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後手雁木対策速攻編(part2)

1.はじめに

こんにちは、これは後手雁木を速攻で対策するノートpart2です。
前回は☖4三銀保留型、先手速攻の理想系についてまとめました。
今回は雁木側が先手の速攻に対して引き角で対応する指し方をまとめていきたいと思います。
最初から見たい人はpart1も見てね。
ちなみに今回は結構ボリューム多めなのでぼちぼち見ていくのがおすすめかも。


2.☗3七銀の攻め方

前回の基本図がこれです。

前回の基本図

part1でまとめた所からある程度進めて、ここから☖4三銀☗2五歩☖3三角☗5八金☖3ニ金☗3六歩☖8四歩☗3七銀とした局面を今回の基本図とします。

今回の基本図

さて、前回は先手側の理想的な攻めを見ましたが実戦ではあそこまで上手く行きません。
なので、まずは実戦的な先手の攻め筋を見ていきましょう。
基本図は☖8四歩に☗3七銀とした局面なのでほぼ☖8五歩と突く所なのですがここは先手の攻め筋を見るために☖6ニ銀と指したとしましょう。

ここからいきなり☗3五歩と突けます、以下☖同歩とせず☖7四歩とか悠長にしていると☗2六銀☖5ニ金☗3四歩☖同銀☗3八飛で先手成功です。

☖4三金右には☗4六歩と突ける

☖4三金右が形ですが☗4六歩で次の☗3五歩が受からないので、以下☖4三銀しかないですが☗3五銀〜☗3四歩と拠点を作っても満足なのでこれは後手失敗です。
戻って☗3五歩に☖同歩と取ると☗2六銀☖3四銀☗3八飛と同じ様に進めてこれも先手成功です。

☖4三金右が間に合わないならこの形は成功

基本的にこの形は先手が成功していると思って大丈夫です。
しかし、キャプションにも書きましたが☖4三金右が間に合うと話は別です。
それを見るために基本図から☖5ニ金の変化を見てみましょう。


仮にここで☗3五歩と突くと以下☖同歩☗4六銀☖3四銀☗3八飛☖4三金右と進みます。

ここから☗3五銀☖同銀☗同飛☖3四歩となった局面は先手失敗です。

ガッチリ受かってるし飛車の行き場無い

まずこの局面飛車がどこに行くかも難しいです。
3九、3八、3七はどれも銀を打たれそうなので☗3六飛くらいですが☗3六飛の次なる狙いとしての☗3七桂は☖3五銀があるので中々跳ねられません。
と言うわけでこの局面は先手が銀を交換した甲斐がない局面というわけです。
戻って☖5ニ金の局面では☗7八玉が攻めの一手です

攻めの一手‼︎

…これが攻め?と思った方が殆どだと思いますがこの狙いは後に分かります。
以下☖6ニ銀☗5六歩☖7四歩☗7七角☖7三銀☗3五歩☖同歩☗2六銀と進みます。


☖3四銀〜☖4三金右で受かってるでしょ、と思いきやこの図から☖3四銀には☗6八角☖4三金右☗3五銀☖同銀☗同角と角で銀交換ができるのです。

以下☖3四歩には☗2四歩☖同歩☗同角☖同角☗同飛☖2三歩☗2六飛と進みます。

この局面は角銀交換ですが後手に持ち歩がない+先手の方が陣形がまとまっているため持ち角が若干得ということで先手満足です。
☗7八玉は不思議な手ですが角の転換☗6八角を可能にするための手でした。

ということでまとめると、☗3七銀の速攻の攻め方として☖4三金右が間に合わないなら☗3八飛

☖5ニ金が早く、☖4三金右が間に合いそうなら☗7八玉〜☗5六歩〜☗6八角の様に角で攻める。

このふたつが基本の攻め筋と言えるので後手雁木に対しては積極的にこれを狙っていくのが先手、そうはさせないと言うのが後手です。
ということで、次は後手の対策のひとつの引き角を見ていきましょう。

2.後手引き角


きほんず

戻って基本図から本名☖8五歩の変化を掘っていきましょう。
☖8五歩以下☗7七角☖5ニ金☗7八玉と進みます。
この辺もバリエーションがありそうですが8筋交換を受ける☗7七角、☖4三金右を用意する為の☖5ニ金、更にその☖4三金右に対して攻める為の☗7八玉、と言うふうに見れば並な進行といえます。
そして最終手☗7八玉に対して☖5四歩が後手の引き角対策の第一手です。

