を野放しにしておくのは将棋界において許されないことであり、SDGsに反することは言うまでもない。
というわけで今回は角換わり棒銀の対策をまとめていきたいと思います!
とはいえ、世の中には角換わり棒銀の対策記事がめちゃくちゃあるので今回はあまり触れられていなさそうな☖1三歩中心の対策を紹介していければと思います。
もしどこかの記事とかぶっていても気づいていなかっただけなので許してください(血涙)

先手一直線棒銀

☗2六歩☖8四歩☗2五歩☖8五歩☗7六歩☖3二金☗7七角☖3四歩☗6八銀☖7七角成☗同銀☖2二銀☗7八金☖3三銀☗3八銀☖6二銀☗2七銀☖7四歩☗2六銀☖1四歩☗1六歩☖7三銀で今回の基本図です

きほんず

棒銀に対しては早繰り銀がいいとよく言われますが、今回紹介する対策においてもその言葉通りに☗2七銀をみたら早繰り銀を目指してみましょう。
理由は後々わかります。
さて、まずはここから囲いもせず先手が棒銀をする変化をみていきましょう。
☗1五歩☖同歩☗同銀☖同香☗同香と進みます。

よくあるぼうぎんのず

ここで☖1六歩とたらしてなんちゃら~、というのを皆さんよく見られていると思います。
しかしここでは☖1三歩もちゃんと有力です。

フツーに有力

ところでこの☖1三歩がなぜあまり指されてないてなのかというと理由はいろいろありますが1つはとある有名な攻め筋があるからです
仮に基本図に至る局面で☖7三銀に変えて☖7三桂などと跳ねていたとしましょう。
そして本譜同様に進めると以下の局面になります。

有名な攻め筋というのはここで☗1二歩というもの。

歩成を許すわけにはいかないので☖2二銀は自然ですが以下☗1一歩成☖同銀☗8四香☖同飛☗6六角が先手の狙い筋。

ゆうめいなやつ

これはこれで☖2六香~☖4四角とかで対応しても難しそうですがこういった飛車先に無理やり香を叩き込んで攻める筋があるので☖1三歩は指されにくくなっているというのが現状という体感です。
しかし後手が早繰り銀を目指した本譜の図にもどってみてみればわかりますが、今度は☗8四香は☖同銀ととれるので先ほど紹介した攻め筋がないのです。

と、いうことで実はこの局面先手に芳しい攻めがありません。
無理にいくなら☗1三香成☖同桂☗1四歩くらいですが…

以下☖2五桂☗同飛☖2四香くらいで後手有利です

以下☗1五飛には☖2九香成☗1三歩成☖2四銀☗1四飛☖2五銀打☗1八飛☖2七角としつこく飛車を攻めれば負けにくい展開です

銀得を分かりやすく利用し飛車に息をさせない

こうなってはいけないので先手としても暴れるような攻めはできません。
というわけでもどって下の図の局面の先手の手ですが

やはりここでも☗1二歩が筋です。

この手における先手の狙いとしては後手の動きのけん制という意味が大きいです。
つまり局面図以下☖2二銀☗6八玉に対して☖6四銀と攻めを急いでしまうと☗6六角などが嫌味になります。

銀がどいたので☗8四香ができる

こうなると☗1一歩成と☗8四香があって後手としても気を遣う展開になってしまいます。
よって☗1二歩にはすぐに早繰り銀をするのではなく☖2二銀☗6八玉の時に☖3三角がよさそうです。

香取り+先手陣を狙う角打ち

香取りなので先手としては☗1九香と打つところ(☗1八飛は☖1五角☗同飛☖1四香があるのでやりにくい)。
しかしそれに対してもらった銀で棒銀をし返す☖9五銀が好手。

相手の棒銀で棒銀

これが角道が通ってる分結構受けにくく最強の頑張りは☗6六歩ですが以下☖8六歩☗同歩☖同銀☗同銀☖同飛☗8七歩☖8二飛☗7七銀と進むのが順当

結果図は☗6六歩を突かせて八筋をきったという局面ですがこれは一歩と銀をもっているので☖6四歩くらいから攻めることができそうなので後手十分といえるでしょう。
先手としては駒損してまで攻めた割に自陣整備をするのはおかしいので一直線に棒銀をするのは☖1三歩で十分に戦うことができると思います。

ちょっと遅らせてから棒銀


というわけでいきなり棒銀がうまくいかなかったので先手としてはもう少し待ってから棒銀も自然です。
☖6四銀などを急ぐと先ほどの解説の通り☗6六角などが嫌味になるので後手も何を指すかというところですが…

☖4四歩が棒銀の全てを否定するような手です。
先ほどから解説していた☗6六角の筋を根本から消す手です。
現にここから☗1五歩☖同歩☗同銀☖同香☗同香と進めても☖1三歩でまたしても何もありません。

以下やはり☗1二歩くらいですが☖2二銀でやはり続きません。

一見自然な☗2四歩は☖同歩☗同飛に☖2五歩が好手です。

同飛は☖1六角があるので先手としてはそれを消しつつ大駒の打ち込みを消す☗3九金が自然ですがそれを許さず☖3三桂☗1三香成☖2三銀打が厳しい手順で後手有利です。

飛車が取られてはなかなか勝てないので先手はこの変化を避けるために☗2四歩が突けません。

よってこの局面では☗2四歩を突くために先に☗5八金と指したいところです。

しかし、これには☖4九角が好打です。

☗2六飛には☖3八角成くらいで馬をつくっておけば満足です。
とはいえ上の図以下☗5九金☖1六角成☗1九香と角を攻めるのは☖2七銀☗4八飛☖2六馬で香を打った甲斐がありません。

以下は☖3五歩〜☖3六歩と攻めていけば駒得がわかりやすく活きて後手有利になりそうです。

もどって☖4四歩に対しては先手はここまでされたら棒銀はしにくいというところです。
変えて取る選択肢としては攻めずに囲いを続けるか、棒銀をやめて☗3六歩から銀を立て直すかですが囲いを続けるのは上のように☗5八金とした時に☗1六香が浮いているせいで常に☖4九角の筋があってやりにくいです。

ですので☗3六歩として銀の再活用を図る手が丸そうですが以下☖6四銀☗3七銀☖4二玉となれば先手失敗が明らかです。

もはや手損早繰り銀

図の局面はこうなるなら早繰り銀を先にしておけば良かったといったところで明らかに先手不満です。
結果図は後手から☖7五歩と先攻できるだけでなく☗5五角を防いでいる意味で☖4四歩がちゃんと得な手になっているのもうれしいところです。
以上より、一直線に棒銀をしない手に対しては☖4四歩として棒銀を根本から否定する手も有力です。

おわりに

ちょっと急ぎ足な感じもしますが以上で☖1三歩による棒銀対策を終えたいと思います。
今まで☖1六歩のたらしでの対抗しか知らなくてその筋があんまり肌に合わなかったなーという人はぜひとも試してみてください。
みんなが対策を知って優勢を築ければ角換わり棒銀党は自然と消滅していくはずです。
というわけで角換わり棒銀が滅びるか否かは皆さんの心意気次第。
正統派居飛車党の皆さん、ともに滅ぼしていきましょう!!

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