超ヒラリズム5月

 超ヒラリズム5月                    陽羅義光
 
超ヒラリズム1【日本銀行植田総裁】
 どうして「頭取」ではなく「総裁」なのか、よく解らない人も多かろう。それに、こんな偉そうな肩書き付けても、何をしているのか、よく解らない人も多かろう。多い筈で、何もしていないのだ。少なくとも国民のためには何もしていない。どうにもとまらない円安にも、平然としているからナ。
 
超ヒラリズム2【公明党山口代表】
 自民党の裏金問題に関しても、他山の石くらいの発想はしても、日本銀行総裁と同様に飄々としているのが山口サンだが、同じ与党として、それこそ「連座制」的責任があることを解っていない。寄らば大樹の陰という感覚の情なさはともかくとしても、政治感覚の鈍さは指摘せざるを得ないヨ。
 
超ヒラリズム3【ムーキー・ベッツ】
 深夜でも早朝でも、テレビでドジャーズの試合を観るのだが、もちろんお目当ては大谷選手だ。けれど大谷サンの前を打つベッツの魅力にはまっている。どこかイチローを想わせる攻・走・守そろった名選手で、何よりいいのは、いつもニコニコと、野球が楽しくてしょうがないという顔デアル。
 
超ヒラリズム4【オオクボ先生】
 私はコドモのころ「神童」と呼ばれていた。その神童が二十年ぶりに帰郷し、担任だった女性のオオクボ先生を訪ねたのだから、そのときの先生の興奮ぶりったらなかった。話がとまらず、教室で生徒が大量のオシッコを漏らしたことも延々と喋ったが、その生徒が私だったことは忘れていた。
 
超ヒラリズム5【イシイ君】
 私はコドモのころ「男の中の男」と呼ばれていた。男の中の男はいつも超然としているのデアル。相手が誰であれ、恋愛はかくべつ御法度なのデアル。けれど心の中は超然ではなかった。村下孝蔵の「初恋」という歌に、校庭を走る君の姿を見ていたとあったが、イシイ君の走る姿に見惚れていた。
 
超ヒラリズム6【ハマナカ教頭】
 私はコドモのころ「天才」と呼ばれていた。なかでもハマナカ教頭先生は、ことあるごとに私をそう呼んだ。そして校内で何か問題が起こると私に聞いた。私はいつも「なんとかなります」とだけ答えた。問題だらけなのは私の方だった。私はいつも、なんとかなると自分にいいきかせていた。
 
超ヒラリズム7【カワカミ巡査】
 私はコドモのころ、「正直者」と呼ばれていた。五円玉の落とし物を交番のカワカミ巡査に届ける。ガ毎度のことなので、おまわりさんは「君は正直者だね」というセリフも疲れ気味。実は貧乏なので小遣いが貰えない私は、下ばかり向いて歩く。五円玉を届けるときは百円玉を拾ったときなのだ。
 
超ヒラリズム8【タチバナ医師】
 私はコドモのころ、「美少年」と呼ばれていた。校門は待ち伏せする女の子であふれていた。ガ私は俯いて黙って通り過ぎる。私が美しくないのは、行きつけの医院の先生だけが知っていた。体中疣と瘤と痣だらけ。極端な出臍で、チンチンはひん曲がっていて、肛門からは痔が飛び出していた。
 
超ヒラリズム9【フジコ・ヘミング】
 フジコさんは高齢者の星だった。百歳まであの素敵なピアノを弾いてほしかった。フジコさんの音楽は、天に通じている感のある音色だった。フジコさんのスガタは、大昔私たち餓鬼のアイドルだった「ひきずり女」を想わせた。ひきずり女に関しては、いくつか書いているのでやめておくけどサ。
 
超ヒラリズム10【ポール・オースター】
 この人気作家は私と同い年なので、親しみを感じていた。そういう作家が亡くなるのは辛いが、人気のない作家である私には、人気のある作家が亡くなっても、これはこれで充分じゃないかと思われるのである。三島や川端が自殺したときも、清張や司馬が亡くなったときも、同様の感慨だったネ。
 
超ヒラリズム11【若山耀人容疑者】
 子役で出演した『軍師官兵衛』のときは、その名の通りキラキラしていた。あのキラキラを二十歳でギラギラにしてしまった。私は二十歳から十年間闘病したから、ギラギラにならなかった。耀人君もこれから十年間闘病するつもりで生きてほしい。まだこれから長い人生が待っているのだからネ。
 
