NOVAの失敗からKPI設定の重要性を理解する(戦略実現をサポートする経営管理の重要性)

図書館でふと目にした世界倒産図鑑という本を読んでいる。

これが予想以上に面白い。
国内外で過去に倒産した企業を、戦略上の問題とマネジメント上の問題に分類して整理している。(加えて、単純に何が問題だったか、というのではなく、自分が経営者だったら同じ過ちを犯すかもしれないという当事者意識をもって振返ってくれている視点がとても良い)

私自身は、戦略策定よりも、その実行、特に経営管理の分野を専門にしていることもあり、マネジメント上の問題を抱えて倒産した企業の例に着目して読んでいる。

まず面白いのがNOVAのケース。

  • 戦略上は、今まで格式高かった英会話学習を、友達と約束する感覚でアポを入れて学習できるというコンセプトで教室を拡大。

  • 財務戦略上も、前金によりその後の継続顧客フォローに労力をかけず、そのお金を再投資(教室、講師確保)に回すというモデル

  • 「駅前留学」「お茶の間留学」というキャッチフレーズでのプロモーションも秀逸
    といった形で順調に拡大していた。

失敗の原因として、急な拡大で教室間でのカニ張りが起きていたことや教師の育成が追い付かず品質が低下/予約がとれなくなっていたことが言われるが、この書籍ではさらに経営管理(KPI)設定の不備に言及している。

前金ビジネスは獲得することが先行してしまい、獲得した顧客満足度にフォーカスしにくい”堕落しやすい”ビジネスモデルである、という前提のもと、マネジメントが顧客満足度や教師の質、教室の質などをKPIとしてモニターしていなかったこと(「規律」がなかったこと)にも原因があると。

キャッシュインの仕組み(ビジネスモデル)と規律の関係性、という言葉でも言い換えられているが、これは経営管理を専門とする自身でも納得感がある。

昨今DXということで、新たなビジネスモデルを構築するという動きが盛んだが、自社のビジネスモデルを踏まえて規律(経営管理)のあり方をしっかりと考えることが、DX実現(戦略の実行)につながるのだということを肝に銘じたい。


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