【0歳児】私は恐竜の赤ちゃんを育てている(自己暗示)
私は恐竜の赤ちゃんを育てているんだ!!!
……という自己暗示を私は自分にかけている。
恐竜の赤ちゃんとは、もちろんわが子であり人間(御年0歳)である。
だけど、うちの子はなんとダイナソーなのだ!!ジュラシックパークもざわざわ森のがんこちゃんもびっくりのなんとかザウルスなのだ!!(イミフ)
私は人間の赤ちゃんがどういう存在なのか、出産するまで何ひとつ理解できていなかったし、なんなら今だって毎分毎秒驚かされている。
出産前の私は、もっと赤ちゃんがか弱い存在だと思い込んでいた。
実際、赤ちゃんは食事排泄入浴入眠などなど、すべての世話を保護者に完全に依存している。そのライフラインが途切れたら、生きていけない小さな存在だ。体重だって10㎏に満たない。だが、決してか弱くはない。むしろ強靭な生命のエネルギーにあふれたビッグバン個体である。
最初は手足をバタバタすることから始め、寝返り、はいはい、つかまり立ち、伝い歩きとどんどん挑戦して身に着けていく。前のめりに転んで泣いてもめげない。テーブルに頭をぶつけてもめげない。鏡をぶっ倒してもめげない。「だめだよー」と制止された0.1秒後に同じことをする。アツアツのお湯の入ったコップにも手を伸ばすし、コンセントにも触ろうとするし、掃除機を持ち上げようとするし、洗濯物の中にダイブする。とにかくインディージョーンズもびっくりの冒険家なのだ。
水を飲んでいるコップに同時に手を突っ込んで水をまき散らすし、離乳食をこねこねしてお粥がいっぱいついた手のまま目をこすって、お粥が取れないことに気が付いてテーブルや服で手をこする。あと皿は投げるもの。本のページは破くもの。
大人がなんとなく「これはこういうもの」「これはこうなるはず」などと考えている暗黙のルールを、いとも容易にぶち壊していく。
それから、私は育児書どおりに育児を進めればそのとおりに進められるものだと思っていた。
んなわけ、ないない。
大人が書いた育児書の「~しましょう」「赤ちゃんは~です」と記した取り決めなんて、赤ちゃんが知るはずもない。
「赤ちゃんは(月齢によるが)12時間ほど寝かせてあげましょう」
→絶対寝ないサタデーナイトベイビーと化す。
「赤ちゃんには掴み食べをさせてあげましょう」
→離乳食をちぎって投げるベイビーと化す。なお口に持っていくと嫌がって泣く。
「動き回るようになったら、できるだけ危険なものは遠ざけてあげましょう」
→重たいはずの扉を踏ん張って開けるようになったんですが!
育児書の「※ただし赤ちゃんには個人差があります」の個人差が95%を占めているレベルで想定外の行動が多い。「いつもと違う様子がないか注意しましょう」と言われても、赤ちゃんは日々ダイナミックに変化していくから、そもそも何が「いつもの状態」なのかよくわからない。
毎日想定の斜め上の事態が起きると、私は恐竜の自己暗示をする。
そうよ、落ち着いて。私は新米の動物園職員。なのに引継ぎも何もないなかで、ふ化した恐竜の赤ちゃんの24時間飼育を任されてしまったの。一応ジュラシックパークで配布されたマニュアルに恐竜全般に関することは書かれてるけど、恐竜ってティラノサウルスもトリケラトプスもプテラノドンもいるじゃない。今まさに目の前にいるこのチビダイナソーに当てはまるとは限らないのよ!あっ、ソファーはかじるものじゃありません!
「うちの子は恐竜」自己暗示は、バカげた妄想かもしれない。だが、実際、恐竜ではなくても、私たちは人間の育て方なんて習っていない。育て方に、赤ちゃんの在り方に正解があるわけでもない。
不安と安堵をすごい勢いで繰り返す毎日。わが子がかわいくてかわいくて仕方がなくて、超絶ハイテンションで「私めっちゃすごくやれてるやん!!」とバリバリ仕事家事育児をこなせる3日間が過ぎると、「あぁ~なんであんなことしちゃったんだろう~(悶絶)」と、自分がすべてにおいてダメ親に思えてへこむ3日間が訪れる。
そんな時、「私は恐竜の赤ちゃんを育てているんだ」と思うと、ちょっと肩の力が抜ける。そんな気がする。わからないこと、うまくいかないことがあって当然じゃないか。今日1日私たち両親とうちの子が生き抜くことができた、それだけで御の字じゃないか。
そして今日もあっという間に時間が過ぎ去り、寝かしつけの時間だ。
うちの子は寝かしつけに1時間程度要するので、その間添い乳をしながら、目を閉じて想像を膨らませる。赤ちゃんが恐竜なら、母たる私も恐竜だ。
私は首長恐竜で、すうすう寝ている赤ちゃん恐竜より数倍大きくて、一緒に丸まって寝ているんだ、とか。私はティラノサウルスで、周りが畏怖して寄ってこない中、悠々と草原のど真ん中で赤ちゃん恐竜と2頭だけで眠っているんだ、とか。
そうこうしているうちにおっぱいに埋もれて小さな寝息が聞こえ始め、私も夢の中に落ちていく(なお自分の夕飯はまだ食べていない模様)。
全国のダイナソーブリーダーの皆様、今日も昨日も明日もお疲れ様です。
よい夢を。
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