超ヒラリズム4月の3

超リラリズム4月の3
 
超ヒラリズム1【平野啓一郎】
 平野の労作『三島由紀夫論』を読んだ。少なくはない三島論は総て読んだが、これほど疲れた本はなかった。三島の本質に肉迫したものだったからだ。三島という存在が、これほどの労力をかけて論じられる価値があるのかと問うならば、私にとってはノーであり、平野にとってはイエスだった。
 
超ヒラリズム2【孫】
 歌謡曲でも歌われたくらいだから、たしかに孫は可愛い。子供より孫のほうが可愛いという人たちも多くいる。けれど金銭的に時間的に精神的に、孫を可愛がるゆとりができたからそういうのであって、ホントは子供の方が可愛いのである。残念ながら子供が小さい時は、可愛がる器量がなかったナ。
 
超ヒラリズム3【ルメール騎手】
 ルメールが落馬負傷をして乗馬できなくなってから、当たり馬券が極端に減った。ルメールさえ買っておけば儲からないまでも、損をすることはなかったからである。もしかするとルメール本人よりも私ら競馬ファンの方が痛手かもしれない。勝たねばならぬ私らにとって、今が正念場なのだろう。
 
超ヒラリズム4【愛子さま】
 愛子さまの日本赤十字嘱託社員就職は、嬉しかったというか、安堵したというか。何かと心配したのは余計なお世話で、美智子さま雅子さまのお導きがよろしかったのだろう。テレビでご挨拶を聴いたが、とてもご立派であった。私は女性天皇に賛成なので、愛子さまの現在のお姿を祝福したい。
 
超ヒラリズム5【タクシードライバー】
 トなると、いつもロバート・デ・ニーロの映画を想い出すが、昨今聞くところによると、「ライドシェア」なるものが登場したという。タクシー不足を補うための自家用車商売らしいが、何だかみみっちいというか、せちがらいというか、新しければいいってもんじゃないゾ。やめとけやめとけ。
 
超ヒラリズム6【膳場貴子】
 人気番組「サンデーモーニング」のМC関口宏が降りて、いささかつまらなく思っていた。こりゃ期待できんと観るだけは観た。けれども新МCの彼女は、相当に優秀だとすぐに解った。決して出しゃばらない、一歩引いた態度に終始していたが、これは「能ある鷹は爪を隠す」というあれだネ。
 
超ヒラリズム7【下村アナ】
 私の一番のお気に入りアナが、とうとう結婚した。「報道ステーション」を観る楽しみの一つは、彼女の活動を見ることだった。そこはかとない魅力がある。けれど私もこの歳だから、ロスなんかにはならない。彼女の幸せを祈るとともに、ご主人が誰かは知らないが、彼の見る目に乾杯したいナ。
 
超ヒラリズム8【長谷川議員】
 この政治家はダメ男だな。政治家はおしなべてダメだが、ダメの中のダメだな。彼のパワハラ的な言動はむろんだが、そんなことよりも、政治家が「公僕」だということを解っていない。これから政治家は全員、研修をしないとイカン。「僕、公僕。僕、公僕」トお経を唱えるごとく唱え続けることだナ。
 
超ヒラリズム9【佳子さま】
 この歳になっても周りから、「好きな女性のタイプは」とか「好みのタレントは」とかよく聞かれる。「はるかちゃんだろ」とか「まなちゃんじゃないの」とか指摘されて、曖昧な返事をしているが、実は佳子さまである。不敬罪で訴えられるといけないから、口に出してはいわないが、佳子さま命。
 
超ヒラリズム10【宮沢賢治】
 私は詩人や小説家に憧れたことは嘗てないのだが、宮沢賢治だけは別だ。むろん賢治の童話は素晴らしいが、私が敵わないとコウベを垂れるのは賢治の詩である。逆立ちしたって書けない。「永訣の朝」「眼にて云ふ」などは私小説の趣きのある詩だが、どんな私小説も敵わない真情に震えがくる。
 
超ヒラリズム11【宮沢賢治(続)】
 賢治というと忘れられない一情景があって、私が小学六年のとき、盛岡の不来方城址でよく遊んでいたころ、そこにあった小さな図書館の壁に賢治の写真が掛っていた。何故か気味が悪く眼をそむけたいのだが、そむけることができずに見入ってしまっていた。むろん賢治の作品を知る以前の話サ。
 
超ヒラリズム12【宮沢賢治(続々】
 今野勉の『宮沢賢治の真実』という本を、唸りつつ読んだ。賢治の詩の数々や『銀河鉄道の夜』を中心に、賢治とその妹とし子の謎に迫っている。ノンフィクションというものは、そして作品解析ということは、これほどまでに細密に調査しなければならないものなのかと、半ば感銘し半ば恐怖した。
 