超ヒラリズム12【アメリカのデモ学生たち】
 私はだれがなんといおうと、徹底的なアメリカ嫌いなのであるが、今回のアメリカのデモ学生たちには、アメリカも捨てたもんじゃないと思った。その主張も反ユダヤ主義ではなく、大学と軍事企業の癒着を批判するものだ。どうせなら、イスラエルに対するアメリカのなまぬるさを批判すべきヨ。
 
超ヒラリズム13【イスラエルの人々】
 あれほど自分のこと(自分たちのこと)しか考えない国民(人種)も珍しい。ついホロコーストを考えてしまうから、ユダヤ人に関しての評価が甘くなってしまうのは、私ばかりではあるまい。ヒトラーの大罪は現在にまで及んでいる。哲学思想も政治思想も人種を超えたものでなければならない。
 
超ヒラリズム14【北上行州】
 超ヒラリズムがあるからには当然(時局エッセイ)「ヒラリズム」がある。それと並行して「絶対文感」(264名の作家の文章論)があり、原稿用紙にして総数10万枚以上。その付録として書いたのが「北上行州論」であり、実在の作家として取り上げられたりもしたが、架空の作家であった。
 
超ヒラリズム15【北上行州(続)】
 評論は創作である、という私の信条の具現化が「北上行州論」であったが、私が練り上げ創り上げた作家だとは、読者はだれも気づかなかった。申し訳ない気もする。掲載した全作家協会のHPの混乱や、私のパソコンの爆発もあってデータは紛失しているが、万一見つかればnoteに再掲載したい。
 
超ヒラリズム16【憲法改正論者】
 憲法改正に賛成する国民が半数を越えたという。ならば私は、少数派となった。少数派でもいわなきゃならんのは、改正の大義なんか、まったく皆無だということだ。やられたらやられたでしかたないし、国がなくなったらなくなったでしかたないし、だからといって大和魂が消え去るわけではない。
 
超ヒラリズム17【皇室の方々】
 私はあんまり人を尊敬したことがないけれども、上皇后美智子様をむかしから尊敬している。また愛子様や佳子様のことは失礼ながら大好きである。結句皇室の方々はどなたも好きなのだ。そんな私でも現在の皇室の在りかたというものがよく見えてこない。天皇陛下の御託宣が今こそ必要であろう。
 
超ヒラリズム18【唐十郎】
 唐サンが急死したという。私たち演劇青年は、寺山修司の「天井桟敷」派と唐十郎の「状況劇場」派とに別れていた。寺山は歌人・作家としても抜群の人気があったから、唐は先輩の寺山を追いかけていた感があった。命日も同じだ。私は花園神社の紅テントでの、唐サンの存在感に圧倒された。
 
超ヒラリズム19【若山耀人容疑者(再)】
 若者たちに金権主義が蔓延している実感がある。若山容疑者いわく「世の中は金だ」というのは、マチガイではないがマチガイである。いやはや、金がなければ何もできない世の中になっている。これはむろん私たち人生の大先輩の責任である。ドラマ「若者たち」を観て育った世代なのに、情ない。
 
超ヒラリズム20【金権主義者たち】
 自民党の裏金問題しかり、特殊詐欺の横行しかり、統一教会の信者騙ししかり、闇バイトしかり、スポーツマンの高年棒を特大ニュースにするジャーナリズムしかり、連中の金権主義が青少年を蝕んでいる。いや金権主義どころか金拝主義で、「こんな日本に誰がした」と問いたい。ダブルで情ない。
 
超ヒラリズム21【文化人たち】
 どういう人を日本では「文化人」と呼ぶのか。私はその定義を知らないけれども、例えばテレビのコメンテイターの、出たがり教授や、専門家然とした先生や、インテリ風芸能人や、元○〇という正体不明者なんかを呼ぶのだとしたなら、日本の文化とやらも、地に落ちたといわざるを得ないナ。
 
超ヒラリズム22【山田優七ちゃん】
 ユース・アメリカ・グランプリで優勝したバレリーナを、「ちゃん」で呼ぶのはどうかと思われるが、私の孫の年代なのでご勘弁。バレエのコンクール優勝は今回で二回目だというが、語呂合わせ好きの私にいわせれば、「優」勝は「七」回するはずだ。ビデオで観たが、足の運びが既にプロだネ。
 
