どう向き合う?Webメディアと薬機法・景表法(ステマ規制)
薬機法・景表法の広告規制が深く関わる美容・健康業界では、10月から始まったステマ規制の動向が注視されています。
私は3年ほどWebメディアの薬事表現の顧問していることもあり業務としてメディアを見る機会がありますが、プライベートの時間に少し調べ物を…と検索してWebメディアの記事にお世話になることもとても多いです。
もともとの悩みもあり美容や健康への関心はそこそこ高い方かと思われるので薬機法関連に繋がるPR記事が関連記事としてよく出てくるんですよね。
プライベートと仕事を切り分けられずPR記事を見ながら「ステマ規制はどうしてるのかな~」とか考えだして元の目的を忘れるとも・・・
処分が行われる事例がすぐさま出るとは思えませんが、消費者からも注目度の高い規制であることから各所しっかりと対応している印象を受けます。
メディアのステマ対応
ステマというのは「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を意味します。
事業者の表示(=広告)であることを前提に、それを判別することが困難な表示にするとステマに該当するため「広告であることを明瞭にすること」で回避できます。
記事の最初に『この記事はプロモーションを含みます』や『PR:〇〇株式会社』などの記載をし「広告であることを明確に」して対策しているのをよく見かけます。
ステマ規制の対象は事業者(=広告主)なので、メディアそのものが行政からの処分を受けるというものではありませんが、広告主としてはこれだけ話題になっている規制の対応ができないメディアに対してPRを依頼するのは怖いことです。信頼を保つためにも、当然に対応しているようです。
ステマ規制の対応は「広告であることを明確にすればOK」ですが、広告規制はステマ規制だけではありません。
美容健康業界の広告規制と言えば
広告として訴求できる範囲が決まっている
\\薬機法//
本当の主役は優良誤認
根拠のない表示は許さない
\\景表法//
他にもありますがまずはこいつらをどうにかしたいところなので、このnoteでは、Webメディアの顧問をする中で広告規制とどのように付き合い、PRを行ってもらうようにしているか?をまとめます。
Webメディアの薬事担当をされている方、ディレクションを行っている方、ライティングをされている方など・・・!
2分程度で読了できますので、参考になればうれしいです。
広告のご相談についてはこちらまでどうぞ!
Webメディアの薬事は難しい
まず最初に言いたいのは、Webメディアの薬事って難しいよね。ということです。広いくくりで「シニアの健康」とか「40代向けの美容」とかジャンルに隔たりがないほど難しいです。
逆にコスメに特化、健康雑貨に特化など特化したジャンルがあるのであれば関わる法律やガイドラインが少なくなるため難易度は下がります。
美容健康と言っても、商品のカテゴリーによってチェックするべきガイドラインが異なるので例えば「シニアの健康」であれば以下のような種類の商品のPRを行う可能性があります。
・化粧品
・医薬部外品
・医薬品
・医療機器
・雑貨
・健康食品
・医療
一方コスメジャンル(中でもメイクアップ)に特化しているのであれば、化粧品分野だけをチェックすれば足ります。
幅広い商材を取り扱うメディアほど、あれにこれにと注意を払わないといけないので幅広い知識が必要となるためWebメディアの薬事は一筋縄ではいきません。
Webメディアと薬機法・景表法はどう関連するの?
Webメディアと薬機法
広告に該当する記事であれば、薬機法上の広告規制を守る必要があります。
薬機法の場合、広告規制を守る責任があるのは「何人も」であるため、メディアであっても広告規制は守る必要があります。
薬機法においては、各カテゴリーごとで認められた範疇を超えた訴求がNGとなります。NGワードリストで対応するところが多い印象です。
Webメディアと景表法
景表法の広告規制を守る責任があるのは「事業主(=広告主)」なので、メディアが直接的に責任を問われるものではありませんが、表示の内容の決定に対する関与の度合いによっては広告主との扱いを受ける可能性もあります。
景表法においては、合理的な根拠のない表示がNGとなります。
例えば根拠なくランキングNo.1と謳うなどです。
記事を作成するときには、表示の根拠は大丈夫か?確認しながら進めていきます。
PR記事と薬機法
ここからは、私が普段WebメディアのPR記事のご相談をいただくときに、どのように対応しているかをまとめます。
最終的な確認のみの場合・企画の構成段階から入る場合があります。
記事の確認のみの場合
出来上がった記事の薬事について確認するときには、かならず以下の点を先に確認します。既に出来上がっている記事が大量にあるときも同様です。
・商品のカテゴリー
・修正はどこまでできるか?
