読書センター試験「ボーイズラブ」

ものすごく唐突なタイトルで「なんだこれ」と思う人もいるかもしれません。
「読書センター試験」というのは、わたしが所属していた書評フリーペーパー「ひろば」が新入生歓迎号でおこなっていた企画です。本にまつわる豆知識をセンター試験風にアレンジして紙面に掲載するというもの。

そして以下は、私が2011年に「読書センター試験」に出題した設問です。

Q1 次のうちボーイズラブ作品のタイトルではないものを選べ
1深爪 2牛泥棒 3氷面鏡 4家賃

Q2 次のボーイズラブ作品のうち東大出身者の登場しないものはどれか
1交渉人は黙らない 2ロマンスの黙秘権 3デコイ 4王子様には秘密がある

Q3 次のボーイズラブ作品の主人公はすべて警察官だが、そのうち都内勤務ではないものはどれか
1しなやかな熱情 2エス 3グレイ・ゾーン 4世界の果てで待っていて

Q4 次のボーイズラブ作品のうち、関東大震災が発生するのはどれか
1茨木くんと京橋さん 2青の疑惑 312時の鐘が鳴る前に 4せつなさは夜の媚薬

……1問でもわかったという方、ぜひいっしょに酒を飲みながら、おすすめ商業BLについて語り合いましょう。

そして、1問もわからなかったという方。

おそらくそうした方が大半だと思うのですが、いかがでしょうか? (っていうかたぶん、商業BLをふつうに読んでる方でも守備範囲が違えばわからないと思うくらい重箱の隅をつつく設問で恐縮ですが……) 

「えっ、BLのタイトルって『恋する紳士のキスは罪深い愛にあふれて』とかそんなんじゃないの?」(いまテキトーに考えました)
「えっ、BLのキャラクターって、そんなにきちんと人物設定決まってんの?」
「えっ、BLってそんなに歴史的な出来事が描かれてんの?」

などと驚いたのではないでしょうか。

そうなんです。BL――ここではとくに既存作品のパロディではない、商業BLと呼ばれる作品のことを中心に想定していますが――って、単純に、男と男をいちゃいちゃさせているだけじゃないんですよ! 

「ボーイズラブに女は必要か?」が思いのほか好評だったので、くわしい人にはいろいろ意見がいただけるような、くわしくない人にはBLのことをもっと知ってもらえるような、BLの話をしていきたいなあと思い、その宣言がてらこの記事を書いてみました。

いまのところ、

1)知らなきゃモグリ!? 「後天的女体化」って知ってますか(二次創作中心の話になります)
2)商業BLにおける「父殺し」と「母殺し」(あるいはBLにおける「毒母」)
3)STAP細胞問題に便乗して理系男子BLを紹介していくよ
4)腐女子のためのハローワーク(おもしろい職業を扱ったBL紹介)
5)おすすめ作家さんレビュー
6)わたしはなぜFree!が好きなのか

などを検討しております。今回だけじゃなくて毎回クイズつけようかな。

【設問の答えはこちら】

1)正解は1。『深爪』は中山可穂さんによる、女性同性愛が中心に描かれた一般小説です。3は「ひもかがみ」と読みましょう。

2)正解は2。『ロマンスの黙秘権』は、貧乏法律事務所で展開される、エリート弁護士×正義派弁護士の恋の衝突を描いた作品なのですが、ふたりとも出身はH大と書かれているのでおそらく一橋でしょう。他の作品には「東大」と明言されたキャラクターが登場します。

3)正解は1。1の主人公は長野県警所属で、東京から旅にきていた画家である攻めと恋に落ちます。
 他は2・3が警視庁で、4が渋谷署所属です。

4)正解は4。『せつなさは夜の媚薬』は和泉桂さんによる「清澗寺家」シリーズの3作目。平安時代から連綿と続く公家の名門・清澗寺家
。その末裔たちの(男との)恋を、大正時代を中心に描く同シリーズは日本史の勉強になること請け合いです。


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