超ヒラリズム23【林先生・記憶がないが多分(再)】
 平日は毎朝、テレビ朝日の「林先生のことば検定」を観ている。CМを除けば五分くらいの番組なので、面白くて、気楽に観られるし、何よりも勉強になる。自分では知らない言葉はないと豪語することもあるが、言葉の世界は広く深い。恥ずかしながら、幾つになっても勉強あるのみであるヨ。
 
超ヒラリズム24【原田マハ】
 美術に関係する小説を書いているということで、マハはかの「裸のマハ」からとったペンネームだろうと、勝手に思っていたが多分当たっているだろう。今回『楽園のカンヴァス』を読んで、私くらい美術への造詣があるのを知って感心したが、略歴を見ると私と大学も学部も専攻も全く同じだった。
 
超ヒラリズム25【鼠小僧】
 コドモ時代、鼠小僧次郎吉は鞍馬天狗と同じくらい、私のヒーローだった。ネズミを主人公にした小説を書いたこともある。ドブネズミは汚らしいから毛嫌いされるが、ハツカネズミはキレイで、娘がコドモのころに飼っていたこともある。私の前世はネズミだった気がする。むろんドブネズミの方。
 
超ヒラリズム26【丸山健二&中上健次】
 ある時期、日本文学の柱はWケンジとW村上だった。W村上は未だに読まれていると推測するが、Wケンジは予測通りあまり読まれなくなった。これほど優れた作家の作品が読まれなくなったのは、文学の衰退であり嘆かわしいことであるが、文学にだってエンタメ性が必要という証拠でもあるナ。
 
超ヒラリズム27【小山内美江子】
 小山内さんは、かつて私が或る文学賞をもらったときの選考委員長だった。尤も後で全然読んでいなかったことが判明した。全然読まなくとも選考委員長になれることに呆れもし感心もした。いい意味でこれほど図太くなければ金八先生を生めなかっただろう。授賞式のスピーチも10秒だったっけ。
 
超ヒラリズム28【北方謙三・記憶がないが多分(再)】
 北方の中国歴史小説の数々を愛読している。現代小説を書く作家が、年輪を重ねて歴史小説を書き出す例は多くある。それを或る人は、歳をとると想像力が湧かないからだという。あながちマチガイでもない。そうだとしても、あれだけのものを生みだすのだから、想像力以上のものがあるのだヨ。
 
超ヒラリズム29【安倍派会計責任者】
 裏金問題の裁判が始まったが、これぞまさしく茶番だ。検察の腑抜けはもちろん、こんな老会計専門家に全責任をかぶせよとする派閥幹部の情なさヨ。いまこそ国民が天罰を加えなければならない季節が到来したのだ。私はテレビで老会計専門家の姿を見たが、昔のアメリカの魔女裁判を想起したネ。
 
超ヒラリズム30【環境省職員】
 今回の愚劣な有様を、今は亡き石牟礼道子さんや渡辺京二さんが観たなら、どう思いどう発言するか。いや、もはや言葉を喪うだろう。大臣も職員も、環境省でありながら、水俣病の悲惨どころか、環境なんてことも全く解っていないという証明である。謝って済む話じゃない。即刻全員クビじゃ。
 
超ヒラリズム31【イスラエル軍】
 こんなことをいつまで続けるつもりなのか。イスラエルのみならず、全世界のユダヤ人は、もはやナチスの悪行を非難できなくなるゾ。そんななかで、アメリカの議会で「原爆が日本との戦争を終結させたのだから徹底してやるべきだ」という発言があったという。日本政府は断固抗議すべきだゾ。
 
超ヒラリズム32【横浜・筒香選手】
 筒香選手が日本球界に復帰し物凄い活躍で、ベイスターズは筒香効果で優勝するかもしれないという感じになってきた。ひとついえるのは、大物選手は皆メジャー志向だが、合うのは大谷選手くらいで、松井選手だってメジャーに行かなければ、王さんに匹敵する成績を残せたということダヨ。
 
超ヒラリズム33【アンリ・ルソー】
 先日言葉足らずで触れた原田マハの『楽園のカンヴァス』では、当時は全く不人気、どころか周りに嘲笑されるくらいで、現在は大人気画家のルソーのことを書いている。どこがそんなに嘲笑されたかというと、「まるで子供が描いたようだ」というのである。私ならそれは誉め言葉として使う。
 