超ヒラリズム13【在原業平】
 いにしえのモテモテ男、イケメンの代表格である業平は、歌の名手でもあった。この物語を訳した川上弘美は「どうして女はこの男に夢中になるんだろう」という疑問をぶつけている。彼女は当時のことをよく解っていないらしい。当時の男女にとって歌だけがコミュニケーション・ツールである。
 
超ヒラリズム14【川上弘美】
 こんにちのモテモテ女、美人作家の代表格である弘美は、芥川賞、紫式部賞、伊藤整文学賞、女流文学賞、谷崎潤一郎賞、泉鏡花文学賞など、有名な文学賞を総なめにしている。これは業平の謎よりも謎だ。私は弘美の小説の愛読者であるが、マイナー・ポエットとして考えているのであるから。
 
超ヒラリズム15【フレディー・マーキュリー】
 この稀代の天才を、私たちの文学仲間である島永嘉子さんが書いた、『フレディー・マーキュリーの輝きと哀しみ』という本には、まさにフレディーの輝きと哀しみが溢れている。島永さんはフレディーを信じ、フレディーに惚れこみ、繊細に鮮烈に魂をこめて提示した。コレゾお勧めの一冊である。
 
超ヒラリズム16【太宰治】
 太宰の『チャンス』という短編は、あまり有名ではないけれど、けっこう言いたいこと言っていて面白い。「恋愛に限らず、人生すべてチャンスに乗じるのは、げびた事である」と結んでいる。私のごとき「げびた」人間は、ひたすらチャンスを待ちわびている。ガ、ぜんぶチャンスがピンチとなる。
 
超ヒラリズム17【森鴎外】
 鴎外の『牛鍋』という短編も、あまり有名ではないけれど、観察眼が行き届いていて、けっこう面白い。食欲と愛欲(愛情といってもいいかも)とを比較し、猿と人間とを比較し、「人は猿よりも進化している」と結んでいる。私のごとき愛よりも食が勝っている人間は、猿並ということであろうか。
 
超ヒラリズム18【ジェイソン・ステイサム】
 むかしオメロ・アントヌッティという俳優が大好きだった。名作『エル・スール』の主演俳優である。それからブルース・ウィリスになり、いまはジェイソン・ステイサムが大のお気に入り。どういうわけか、みんな禿げだ。私は禿げには決してなりたくないが、ボチボチ禿げ始めている。トホホホ。
 
超ヒラリズム19【ジェイソン・ステイサム(続)】
 私は外国映画に関しては、外国文学に関するよりもうるさくて、傑作映画の主役(例えばジャン・ギャバンとかゲーリー・クーパーとか)しか眼中にないのだが、ジェイソン・ステイサムだけは別だ。日々、禿げには決してなりたくないが、ああいう顔になりたいと念じているのである。いやはや。
 
超ヒラリズム20【中島みゆき(再)】
 たまたまNHKでみゆきの特集をやっていたので、久しぶりにみゆきの歌をいっぱい聴いた。堪能した。日本のシンガーソングライターのベスト3は、ユーミン、みゆき、宇多田で文句はないだろうが、私はそこに森田童子をいれて四天王にしたい。童子もみゆきも、畢竟、祈りの歌であることヨ。
 
超ヒラリズム21【中島みゆき(再々)】
 祈り云々について付記する。童子の祈りとみゆきの祈りは対称的である。童子の祈りは、キョムになりかけの地点での、チンコンを含んだ悲しい祈りである。みゆきの祈りは、ナゲヤリにみせかけた地点での、カクメイすら感じさせる力強い祈りである。童子は密やかに祈り、みゆきは高らかに祈る。
 
超ヒラリズム22【市川雷蔵】
 先日、映画『大菩薩峠』を観直した。片岡千恵蔵の机竜之介もいいが、雷蔵もいい。竜之介の虚無と狂気を表情だけで表わす名優で、三十七歳での他界は残念無念。私は学生時代に雷蔵の映画は総て観ている。最後の映画は(タイトルは忘れたが)ヤクザ映画だった。観た直後に雷蔵の死去を知った。
 
超ヒラリズム23【中里介山】
 中里介山はおそらく仏教思想を小説化するにあたり、まず煩悩まみれの剣士を創ったが、そのキャラクターが映画の主人公になり、人気を博すとは思わなかったにちがいない。ずいぶん前に読んだ大河小説『大菩薩峠』を想い出しているが、介山は途方もないものを書いたものだと圧倒されたナァ。
 
超ヒラリズム24【曙】
 力士にかぎらず、強い人が亡くなるとヤッパリ唖然とする。曙は私が応援していた若・貴の強力なライバルだったから、ほとほと憎かったけれども、相撲をやめたあとでも格闘家として頑張っていたから、そのリング上の雄姿を観て応援していた。躰や顔に似合わず、その声は限りなく優しかったナ。
 
