「アイドルHの瞳になれるカラコン」は、景表法違反な表示と言えるのか?


千年に一度の美少女として話題になったアイドルHさん


今となっては、その肩書きは女優にする方が正しいかもしれません。

完全無欠、愛されるために生まれてきた天使。
整った顔立ちと白い肌、自然体でサバサバしたキャラクターも魅力的で、どう粗さがししても嫌う要素が見当たらない。


とりわけその大きな瞳は色素が薄く透明感にあふれ、吸い込まれそうな魅力があります。

少し前になりますが、そんなHさんの瞳になれる!?と一世を風靡したカラコンがありました。

SNSでバズりにバズったそのカラコンは、Hさんがプロデュースしたものではありません。

ただ、商品名には偶然なのかHさんと同じ名前がついています。

あ~買ったわ。というあなた、お友達です。
私も買いました。


この商品はSNSの口コミでHさんの瞳になれる!?と話題になったことで大ヒットした商品ですが、もしメーカーが広告で「Hさんの瞳になれる」とのコピーでこの商品を販売するとなると何か問題になるのでしょうか??

このnoteでは、バズったカラコンとその代名詞となった文言を景表法の視点で分析します。

薬機法は身近だけど、景表法はいまいち…というあなたに少しでも親しみを持ってもらうために書いている記事です。

毎度のことながら「わかりやすく」をモットーに!
勉強嫌いのための「薬事の処方箋」お出しします。


きちんと理解したい、というあなたには時間を5分ほどかけてじっくり読むことをおすすめします。

瞳が千年に一度の美少女になったとて…?



不当な勧誘を許さない、景品表示法

景品表示法は表示広告の全般を見張っている法律です。

商品の広告表示や、景品キャンペーンなどでお客を勧誘するときに、不当な勧誘により消費者の利益が阻害されることのないようにするための法律です。

景品表示法は、ある意味薬機法や健康増進法よりも面倒です。

理由は2つ。

理由1
薬機法に比較して、処分が活発に行われている

理由2
消費者を誤認させるかどうかが鍵になる

薬機法にも、景品表示法にも、課徴金制度が導入されています。
薬機法については比較的最近導入された制度ですが、2021年8月からスタートし今のところ処分された事業者は出ていません。

一方、景表法は令和4年度17件の課徴金納付命令が出ています。
課徴金納付命令が出なくても、措置命令や指導が入るケースがあり、年間200件もの事案が処理されています。

詳細はこちらから

景品表示法は消費者の利益を守るための法律です。
詐欺まがいと言わんばかりの著しく誤認させる表示で消費者を釣って買わせるような広告から消費者を守ります。

例えばあなたが婚活しているアラサー女性だとします


ハーバード大学卒業31歳
マッキンゼー勤務
身長180センチ
趣味は筋トレとソロキャンプ

元カノとは1年前に破局して以来恋愛はとくとご無沙汰していましたが、そろそろ前に踏み出したいと思って今日のパーティーに来ました。
初対面でこんなこと言って何ですが、正直タイプです。
今度一緒に食事にいきませんか?



この男性の学歴から何から詐称してたら?
何なら既婚者だったら?
背負い投げどころの騒ぎじゃありません。
期待した時間を返せ!地獄に落ちろ!と思いますね。(個人の見解)

景表法はこういった男性からあなたを守ってはくれませんが、こういった事実と異なる表示をして著しく優良であると思わせるような物やサービスの表示などは見張ってくれています。


POINT
事実と異なる表示で、実際よりも著しく優良であると一般消費者に誤認させる表示はNG!

→このような表示は、優良誤認表示として景表法上禁止されている


「アイドルHの瞳になれるカラコン」は景表法違反な表示と言えるのか?

ここからが本題。


仮に、メーカーが「アイドルHの瞳になれるカラコン」と謳って商品を販売した場合に、この表示は景表法違反な表示と言えるかどうかを考えてみましょう。


アイドルHさんの瞳になれるカラコンは

Hさんのような色素が薄く透明感のある瞳を叶えるカラコンです。


Hさんの瞳、というのはHさんの瞳の似せて創ったデザインを指します。カラコンという前提の元、この表現に誤認は生まれないでしょう。


瞳になれる、というのは瞳=黒目をカラコンが覆うことを指します。ここもカラコンという前提の元、この表現に誤認は生まれないでしょう。


あくまで「Hさんの瞳」に似せた色味のカラコンは黒目だけHさんのような印象になれるだけで

Hさんのような大きな目も、ましてや整った顔面までもを手に入れられるとは言っていません。


アイドルHさんの瞳になれるカラコン
と聞いて、顔面まで変わるとの勘違いをする人はごくごく稀であると思われます。

したがって、この表示は
実際より著しく優良であると誤認させるような表示とは言えない。

と結論付けたいと思います。

そりゃあの…Hさんの瞳に憧れて、買ったよ!?
でもわかってますよ、カラコンで顔面まで変わりませんよね。もちもんわかってますとも!

ほぼ全員、この回答なんだから「優良誤認表示」とは言えない。という見解です。


まだ話は続きます。

景表法違反ではないとしても


今回は景表法の話がしたかったので、ここからは余談になりますが…

景表法違反に当たる表現ではないとしても

本人がプロデュースしたわけでもない
イメージキャラクターとしての起用もない

なのに、その人の名前や購買に影響を及ぼす力を利用してもいいのでしょうか?

Hさんの事務所からしたら面白くないですよね。

このような行為はパブリシティ権という権利の侵害にあたる可能性があることは、最後に付け加えておきます。

まとめ

景表法が禁止する表示の中でも「優良誤認表示」は特に関わりが深いです。

広告の制作者側が「これいいな!」と思ってもらいたいがためにした表現が、優良誤認表示に当たるかもしれないからです。

優良誤認のボーダーラインは「消費者が誤認するかどうか」です。

広告主がいくら『いやいや、誤認されないように書いておきましたよ!(見えないくらい小さな文字で、パッケージの底に)』と言っても通じない可能性があります。

ぜひ日頃から“この表現は優良誤認!?”を考えてみてください。


少しでも景表法と距離を近づけられたという方は、♡を押してくれるとうれしいです。


回りくどくて遠ざかったという方は…
ごめんなさい。
クレームのコメントをお願いいたします。
とにかく、わかりやすく!!なるべく負担がかからないように善処します。

ひらさこ

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