超ヒラリズム34【中原中也】
 中也が詩人として朔太郎や光太郎よりも優れているとは思われないが、彼の詩ほど、人びとの記憶に残る一行を多く持つものは稀有ではないか。一般には「汚れちまった云々」「ホラホラ云々」「ゆよーん云々」「吹き来る風が云々」等であろうが、私には「なにゆゑにこころかく羞ぢらふ」である。
 
超ヒラリズム35【浮世の画家】
 これはカズオ・イシグロの小説の話ではなく、私の友人の画家のことである。昔から私は彼に本を読めと忠告してきたのだが、やってないから絵が深化しない。小説が厭ならせめて「ゴッホの手紙」とか「ゴーギャンの伝記」とか。それも厭なら映画とか音楽とか。芸術は総て地下道で繋がっている。
 
超ヒラリズム36【ゴーギャン&モーム】
 モームの『月と六ペンス』を、訳者が変わるたびに再読している。原書で読みたいが、残念ながらそこまでの時間はない。この世界的大ベストセラーは、ゴーギャンにヒントを得て書かれたものだが、誰もがいうようにゴーギャンの伝記ではない。だが私は「ここにゴーギャンが在る」といいたい。
 
超ヒラリズム37【ゴーギャン&モーム(続)】
 モームの『月と六ペンス』の面白さは、誰もがいうように比類ないものであるが、私はこの作品はそれ以上の(もしくはその他の)価値を持つと考えている。つまりこの小説が読まれ続けるかぎり、ゴーギャンの絵に興味を抱く者が増え続けるという事実である。そういった手柄も小説にはあるネ。
 
超ヒラリズム38【ゴーギャン&ゴッホ】
 かつて私たち、美術と美学を専攻した学生の間では、ゴーギャンとゴッホ、どちらが画家として上位かなんて話題がよく持ち上がったが、他愛のない話である。芸術家に差異はあっても上下左右なんかない。要は、君はどちらが好きかということである。どちらともいえず、セザンヌと答えるかも。
 
超ヒラリズム39【ロシア人&イスラエル人】
 大岡昇平は「軍人に戦争責任があるなら傍観者にも戦争責任がある」といっている。私はこの言葉を大事にしていて、いまこの言葉をロシア人とイスラエル人に向けて発したい。
まったく若い頃からロシア文学を愛読してきた者の一人として、現在のロシアの最低ぶりには忸怩たる思いがあるヨ。
 
超ヒラリズム40【ジミー&ボギー】
 ハリウッドでは小柄な男性スターが多く登場している。ジェームス・ディーン、ハンフリー・ボガードをはじめ、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ等々。それはありがたいことだし、うれしいことだが、本人は相当に苦労したと思われる。演技力を磨かねばならないからナ。
 
超ヒラリズム41【ゴケン】
 護憲ではなく、上原謙、高倉健、緒形拳、松平健、渡辺謙の五ケン。五人とも大スターであり演技力も認められているが、ホントは顔と躰で勝負してきた気がする。前回ハリウッドの話をしたが日本では小柄な男性スターがすくない。スターの決め手、これはまず一般人との相違であることが解るナ。
 
超ヒラリズム42【遠藤】
 作家の遠藤周作ではなく俳優の遠藤憲一でもなく、今回は大相撲の遠藤。遠藤は幕内から十両に落ちたが、頑張っている。とくに好きな力士ではなかったが、応援している。照ノ富士がずうと下に落ちたときも応援したら横綱になった。横綱は無理でも十両優勝をしてほしい。君ならできるゼ。
 
超ヒラリズム43【判官】
 私の判官贔屓もとうとう遠藤にまでいった。考えもしなかったが、(むろん手前味噌で)いよいよ私の判官贔屓も筋金入りとなった気がする。判官といえば源義経だが、どう調べても義経は魅力的であり、逆に歴代の日本の首相連中を想わせる、源頼朝は好きになれない。義仲もなかなか魅力的だ。
 
超ヒラリズム44【金原瑞人】
 外国文学は、新しい翻訳者が登場するたびに再読することにしている。原書で読んだ本もあるが、あれもこれもというわけにはいかないから、翻訳者に委ねるところがある。最近では金原瑞人氏の翻訳が、私のお気に入りである。先述したモームの『月と六ペンス』も金原訳で再読し、感銘した。
 