☖4ニ角と引いた時の角の働きを良くする手

まずないですが、仮にここで☗3五歩と仕掛ける変化を見てみましょう。


以下☖同歩☗2六銀☖3六歩☗3八飛☖4ニ角☗3六飛に☖8六歩が狙いの手。

後手引き角の狙い筋

以下☗同角☖同飛☗8七歩☖8ニ飛となった局面は☖2七角などが残り後手成功です。

雁木ニッコリ

と言うわけで戻って☖5四歩には一度☗8八銀と一度受けて角交換に備えて8筋を強化しておくのが良いでしょう。

ここからも☖4ニ角はある手です。
狙いを見る為にもうひとつ後手の成功例を見てみましょう。
前図から☖4ニ角☗3五歩☖同歩☗2六銀に☖6四角という変化です。

もはや☗3七銀と引くしか無い悲しい局面

これと先ほどの変化を見ればだいぶ後手引き角の狙いが見えてきます。
つまり、先手の3五歩からの攻めに対して負担になりそうな角を先に逃しながら、状況に応じて☖8六歩から角交換したり、☖6四角から飛車のコビンを狙う
というのが引き角の狙いです。

戻ってこの図から☖4ニ角の時点に対して先手の差し方を見ていきます。
☖4ニ角に対しての有力手として☗4六歩は角引きを咎めようという手なのでありそうで、実際ソフトも高く評価している手です。
が、既に☗3七銀として☗3五歩から早繰り銀の様な攻めの形をしている分、やや相性が悪い手ともいえます。
そのためか個人的な掘り下げにおいて☗4六歩の変化は分かりやすく十分といえる変化が見つかりませんでした。
なので前図から☖4ニ角☗3五歩という手がおすすめです。

初志貫徹

この手に対しては☖同歩かそれ以外ですが☖6ニ銀の様に悠長にしていると☗3四歩とされて☖同銀と取り返せません(☖同銀に☗4四角で後手の指し方が難しいため)。
なので☖同歩以外で指すなら☖8六歩くらいですが、素直に☗同歩☖同角☗同角☖同飛に☗3四歩くらいで先手満足です。

次に☗2四歩☖同歩☗2ニ歩☖同金☗3一角の様な両取りが見えるので図からは☖8ニ飛と引くくらいですが☗8七歩くらいで右銀の出足や☗3四歩の負債(後手はいつか取りたい歩だが☖3四銀は銀が宙ぶらりんで場合によっては技がかかりそう)など総合的に見て先手側が面白い局面です。

戻ってこの図では☖同歩☗4六銀(☗2六銀は☖6四角)が自然です。

ここから後手の指し手は主に3つ
①銀を出させない様にする☖6四角
②角を捌く☖8六歩
③攻めを遅らせる☖3六歩
長いですが順に見ていきましょう。

まず①から

☗3五銀を防いで自然に見えますがこれは☗5六歩くらいで後手大変です。

次に☗5五歩と突かれると☖同歩には☗同銀で普通に困るので取れないですが☗5四歩と取り込まれても☖同銀に☗4四角があるのでさらにそれも取れません。
故に☗5五歩と突かれる前に動きたく、それには☖4五歩しかないですが、強く☗1一角成☖4六歩☗同歩☖同角☗1八飛で先手よしです。

一瞬後手駒得だが形が悪い

☗4八香を嫌う☖4四歩は☗2一馬☖2七銀☗4七香☖6四角☗4八飛などが一例であまり効いていません。
なので図からは☖3三桂が最善ぽいですが☗4九香☖6四角☗4三香成☖同金左☗2四歩☖同歩☗3四歩☖同金☗2三銀が一例で先手よしです。