商品のカテゴリーが確認できていないとチェックしようがないので、ここは当然に確認します。
大事なのは2つ目で、修正がどこまでできるか?です。
文字の言い換えだけで済むようなものであれば、問題ないのですが…薬事は広告全体を見なくてはいけないので「言い換えすればOK」というわけでもありません。
イメージ図や漫画があるような場合、テキストで直せるものは簡単ですがそうはいかない場合には削除となってしまいます。
削除せず修正できる代替案も出せますが、締め切りが迫っているなどの理由で修正としてできることに限りがある場合もあるので先に「どこまでの修正が可能なのか?」聞いておくとスムーズです。
意外とよくあるなと思うのが、構成段階からの修正です。言い換えでどうにもならず、削除(したら読み物として成立しない…)するか書き直すしかないような場合です。
ある程度PVがつくようになってきたタイミングで「薬機法どうしよう?」と考える言い換え案を探すものの、実は言い換えではどうにもならず構成から直す必要があった…(しかも何十件も)というようなケースはメディアとしても対応に悩みます。
商品として薬機法が関連しないと思っていたり、逆に薬機法に気を遣っていたが薬機法の管理の外のものだったり‥
記事の削除も、気を遣いすぎた訴求もどちらももったいないです。
ある程度PVが取れるようになったら考えよう!といった発想も1つですが、まとめてチェックするにも費用がかかります。
工数をかけずツールの利用で文言をチェックしたり、訴求力にこだわるのであれば構成段階から薬事に配慮するのがおすすめです。
構成段階からPR記事の薬事を検討する場合
構成段階から検討するときには最終チェックでいかに修正のない記事ができるか
①商品カテゴリーの確認
②訴求可能範囲を踏まえた企画案提出
③企画の進行度合いで再チェック
④最終チェック
1つずつ見ていきます。
①商品カテゴリーの確認
最も重要な点です。どのカテゴリーに属するかで反映すべきルールが違うからです。
例えば同じスキンケア化粧水でも、化粧品の場合も医薬部外品の場合もあるので、まず第一にこちらを確認します。
②訴求可能範囲を踏まえた構成案提出
次に、ルールを踏まえてPR記事の構成案を提出します。言えるのはここまでです!という点を踏まえ商品の魅力が伝わるように内容を練ります。
読み物として面白く、商品の魅力が伝わり、薬事に配慮するように考えますが、私の場合は薬事への配慮はグラデーションをつけたかたちで案を出すようにしています。
「これにしてください!」と言われて一発で納得がいくものであればベストですが、クライアントの薬事の温度感もそれぞれです。
完璧に守りたい、もう少し攻めた表現がしたいなど各要望があるので、それに応えるため一案に絞らず選べるようにしています。
もちろんメディアごとの方針もあるので、ヒアリングを踏まえて魅力的なPRになるようにキャッチコピーから構成します。
③企画の進行度合いで再チェック
企画を進行しつつ変更したい点や再度確認したいことがあれば確認します。
漫画の下書きができた段階で確認がとれていれば大幅な修正を避けられるためです。取材を含む場合にも、なるべく修正なく進めるためにも事前に確認しておけることは確認しておきます。
④最終チェック
最終的に写真やイラストを含んだ記事の確認を行います。
構成から入っている場合にはここで修正になることはほとんどありませんが、全体像の確認は最終的に行っています。
動画やSNSを利用したPRの場合も企画段階から行っておくことで最終的な修正を減らすことができます。特にSNSの場合には、例えばインスタグラムであれば投稿主一人ひとりの投稿に対して気を配る必要があるので企画段階から薬事について話し合っておくことでスムーズにPRを行うことができます。
動画や写真の撮影が絡むことなので、後から修正と言われても大変です。
先に懸念を潰しておくと楽ですよ、とご案内しています。
安心してPRしてもらうために
中には商品をつくるのが初めてで薬事担当がいないクライアントもいますが、クライアントとなるメーカー側にも薬事の担当者がいることがほとんどです。
ただ、クライアントだけに任せると記事ごとで薬事への配慮の程度がバラバラになってしまいます。薬事にある程度配慮したいメーカーにとっては、薬事への配慮がバラバラでメディアとしての薬事に対する方針が固まっていないメディアにPRを任せることを不安に感じます。
メディアとして統一感を持って薬事をケアできることはPRの品質を保つことに繋がります。コンプライアンス強化により、今後一層薬事と向き合っていく必要があります。
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ではこれにて。
ひらさこ