超ヒラリズム45【掃除仲間】
 現在の私にもし肩書きを付けるとしたなら「掃除夫」である。厖大な敷地のお寺の掃除、草刈り、溝浚い、ゴミ処理等々を長く一人でやってきた。躰がボロボロになったころ、三人の新人が加わった。あれこれ指導しながらすすめているが、同世代なので気が楽だ。。文学仲間よりも楽しい仲間だ。
 
超ヒラリズム46【ガザの人々】
 トンデモナイ夢を見た。考えたこともない夢だ。なぜ見たのかも解らない。早朝四時に目覚めて、すぐにこれを書いている。私はガザの人間になっている。イスラエルの攻撃から逃げ回っている。建物から建物に移っている。私はデスクを壁に立てかけてそこに隠れる。だがそこも徹底的にやられる。
 

超ヒラリズム47【ガザの人々(続)】
 夥しい数の家族と一緒に逃げている。だがいつのまにか各々の家族は半分になっている。つまり半分は、イスラエルの攻撃で殺されてしまったのである。両親をやられた家族、子供たちをやられた家族、祖母と孫をやられた家族。私は一人で逃げている。半分になるとしたら上下か左右半分ずつだ。
 
超ヒラリズム48【ガザの人々(続々)】
 イスラエル軍の攻撃はハンパではない。何をしたわけでもないのにやられる。その恐怖をガザの家族たちと共に感じた。こんなにリアルな夢を見たことが無い。なぜだか解らない。私はこの私ではない。私は完全にガザの人間なのである。今でも夢とうつつの境が判然としない。いつ攻撃されるのか。
 
超ヒラリズム49【ガザの人々(続々々)】
 総てを具体的に想い出すことができる。というより、まだ夢の中かもしれないから、周りにガザの家族たちが居る感じがする。ガザの家族たちの顔や姿や声。建物も家具も、それらが人々といっしょくたに破壊される様子も。なぜ私だけ逃げおおせているのだろう。ロケット弾が目前に見えるのに。
 
超ヒラリズム50【ガザの人々(続々々々)】
 こんな目に遭い、こんな惨状を目にしていて、なぜ私は抵抗しないのだろう。例えば、瓦礫を握ってイスラエル軍の戦車めがけて放り投げるとか。私は何もできないでいる。私は逃げ回るのみだ。ガザの人間のちっぽけな一人として、みんなと一緒に逃げ回るしかない。他に私は何も考えられない。
 
超ヒラリズム51【ガザの人々(続々々々々)】
 連中の圧倒的な攻撃は、虎が兎を食い殺す有様を想わせる。兎になすすべはない。叫び、哭き、断末魔の声をあげるのみだ。いや声をあげる時間もなく、次々と私の同胞が殺されてゆく。何でこうなるのか、何が何だか解らずに砲丸や弾丸から身を守る。情ないが情ないなんてことも考えられない。
 
超ヒラリズム52【ガザの人々(続々々々々々)】
 ようやく、いつもの老いて疲れた私自身であることに覚醒する。そして私は水を飲みトイレに行く。だが私はついさっきまで、まちがいなくガザの人間だった。飲む水もなく用も足せない。ペンという武器さえない。声をあげてもだれも救けにこない。ひたすら逃げ回り何度も同胞の死を目撃する。
 
超ヒラリズム53【ガザの人々(続々々々々々々)】
 こんな夢は今まで見たことが無い。ほとんどの夢は目覚めた途端に忘れてしまうが、今回は鮮明に覚えている。砲撃で崩れる建物、死んでゆく人々、ロケット弾の軌道まで。しかもふだんなら私は私なのだが、今回も私は私なのだろうが、ガザの人間になっている。自己主張する余裕なんかない。
 
超ヒラリズム54【つばさの党幹部】
 報道で大々的に扱われて(例えば読売新聞ではトップ記事)本人たちにとっては思う壺だろう。言葉での妨害は、国会でも頻繁に見られることであり、テロではないのだから、大袈裟に騒ぐことはない。騒げば騒ぐほど本人たちは喜ぶのだから、相変わらずジャーナリズム何をやっとるのか。
 