超ヒラリズム25【宇多田ヒカル】
 もう十年前になるか、部下のデザイナーの外国人の奥さんが、「日本の歌手でヒカルのイングリッシュだけは解る」といったのを聞いたのがきっかけだった。全CDを買い込んで片っぱしから聴いた。藤圭子の大ファンだった私が、ヒカルの大ファンでなかったことが、おかしかったのだと覚った。
 
超ヒラリズム26【宇多田ヒカル(続)】
 もう十年前になるか、毎日毎日ヒカルのCDを聴き続け、あんまり感心したので、『宇多田ヒカル論』まで書いて、本人にも送ったが、はたして読んでくれたかどうか。それはどちらでもいいんだが、最近またヒカルがテレビに登場するようになって、嬉し恥ずかしというか、ありがたいと思うネ。
 
超ヒラリズム27【水木しげる】
 水木サンのことを今まで何度書いただろう。(再)を十回つけなければいけない位。先日も水木サンの漫画『日本霊異記』を再読した。とにかくその背景が凄い。あんまり重要なシーンとは思えないのに、細密に描きこむ。「下手ウマ」とかいって手抜き漫画が多い昨今、実に貴重ではないかネエ。
 
超ヒラリズム28【或る美術評論家】
 他人のことではなく、私のことである。今から想えばホンの一時期ではあったが、美術評論家の端くれだった。当然美術評論も多く書いたが、画家の個展の推薦文なんかも、恥も外聞もなく書きまくった。その頃ゴッホとルノアールが好きだったが、昨今では日曜画家の絵も、好きでよく観るンダ。
 
超ヒラリズム29【アリストテレス】
 ごぞんじの通り電車の中は、スマホを見る乗客ばかり。ところが一人、顔も服装もアンチャンが本を読んでいた。ちょいとのぞくと、岩波文庫のアリストテレス。エライもんだ。エライ哲学者の本を読んでいるからエライのではなく、いまどき車中で本を読んでいるのがエライ。アンチャンに乾杯。
 
超ヒラリズム30【夏目漱石】
 漱石の作品で唯一軽いのが『二百十日』。大半が圭さんと碌さんの会話で成り立っている。いわば会話小説だが、会話体裁の評論ともいえるしエッセイともいえる。内容は「華族」と「金持」に対する悪口もしくは批判に終始している。当時の「華族」と「金持」はよほど漱石の癇に障ったのだナ。
 
超ヒラリズム31【夏目漱石(続)】
 漱石がいま生きていたなら、誰に対して癪に障っただろうと考えるのは、けっこう愉しいことである。「華族」と「金持」ではないはずだ。私が推察するに、「政治家」と「投資家」でないだろうか。あれは実に癪に障る。それと「ユーチューバー」とか旧ジャニーズのおっかけ少女とか、ダナ。
 
超ヒラリズム32【夏目漱石(続々)】
 だいたい「華族」というものが、その肩書き通りに存在するものなのかどうか。「金持」だって、金目当ての性悪女に騙されたり殺されたりするから、癪に触ったりはない、どころか同情すらある。だいたい詐欺にあうのは金持にかぎられるからナ。おっと、自分が漱石になたっつもりはいけない。
 
超ヒラリズム33【桃田選手】
 バドミントンといえば桃田、という時代があった。日本のバドミントンを牽引してきた選手だった。マレーシアでの交通事故は大いに不運で、慰める言葉もない。けれども、交通事故や飛行機事故で亡くなった有名人もいる。桃田はまだ若い。人生もこれからが本番。これからの桃田も応援しよう。
 
超ヒラリズム34【川上未映子】
 ひところ人気作家はW村上といわれたが、いまやW川上だな。弘美もいいが、未映子はスケールが大きい。村上春樹にインタビューをしている本を読んだが、未映子は十代のころから春樹の朗読会やサイン会に行っていたとのこと。あんな素敵な娘が来たら春樹もウハウハだろう。私なら悶絶ダネ。
 
超ヒラリズム35【川上未映子(続)】
 弘美が誰と結婚しても平気だった、どころか夫に同情もしたくらいだが、未映子が阿部和重と結婚した時は、意外さも含めて我ながらショックだったヨ。だがそのころは未映子も大きな作家ではなかったし、たぶん学歴コンプレックスもあって、つまらん作家でも東大出だから憧れたのかもナァ。
 
超ヒラリズム36【W川上&W村上】
 弘美は文章からも世界観からも春樹に似ている。マイナー・ポエットだ。未映子は実験性やスケールの大きさからも龍に似ている。ビッグ・アーチストだ。この四作家は、ここ数十年の日本文学をリードしないまでも、文学愛好家をリードしてきた。私もよく読んできたが、正直徒労感もあるネ。
 
