不明確さは人を怒らせる。【暗闇が怖い進化心理学】
ノブです。心理学本を100冊程度は読んでいます。
久々に面白い概念を読んだと思います。
人を操作する人にとっては役に立つかもしれませんので、共有させてください。
下記本より参考です。(320p〜)
簡単にこの本の概要の超要約です。
この本では進化の過程で心理はつくられた。
私たちの見えるものは人間が生き残るために都合が良いように解釈されている。
必ずしも人間が現実を見ることが生き延びることに有利に働かない。
錯覚した現実を見ることが人間の知能にとって「生き延びることで」重要ある。
こういった内容です。
つまり、人間とは
「自分が見たいものを見て」
「自分が解釈したいように解釈して」
「生き延びるために思考は作られている。」
ということです。
優秀な人は、多くの人を観察して気がついたと思いますが肌感としては合っているかと思います。
それでこの本で面白いのは、人間が一番恐れるものは「暗闇」だ。と主張します。
人間は真っ暗なところを見ても、
そこに猛獣がいるか気がつけない。
そこに崖があるかわからない。
手に持っているものが食べられるキノコか、毒キノコかわからない。
ということです。
この心理学の考え方として、それを抽象化します。
見えないから「暗闇」が怖いという意味ではなく、
抽象的に、「不確実なことが怖い」ということです。
そういえばこの話には心当たりがあります。
以前の会社にいたときの話です。
*
生産性の高い上司がいました。
彼の指示は的確で、重要なことを短く性格に伝える能力が高く、彼の指示に従うと大体のことがうまくいきました。
しかし、この人の下で働く人たちは上司のことを良いとは思っていませんでした。
話を聞くと、
「偉そうで嫌だ。仕事ができる人ではあるけどね」
「彼の指示を聞いていると嫌気を覚える」
「言うことを聞いていれば成果がでる。でも何のためにするかわからない」
そんな話をよく聞きました。
ある部下は仕事のことを伝えられても自分で納得できない場合はその理由を必ず聞きます。
上司「これを〜〜しといてくれ。」
部下「わかりました。ちなみに、この目的はなんでしょうか?」
上司「これは〜〜のためにする必要がある。」
部下「承知いたしました。(この上司が気に入ると思われる提案はアレだな。やりすぎると怒られるから程々にやっとこう。この人に私は気に入られてるから。すこしヘマしてもこれは気に入るでしょ。)」
相手は「なぜ?」と詰められたりするのは嫌いだったりする場合もあるので、相手の一番好きな会話パターンで済ませます。
相手の考えを想像することで、相手の欲しいものも分かる可能性を高められますよね。
あとはトライアンドエラーです。
そして、部下はなぜみんながこの人が嫌いなのかが分からないでいました。
*
さて、この本で書かれているのは、人は「不確実な環境」が何よりも怖いものであると主張します。
この話では上司は目的を告げずに、「〜〜をやってくれ。」と手段だけを伝えます。
これでは伝えられた人は(これをやったらどうなるんだ???)と不確実感を覚えてしまうのです。
(そして、上司は大体は怒り気味であるほうがいいという性格に偏見で変わっていってしまうので、誰も上司に話をしたくない。)
部下はそのための目的を必ず聞いていて、この不確実感を回避していたため、この上司に対しては普通の感情でいられました。
人間は「不確実」という場面では「怒り」を覚えてしまったりするようです。
それは自分のやっていることを正しいと思わせるために起こしているようです。
体温はあがり、脈拍は早くなり、怒りのホルモン分泌がおきます。
つまり、体が戦闘態勢に入るということです。
その体の反応を脳が見てから思考します。
脳は「体が怒っている反応をしているから、俺の感情も怒る!」という心理学のアズイフの法則の反応になります。
人間は大体の思考は反射的に起きてしまういつものパターンです。
つまり、この場合はこうなります。
「不確実な指示が来た」
↓
「体が戦闘態勢に入る」
↓
「脳の感情が怒り状態になる」
↓
「怒り状態の思考モードに入る」
↓
「あいつが嫌いだ!嫌いなやつの言うことは聞きたくない!」
人間の思考は感情により簡単に操作できるものです。
交渉するときには必ず笑顔です。
相手は錯覚してOKの確率が上がります。
逆にキレた表情で交渉してみたらどうでしょう。
相手は錯覚してNOの確率が上がります。
不確実な指示を出してみましょう。
相手は錯覚して嫌いの確率が上がります。
確実な指示を出してみましょう。
相手は錯覚して好きの確率が上がります。
「あいつのことは好きだ。気に入っている。だからあいつの言うことは正しい。」
好きな人の言うことはなんでも聞きたい。そうですよね?
人間は物事を見たいように進化して、錯覚した現実をみているものです。
なぜなら、その方が生き延びるために進化論的には都合がよかったからです。
(現実を見た知能→死 : 錯覚した現実の知能→生きる という進化心理学の考え方)
人間は現実を見るよりも、理想をみていたいものです。
人の上に立つのであれば、事実を見せるよりも、
その人の望む真実を見せた方が人間にとっては良いと言いのかもしれませんね。
世界一の大儲けしたビジネスの「宗教」ではこれをうまく使っています。
科学のような人が見たくない事実よりも。
宗教のような人がみたい真実のほうが、
人にとっては、価値が高いと言うことです。
上司は現実を見なければ会社が傾きますが、部下には理想を見せた方が会社の作りとして、階級制度の労働システムとしてはうまくいくのかもしれませんね。
他にも書かれてあって私が興味をもったのは、人間は本当に不合理なもので、痛みと不確実の2つがあるとき、痛みを選ぶようです。
これにはめまいがするくらい驚き、納得しました。
ブラック企業では新入社員を入れた後に調教して洗脳します。
そして新入社員は他の環境は知りません。
そのブラックな環境は心としては「痛み」を知覚します。
しかし、上司はこういいます。
「この会社でうまくやれないやつは、他の会社でもうまくいかないぞ。」
これは人間の脳の穴をうまくついたトリックです。
人間は今のブラック企業の痛みのほうが、会社を変える不確実よりも、好ましいと思っているということです。
ブラック企業に入って抜け出せない人の心理と、
ブラック企業になるための理論が分かって安心しました。
これで会社を作るときにブラック企業は回避できます。
この人類のバグを直す方法ってあるのかがまた気になるところです。
論理や他の新たな洗脳、または企業のシステムの変更でしょうか。
ブラック企業にいる個人でできることは・・・。論理で感情を看破する?
論理で感情を超える能力はやはり難しいので、多くの人にとってブラック企業に入った時点で積みの状態かもしれません。
まとめ
人は不確実であることが何より怖い。
自分を他人と比較するな。
ー アドルフ・ヒトラー ー
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