超ヒラリズム55【高橋一生&飯豊まりえ】
 ちょいとビックリだが、私もお気に入りだったお二人が結婚とのこと、これはもう大いに祝福するほかはない。高橋は前にも書いたが、ホントに演技がうまい。好き嫌いは度外視して、その演技にほれこんでしまう。飯豊はホントに感じのよいタレントで、私的には好感度ナンバーワン。乾杯。
 
超ヒラリズム56【番長】
 これは私のことではなく、スロットの機種である。昔は北斗の拳にはまったが、なかなか出にくいので、簡単なジャグジーにした。それから五円スロットの番長にしたが、これは600回打つと必ず一回は出るので目安がつく。しかも五円スロットは大負けしないから貧乏な私にはピッタリ。
 
超ヒラリズム57【テンハッピーローズ】
 競馬のG1で単勝2万円なんて聞いたことがない。競馬にモシは禁句だが、モシ1万円買っていたら200万になる。地団駄踏んだのは、狙っていたからで、残念ながらその1万が捻出できず見送るしかなかった。貧乏人はこれだからイヤになる。これでまた借金返済が遠のいた。ムムム。
 
超ヒラリズム58【オークス馬】
 内容が無いのはまだしも、みみっちい話ばかりが続いて、われながら情ない。われながらというのは、私としてはではなく、私らしいという意味で、情ないのが私なのである。今年のオークスは、213番人気の順できて、このガチガチ感も珍しい。くると解っていても貧乏人には買えない。
 
超ヒラリズム58【ダービー馬】
 こういうビッグレースに大穴はこないと知りつつ、やっぱり大穴をねらうしかないのが、貧乏人の辛いところだ。たとえば単勝200円だって、1千万買えば、1千万の儲けなのだ。金持はそういう賭け方をする。金持はどこまでも賢明で、貧乏人はどこまでも哀れなほどに懸命である。
 
超ヒラリズム59【妖怪イソガシ】
 このオバケに取り憑かれたら、倒れるまで大忙しでいかなければならない。現役時代の私がそうで、誰も信じないが365日一日も休まない年があり、100時間一睡もしないという時もあり、それが数十年続いた。けれど現役を退いたいまでも、このオバケがなぜか退散してくれない。
 
超ヒラリズム60【オオタ君】
 中学時代の親友で超優等生のオオタ君は、仲間が余計なことをいうと、必ず「目立ちたがって」と罵倒したものだ。だから私は余計なことをいわないで過ごしたが、このヒラリズムを見たら、オオタ君は罵倒するにちがいない。余計なことをいい過ぎている気がする。オオタ君、スマン。
 
超ヒラリズム61【国際刑事裁判所検察官】
 今回イスラエルのネタニヤフを、戦争犯罪人として逮捕状を請求したそうだが、私にいわせれば、世界の指導者の大半は、大なり小なり戦争犯罪人である。よって、ネタニヤフやプーチンの冠は、「戦争犯罪人」というよりも「大悪党」というほうが似合っている。大悪党として歴史に残る。
 
超ヒラリズム62【中尾彬】
 いまは誰も信じないけれども、若い頃の吉永小百合さんは中尾彬さんに夢中だった。加藤剛さんに夢中だったこともある。たぶん私にも夢中だった。あれでけっこう気の多い人だった。中尾さんと結婚しなかったのは親の反対が凄かったからだろう。岡田太郎さんも同じパターンだネ。
 
超ヒラリズム63【立憲岡田幹事長】
 今度も岡田さんが登場する。まったくこれほど素っ頓狂とは思わなかった。法案が成立するまではパーティーをやるなどということは、刑法が決まらず処罰されないうちなら、泥棒をやってもいいというのと同じで、そんなこと言っても大丈夫と考えていたとしたら政治感覚が鈍すぎる。
 
超ヒラリズム64【ダービー馬】
 皐月賞では本線で狙っていたのに、発想除外になった。これはイカンとダービーでは外したら、きちまった。これは関係者の深謀遠慮というよりも策謀だナ。どんな策謀かとあえていうなら、私に馬券をとらせないという策謀だ。これだけコテンパンにやられると、被害妄想になるわナ。
 
超ヒラリズム65【バカども】
 バカというのは差別語らしい。私は馬鹿と書かずに莫迦と書く。なぜなら馬鹿は馬と鹿に対する差別だからだ。この超ヒラリズムではいままで何百人ものバカどもを書いてきたが、考えてみると(考えてみなくとも)バカの骨頂は、この私である。バカにつける薬があったら教えてほしい。

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