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後手雁木対策速攻編(part1)

1.はじめに

(あんま対策とは関係ない導入の様なものなので興味ない人は飛ばしてください)

後手雁木滅ぼしたいなぁ、将棋指しなら誰もが一度は抱く欲求。
というのもコイツ☗2六歩☖3四歩☗7六歩に☖4四歩と突くだけで作れてしまうお手軽作戦のくせに結構強いのだ。

居飛車の癖にすぐ角道止めやがって

角換わり、相掛かり、横歩取り…数々の王道戦法を研究してきた居飛車党がこの雁木に対してどれほどのため息を吐いてきたことか。
振り飛車も同じじゃんと思うかもしれないがそれは違う。
振り飛車は居飛車穴熊、トーチカ、へな急などなど数多くの居飛車の戦法に戦える様対策を研究なければならない戦法なのだ。
だからこそ好きな形に大体無条件で組めることを居飛車党は許すべきだろう。
しかし、この雁木という戦法は本当に何も考えずとも大体いい勝負になる。
「序盤なんてどうでもいいっしょww」などと言っている終盤強者が我が物顔で使用する極悪戦法なのである。
と、いうことで雁木の対策をある程度まとめてみようかと思いました!
ただ結構長くなりそうなので今回はpart1として触りだけまとめていこうと思います。

対象……3級〜初段くらい
目標……雁木に対して急戦を用いて、まぁ十分じゃね?くらいの局面に持ってけること

弱気に見えるかもしれませんがマジで後手雁木はつえーので簡単にぶっ潰したりは出来ません。
藤本五段が主力にしているのでまぁそういうことです、終盤強いっていいね(悲壮)

2.☖4三銀保留に対しての☗4六歩

まず初手から☗2六歩☖3四歩☗7六歩☖4四歩☗4八銀☖3ニ銀☗6八玉☖9四歩☗9六歩
この局面を基本図とします。

きほんず

実は雁木に対しては速攻をするなら☖9四歩を受けない方が得なので☗9六歩を返さない指し方もありますがこの状態では振り飛車をやってくる可能性もあり☖9五歩と端が取れた後手振り飛車はけっこう振り飛車側も面白いので端返すか返さないかは難しいところ。
今回は受ける指し方を基本図とします。
因みに後手が☖9四歩を突く理由をテキトーに説明すると☖8六歩☗同歩☖同飛などとなった時☗9五角の王手飛車を防ぐ為です。
玉動かせば良くね? 角交換しなければ良くね? ということが言われそうですが先手の急戦に対して後手雁木は玉を動かすのが価値が低い、先手の攻めをいなす為に角交換することが多い、ということでなんだかんだ王手飛車の筋がちらつくことが多いのです、ままならないね。

さて、基本図から手が広い様ですが☖4三銀が雁木を作る上でよくある手。
ですが、まず☖4三銀と上がらない手を考えてみましょう。
一番ありそうな手が☖8四歩ですが、この様に4三銀を保留する手には☗4六歩が有効になりやすいです。

角に紐がついていないことを見て☗4五歩を狙う

以下☖8五歩には☗4五歩☖8六歩☗同歩☖同飛☗7八金が一例

評価値的には互角だが後手の望む展開では無さそう

最終手の7八金が冷静で後手にこれ以上攻めはありません。
とはいえ☖4五歩は角がタダなので後手はこの4筋のぶつかりが解消しにくいです。
自然に見える☖8ニ飛には☗4四歩と取り込めます。
以下☖8六歩が気になりますが☗8四歩☖同飛☗4三歩成☖8八角成☗同銀☖4三銀☗6六角でこれは先手有利です

先手大成功

この様に単に☖8ニ飛と引く様ではいつでも☗4三歩成から角交換を強要できるので先手よしになります。
戻って前の図では☗7八金以下☖3三銀くらいしかありませんが、以下☗4四歩☖3ニ金☗8七歩☖8ニ飛☗3六歩☖4四銀☗2五歩で長くなりましたが以下の図の様になります。