色々あるが攻めが繋がりそうだ

以上より①の☖6四角はあまり良い選択では無さそうです。
ということで選択肢に戻って②の☖8六歩を見ていきましょう。

これに対しては☗8六同歩☖同角☗同角☖同飛☗2四歩☖同歩☗同飛☖2三歩☗2六飛という進行が先手としては良いでしょう。

すごくあっさりしている様ですが実はすでに先手指しやすそうです。
というのも☖7六飛は☗7七銀☖7四飛☗5六角くらいで嫌らしいので☖8ニ飛くらいですが☗8七歩として☗3五銀が単に残っており先手良さそうです。
この変化は先手が望めば後手としては変えることができないののも先手にとって嬉しいところ。
ということで☖8六歩もあまり怖い手では無いといえます。
最後に選択肢に戻って③の☖3六歩を見ていきましょう。

個人的にはこれが後手最善の対応だと思います。
これに対しては☗2六飛が自然ですが以下☖8六歩☗同歩☖同角☗同角☖同飛くらいで以下の図になりますがちょっと先手面白くない様に見えます。

☗2四歩は☗2六飛と上がっている分なんだか損に感じますしあまり効果が分かりません。
☗3五銀は☖7六飛☗7七銀☖7五飛☗3六飛☖2七角くらいでも怖いです。
なので自然に指すなら☗3六飛くらいですが☖7六飛☗7七銀☖7五飛☗3七桂☖9三桂くらいで先手気持ち悪いです。

これは途中の☖7五飛に☗3七桂と受けなければならないところが☗2六飛〜☗3六飛という動きが咎められている感じがしますね。

では戻ってこの図で何が最善かという話で、難しいですがここでは☗5六歩が良いと思います。

ぼやけている様だが多分最善

この手の意味を解説するのは結構大変なのでざっくりとした説明をすると、この手は最も得な手渡しという感じの手です。
☖5五角を消して☗3五銀としやすくする、☖6ニ銀と指してしまうと先手の飛車が8筋に回る変化の時に☖8ニ歩と受けられない、などがこの☗5六歩の旨みです。
かなり漠然とした説明になってしまいましたが上の様な理由で後手は☗3五銀の攻めも怖いし☖6ニ銀も指しにくいのでもはや☖8六歩と指しそうです。
以下☗8六同歩☖同角☗同角☖同飛に☗2四歩☖同歩☗同飛☖2三歩☗2六飛と進みます。

☖3六歩に単に☗2六飛とした変化と見比べると視覚的にも得に見えるとおもいます。
2筋を交換してスムーズに☗2六飛と☖3六歩に対応した形にできている上、☖5五角まで消しているので実際良いはずです。
この局面から☖8ニ飛には☗8七歩として☗3五銀が単に残るので後手としては☖7六飛としてなんとか動きたい所です。
☖7六飛に対しては色々ありますが、☗7七歩とピシャリと打ってしまうのが一番人間的には分かりやすいでしょう。
以下☖7四飛☗3六歩☖3四歩☗3五歩で先手満足です。

攻めれてるし自玉もよくまとまってる
☖8四飛には☗3四歩☖8六歩☗2四歩☖同歩☗2ニ歩
☖同金☗7五角などを狙う

というわけで後手角引きに対しては以上の様に対応すれば先手満足になると思います。

戻ってこの局面ですぐに角を引かずに例えば☖6ニ銀など指して遅らせて角引きを狙う手もありそうですがそれには☗5六歩で問題なさそうです

ここから☖4ニ角は☗3五歩☖同歩☗4六銀とすれば先程紹介した指し方と同じ様な方針で指せば問題ないです(局所的にはやや違いますがひとつひとつ解説すると長いのでご容赦ください…)
また、ここから更に遅らせてから☖4ニ角と引くことも考えられます。
つまり図から☖7四歩などを指すということですが、既に先手は☗6八角と引いて攻める準備が出来ているので☗3五歩とすれば引き角はもう間に合わないです。

……大変長くなりましたが、これにて後手引き角に対しての先手の対策は終わりとさせていただきます。
色々細かい変化を紹介したかったですが、見てる側もこんがらがる上私のやる気も無くなりそうだったのでやめました。
しかし、個人的には概ね引き角に対して有効な方針がまとめられたと思うので皆さんの雁木対策に少しでもプラスになれれば幸いです。
というわけで、次回は後手雁木対策速攻変の最終part、なんか後手がめっちゃ銀を早く出して逆に急戦狙うやつ、をまとめようと思います。
個人的には次回が一番多くの人にとって興味がある内容だと思うので頑張ってまとめ切りたいと思います‼︎

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