食品を取り扱うときに知っておきたい!「食品が薬機法違反になるロジック」を解説

医薬品としての承認を経ていないにも関わらず、医薬品かのような効果を謳い、販売することは医薬品医療機器等法(=薬機法)に違反します。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20231121/1000099368.html


「がんに効果がある」と宣伝しヒメマツタケと呼ばれるきのこのエキスが含まれる食品を販売したとして横浜市にある食品会社の役員2人が逮捕されました。

健康食品で「がんに効果がある」と広告することは法律違反となって当然かのように思えますが、「便通改善」や「疲労回復」といった言葉であっても不適切な表現とされているのは知っていますか?

どのような考え方で健康食品が薬機法違反になってしまうのかがわかると、広告表現上で薬機法についてケアすることがなぜ重要なのかがわかります。

健康食品や、食品を取り扱う事業者さまに、是非改めて確認してほしい内容です。わかりやすい解説を心掛けて書いているため、事実と言い回しが若干異なるところがあります。予めご了承ください。

医薬品販売のルール


医薬品を販売するには、「販売行為ができる状態にあること」と「販売するものが医薬品として国から認められていること」の両方の条件に適っている必要があります。

販売行為ができる状態にあることとは、医薬品を販売する許可を持っているということです。販売するものが医薬品として国から認められていることとは、医薬品として承認されているということです。

医薬品販売で薬機法違反になってしまうのは次のケースです。

販売許可がある上で、販売するものも医薬品として認められていないとダメ!


許可なく医薬品を販売することもNGですし、医薬品として承認されていないものを医薬品として販売することもNGです。

医薬品として販売するというのは、医薬品かのようにふるまっている場合も含みます。どういったケースで医薬品かのようにふるまっていると判断されるのでしょうか?詳しく解説します。

口に入れるものは「食品」か「医薬品」

医薬品の話の前に、まずは私たちが普段口に入れるものは法律上どのように分類されているのでしょうか?
経口摂取するものは、大別すると「食品」と「医薬品」にわけられます。
医薬品とは、主に病気を治療したり、予防することを目的に使用されるものを言います。

第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。

 日本薬局方に収められている物

 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)

 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

医薬品医療機器等法(薬機法)

食品と医薬品の境目はどこにあるのか

では製品が食品に該当するのか、医薬品に該当するのかを判断するときの基準はどうなっているのかというと、次の①~④から判断します。

①成分(原材料)

「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」に該当する物又は、これを配合若しくは含有する物は、医薬品として判断します。
「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」とは、厚生労働省が出しているリストに掲げられるものになります。

②医薬品的な効能効果

効能効果が、容器、包装又は添付文書などに表示説明されたり、チラシ、パンフレット、雑誌などへの広告や演述によって表示説明されている場合は、明示的・暗示的であるとを問わず、医薬品的な効能効果の標ぼうにあたります。

例外として、厚生労働大臣の定める基準に従い、栄養成分の機能の表示ができる栄養機能食品では、その表示などを医薬品的効能効果とは判断しません。

特定用途食品や特定保健用食品の場合には認められた範囲の効果を標ぼうしてもOK

③医薬品的な形状

形状とは、剤型(アンプル剤、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末状、顆粒状、液状など)のほか、容器などの形態、又は容器などに書かれている図案、表示されている文字のデザインなどすべてを含んでいます。その物の形状が医薬品的であるかどうかは、容器なども含めて総合的に判断します。

④医薬品的な用法用量

使用方法として、服用時期、服用間隔、服用量などの標ぼうのある場合には、原則的に医薬品的な用法用量とみなされます。

病気の治癒や予防効果を広告することも、医薬品と判断される要因


医薬品的な効能効果の標ぼうとは?

今回の事例のような健康食品の販売においては、広告医薬品的な効果を標ぼうすることは商品が医薬品であるかのような誤認を招きます。
そして、許可なく医薬品を販売したという薬機法違反になってしまう可能性があります。

病名が出てきていなくても、医薬品的な効果と捉えられる場合があります。

行政による医薬品的な効果の例示です▼
ア 疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
[不適例]糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に、胃・十二指腸潰瘍の予防、肝障害・腎障害をなおす、 ガンがよくなる、眼病人のために、便秘がなおる等

イ  身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
[不適例]疲労回復、強精強壮、体力増強、食欲増進、老化防止、勉学能力を高める、若返り、精力をつける、新陳代謝を盛んにする、内分泌機能を盛んにする、解毒機能を高める、心臓の働きを高める、血液を浄化する、病気に対する自然治癒能力が増す、胃腸の消化吸収を増す、健胃整腸、病中・病後に、成長促進等

病気の治癒や予防はわかりやすいですが、疲労回復や、体力増強、若返りも不適切な例としてあげられ、健康食品の広告表現は実はかなり制限されていることがわかります。

広告規制を守る責任があるのは、メーカーだけではありません。
取り扱う者であっても責任があります。それは会社だけでなく、個人であってもその責任を免れるものではありません。

店頭用のPOPであっても、薬機法上は広告です。
伝聞調など暗示的な表現についてもNGとなります。

広告規制について知ることで、信頼を保ちつつ売り上げを上げる方法を探すことができます。消費者の広告に対する視線が厳しい中、ルールに向き合う姿勢が問われます。

今後も薬機法や景表法といった広告規制について発信していきます。
ぜひ、広告制作・商品開発にお役立てください。

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ひらさこ






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