雁木やりたかった人が求める局面ではなさそう

結果図は☗2四歩から歩交換の権利があり、それを嫌って☖3三角は☗3七桂などで先手に主導権がいきそうです。
ここまできてもまだまだ互角ではあるものの後手の銀が上擦っていて指しにくそうなので、これなら先手まずまずだと思います。

戻ってこの図から遅ればせながら☖4三銀と指す手も考えられますが☗2五歩☖3三角☗4五歩とできます。

☖同歩には☗3三角成☖同桂☗2四歩で分かりやすく成功

気持ちいくらい成功してるので図を掲載

これはいけないので☗4五歩には☖3ニ金と上がるくらいですが☗4四歩☖同銀でやはり後手の銀が上擦る

銀は上擦る宿命

この局面も互角ではありますが先手の方がやれそうに見えます。
以下一例は☗5八金☖8五歩☗7八銀☖6ニ銀☗3六歩☖5ニ金☗3七桂☖5四歩☗2四歩☖同歩☗2五歩で以下の図

この局面も☖4三歩で互角ですが変えて☖同歩とでも取ろうものなら☗同桂☖2ニ角☗2三歩☖同金☗1三桂成くらいで一気に先手優勢となります

一気にほぼ勝ち

流石にこの変化はうまく行き過ぎですが、この様に銀が飛び出ていると後手はすぐに悪くなる筋があるのでけっこう気を使いそうです。

3.☗3六歩急戦の理想

きほんず

戻ってこの基本図で☖4三銀以外の手は☗4六歩〜☗4五歩を狙えば先手まずまず戦えたので雁木側にとっては☖4三銀が無難でしょう。
☖4三銀対しても☗4六歩もなくは無いですが個人的にはやや形の決めすぎに思えます。
というのも、☖3ニ金と角交換に備えておけば雁木としてもそこまで悪く無いし、☖4ニ飛などと飛車振られた時に☗4六歩をついているせいで作戦の幅が狭まってしまうからです。

当然互角だが作戦は限られる

同様の理由で急戦を狙った☗3六歩も振り飛車にされた時にやや形の決めすぎとなります。
なので基本図から☖4三銀には☗5八金が無難だと思います。

飛車を振られても急戦も持久戦もできる形

今回はここから後手が漫然と駒組をした場合に先手が攻め潰す変化を見ていきます。
以下☖3ニ金に☗3六歩☖6ニ銀☗3七銀☖5ニ金☗2六銀という進行を見ていきましょう。

後手がひたすら雁木を組む

こんなふうに漫然と雁木を組んできた場合は速攻の棒銀が有力になります。
以下☖4一玉などと悠長にしていると先手は☗3五歩と突き、同歩には同銀から棒銀が受からないので無視するしかありません。
仮に☖3一玉と指せば☗3四歩☖同銀☗3八飛と進みます。

対雁木戦あるあるの飛車廻り

形は☖4三金ですが☗4六歩と突けば次に先手からの☗3五歩が受からないので☖3五歩と打つしかなく☗同銀☖同銀☗同飛と進行します。

めっちゃ成功

これは後手が歩切れなので☗3四銀のキズが消せず先手めちゃ有利。
なので前図では☖4三銀とするしかなく以下☗3五銀☖8四歩☗3四歩☖2ニ角☗2八飛とすればすでに先手大優勢です。

攻めがブッ刺さってる

以下☖8五歩にも構わず☗2四歩☖同歩☗同銀☖3四銀☗2三歩☖3三角☗同銀成☖同桂☗2ニ角で先手勝勢です。

かちかちやま

この様に後手が漫然と雁木を組んだ場合は単純な棒銀で突破することが可能です。
さて、センスの良い方であれば後手の指し手に色々疑問があったでしょう。
☖4一玉〜☖3一玉って攻めに近づいてるだけじゃない?
もっと早く☖8五歩が入っていれば☗7七角とか受けさせられてたんじゃない?
角が狙われてるから☖5四歩〜☖4ニ角〜☖6四角みたいに角を逃しながら相手の飛車に圧力かけるのは?
全部正解です、ということで次は☗3六歩を見た後の後手の対急戦への指し方を見ていこうと思いますが、文量が多いのでまた次回。
ということで、次回は後手の急戦対策の角転換、逆に後手が急戦についてまとめていこうと思います‼︎

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