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母を苦しめるのは自分の中の「理想の母」像

プロフィールに週1回更新とか書いておきながら、だいぶ間が空いてしまった。いやもう、仕方ない、眠いんだもの。眠くてものを考えられないんだもの。毎日朝の4時とか5時にテンションフルスロットルで起きてくれちゃうんですよ、うちの子。たまに夜泣きもして1~2時間止まらないんですよ。母ちゃんは仕事してるんですよ。「ママは子供と一緒に昼寝して」ができないんですよ。眠いんですよ!

という言い訳はさておき、娘が最近無事1歳となりました。ぱんぱかぱーん!!

この1年は、間違いなく新米母ちゃんである私にとって、人生でもっとも濃密な、幸せな1年間でした。辛いことも楽しいこともあったけど、どんなに大変でも、最高に幸福でした。

それでも、なぜかものすごく苦しくなってしまうことが時たまあったんです。眠いとか忙しいとか物理的に、じゃない。精神的に、苦しくてたまらなくなってしまうことがあった。

その原因は、「私いいお母さんできてるかな?」→「いや、できてないに違いない。もっとああすればこうすれば……」と考えてしまう私の思考の癖だった。

もっと笑顔で遊びに付き合ってあげられたら。
もっと授乳中にこやかに声をかけてあげられたら。
もっと離乳食を手の込んだものにできたら。
もっと抱っこしてあげられたら。

もっと もっと もっと!!って、キリがないんです。自分で勝手に母親のハードルを上げてるんです。これくらいやればもう十分だろう、私ってばめっちゃパーフェクトマザーじゃんサイコー!!と思えないんです。私全然いいお母さんになれてない!と考えてそこで勝手に落ち込み始める。で、寝ればいいのに、夜中に掴み食べ用のおやきなんか作り始めちゃったりして。頭ではわかっているんです。自分で自分を追い込んでいると。

あー、また自分を追い込んでいるな、と思うとき、私の脳裏にとある曲が浮かびます。

私の敵は私です
―――中島みゆき『ファイト!』

いつも宮部みゆきと中島みゆきを間違えるアホは私です。

確かにね、世の中には何も知らんくせに「お母さんなんだから〇〇してあげなよ」とか言う隣人もいるだろうし、何なら育児書の主語は大体ママで「ママが鼻水を吸え、ママが仕上げ磨きしろ」とか書かれていてパパは存在しないのかってなるし、母子手帳はあって父子手帳はないし、とにかく日本の社会が育児世界においてママ偏重なのは本当にいい加減にしろバカヤローと思いますよ。でも、私の場合、一番自分を精神的に痛めつけているのは自分自身なんです。

母親は優しいもの、明るいもの、笑顔が素敵で、料理が上手で、いつも機嫌がよくて……(以下エンドレス)。

そんな「理想の母」像をでっちあげて、そこに至れない自分に勝手にいら立って、自己肯定感を失っているんです。この「理想の母」像ってどこから湧いてきやがったのか。

女子就活生が黒髪でひっつめ、リクルートスーツに皆が身を包んでて日本の就活ヤバイ、もっと自由でいいじゃないかっていう論調が最近出てきましたけど、これ「お母さん」にも言えませんか? お母さんにもリクルートスーツみたいなステレオタイプありません?

母親は周囲から浮かない格好をして、家事育児をこなして、子供のことが一番で、元気で……。

母親は、単に子供がいるってだけで、独立した一個の女性なんですよ。かつての女子高生だしかつての女子大生だし(現役もあり得る)、キャリアウーマンかもしれないし、理系かもしれないし、ゲーマーかもしれないし、DIYが得意かもしれないし、世界中飛び回ってるかもしれないし、髪の毛や爪が赤いかもしれないし、エベレスト登頂したかもしれない。

それが母親という枠に押し込められたとたん、家庭的な、浮かないイメージのステレオタイプにぐりぐり押し込められていく。もしくは、母親自身が自分をそこに落とし込んでいってしまう。私はこの不毛なステレオタイプ押し込めにはまってしまうことがあるんです。本当は、母親はあくまで自分の一面であって、ほかの個性をつぶすものではないはずなのに。母親像にそれ以外の自分が飲み込まれていく。

「理想の母」なんていない。
ありもしない幻想を追い求めて自分をつぶすな。

これを私は次の1年の目標にしたいと思います。母1歳の目標です。

いつか娘が母親になるようなことがあったら、「私は母親だから」と自分を鼓舞することはよくても、「母親だから」と何かを諦めたり苦しく思ったりしてほしくないから。
うちの母ちゃんは色々至らないけど楽しく生きてたな、あたしも自由にやっていいんだなって思ってもらえるように。

あたし男だったらよかったわ、と同曲で中島氏が歌うようには決して思いません。あたし女でよかったわ。理想像とは違う、別の存在じゃない、あたしでよかったわ。だから、自分の中の幻想と戦って、私は私らしくうちの子を大切に、自分を大切に生きたいと思っています。

ファイト!闘う君の唄を
闘わない奴らが笑うだろう
ファイト!冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ


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