超ヒラリズム37【ハンナ・アレント】
 イスラエルに関しては随分勉強してきたつもりだが、ハンナ・トレントには太刀打ちできない。ユダヤ人国家を論じるにはユダヤ人でなければ、という感じはアル。イスラエルに対する疑問・批判を繰り返しつつも、歴史上最悪の虐殺を被った故の故国感情がある。イスラエルを論じる前にハンナ。
 
超ヒラリズム38【ハンナ・アレント(続)】
 かつての師であり恋人であったハイデッカーを批判するのは、簡単ではなかったと思われる。けれども、当たっているから憎らしいという思いは、ハイデッカーにあったにちがいない。ハンナの現実主義・具体主義は、ノンフィクション作家が怪談の作者を批判するのと些か似てはいるけれども。
 
超ヒラリズム38【ハンナ・アレント(続々)】
 つらつら考えてみるに、イスラエルやユダヤ人がすぐに「報復だ」と叫ぶのは、未だにホロコーストの悪夢に苛まれているためだと感じられてならない。その点、原爆を落とされた日本が、いつまでもアメリカに媚びへつらっているのは、ひどくヤワな感じを与えるであろう。忠臣蔵は昔の話か。
 
超ヒラリズム39【芥川龍之介】
 三浦綾子の本を読んでいたら、十代の頃に読んだ芥川の『奉教人の死』に感銘したという。また『トロッコ』や『蜘蛛の糸』にも。思えば、芥川は少年少女向けの、いい小説をたくさん書いている。鬼気迫る晩年の作品以上に、この点をもっと再評価されてもいいのではないかと思われたものだ。
 
超ヒラリズム40【清少納言&紫式部】
 何かと比較されるが、清少納言は感性の極みによって、紫式部は物語創りの天才性によって、現代にまで影響を与え続けていることを考えれば、比較はやめたほうがよかろう。エッセイの先駆者のひとりであり見本である前者、小説の先駆者のひとりであり見本である後者。日本が誇る二大才媛。
 
超ヒラリズム41【吉高由里子】
 大河ドラマ『光る君へ』を観ている一番の理由は、平安時代、特に藤原家の歴史を勉強したいからである。ところが観ているうちに、次第に吉高がマコトの紫式部に見えてきた。私は別段吉高のファンではないが、この人は我々(少なくとも私)が思っている以上に、立派な役者なのではないか。
 
超ヒラリズム42【広島菊池選手】
 テレビ朝日の「報道ステーション」のスポーツコーナーで注目すべきは、ファインプレーを中心に集めた「熱盛」である。ファインプレーが、日本のプロ野球ではいかに勝敗に直結しやすいか、それを解った上での企画のヒットである。このコーナーのレギュラー格、菊池選手のプレーは必見ゾ。
 
超ヒラリズム43【広島菊池選手(続)】
 この選手が大リーグに行けなかったのは、大リーグではファインプレーが過小評価されているからだ。それなら熱盛的な選手がいないかというと、そうではない。ガそれらの選手は熱盛プレーではなく、バッティングで評価されてここにいる。日本チームがアメリカチームに勝てる理由の一つである。
 
超ヒラリズム44【武者小路実篤(再)】
 武者に『馬鹿一』という小説がある。半世紀前に読んだときは、馬鹿一にはモデルがいるのだろうと考えた。そういう書き方をしているから。ガ今回再読してみて、馬鹿一は武者の自画像であると認識した。又武者の自画自賛であることも認識した。武者は戦後一時公職追放となったが、いい作家だ。
 
超ヒラリズム45【武者小路実篤(再々)】
 武者の作品をあれこれ再読しているので、武者のことを何度か書いてきた。超ヒラリズムにも書いた記憶があるから「再」を付けているが定かではない。書いたら忘れるのが私の特権だから。サテこれも何度かいっているが、「馬鹿」という当て字は馬と鹿に失礼だからやめて、バカと書くべきダ。
 
超ヒラリズム46【みちょぱ】
 最近結婚式を挙げたみちょぱが、大泣きに泣いたとテレビで語っていた。むろん感激して泣いたわけだが、この単純明快さに羨ましさすら感じた。私も密かに泣いたのだが、人間は結婚して一人前と信じているから、一人前になりたくなくて泣いたのだった。ガ作家にかぎると一人前でなければネ。
 
超ヒラリズム47【サンドイッチマン】
 お笑い芸人には珍しく高い人気がいつまでも続いている。これは二人の人柄を視聴者が解っているからなのだ。私も好きだが、実は少年時代はサンドイッチマンになりたかった。鶴田浩二の歌うサンドイッチマンの歌がよかった。「ロイド眼鏡に燕尾服♪」という出だしを何度も歌ったものだヨ。

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