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「君と夏が、鉄塔の上」を読んで

 私たちは大切だった物も、人も、忘れていく。今までどれだけの繋がりを忘れ、失くしてきただろう。読み進めるたびにそのことを考えた。  鉄塔マニアで目立たない伊達は、ある時から奇抜な行動をとり続けるクラスメイトの帆月に、鉄塔の上に座っている小さな男の子の存在を知らされる。帆月はお化けが見えるらしい比奈山も巻き込んで、3人は鉄塔の上の男の子の正体を探ることになる。これがこの小説のあらすじだ。  はじめて私が鉄塔に気がついたのは、高校生の時だった。  日陰がない屋外プールで、ジ

    「君と夏が、鉄塔の上」を読んで