BF「光の庭」を読みました。感想。超ネタバレあり。

✧アッシュの死

本編ラストでは彼の死についてはっきりと明言できるシーンは残されていませんでしたが、「光の庭」では彼の死についても語られることになります。

ということは、最終話読後、「光の庭」を読まずに終わっていれば…彼が生きていると信じ、その後の英二との幸せな未来を妄想することも可能というわけです。そのことを強く信じていた人には辛い物語になるのかもしれません。

作者は「うら・BANANA」にて「光の庭」を“鎮魂と再生の物語 ”と語っていましたが、彼の死を辛く感じていたファンにとってはまさに、英二とシンとともに彼の死を受け止め、前に進むための物語になっているのです。


✧シンが抱えているもの

シンはアッシュの死について、自分に原因があることに悩み、英二に対しての罪悪感や責任感を抱えている様子。

アッシュのデータベースを探ったり、英二をそばで支えているのは、彼の代わりになろうとしているから…?

「思い出と戦っても勝ち目はないよ」
「…なんで忘れないんだ…あんたには幸せになってもらいたいんだ…!」

アッシュの代わりになることで、英二にアッシュのことを忘れさせる。それが英二にとっての幸せだと思っているシン…それは2人にとって本当に幸せなのか。本当の親友だと言えるのか…?



✧英二が囚われているもの

英二はアッシュの死を受け入れられない?

市立図書館に近寄れないことや、ケープコッドで金髪の若者をアッシュと勘違いしてしまったこと、アッシュの写真をファイルから外していることなど、彼の死を受け入れられない様子が見受けられます。
髪を伸ばしているのにも何か理由があるのでしょうか?



✧暁の存在

英二に思いを寄せる暁。英二にとって特別らしいアッシュという人物について探っていく。

7年間、お互いに後ろめたさを感じていた英二とシン。もしかするとアッシュについて話し合うことは避けていたのかもしれません。
暁がシンにアッシュについて尋ねることが、英二とシンが本音をぶつけあうきっかけになります。



✧現在の英二と向き合えたシン

「僕は彼を忘れない 忘れようとも思わない
でもそのことがぼくが幸福じゃないということにはならない」

「アッシュを忘れて幸せになってほしい」と願うシンに対する英二の答えは、彼を忘れずに幸せになること。

「おれは…あんたのそばにいていいのかな…
アッシュのかわりにはなれないけど…」
「そりゃ彼のかわりはどこにもいないよ
君のかわりがいないのと同じさ」

これまでは罪悪感から英二のそばにいたシンですが、これからは本音で向かい合える本当の意味での親友として、お互いに寄り添える存在になるはずと感じました。
これから先、一緒に過ごすことがなくなっても、ずっと心で繋がりあえる親友であり続けるんだろうなと。



✧アッシュの死と向き合う英二

フィルムに閉じ込めていたアッシュの写真を現像しながら静かに涙を流す英二

シンに自分の気持ちを正直に話すことで、シンに対する後ろめたさを払拭し、自分自身にもアッシュの生と死について言い聞かせているような気がしました。

写真を映し出すシーンでは、1枚1枚、彼の「奇跡のような“生”」を思い出しながら、彼の死と向き合っているのかなと。



✧暁の悩み

「君も世界でただ1人の君だよ」

暁については、彼らが葛藤を乗り越える姿を見て、真っ直ぐに生きる勇気を得られていたらいいなと思いました。
ニューヨークに来て彼らの優しさに触れたことが、彼女にとっての“夜明け”になっていればいいなあ。

そして彼らにとっても、彼女の存在はきっとこれから先も2人とって特別であり続けると思うんです。
そこにいたのが暁だったから、彼女の真っ直ぐな健気さに触れて、2人は自然と正直な気持ちを語ることができたのかなと。

暁が最後シンに言っていたように、とびきりイイ女になってまた会いに来るはずなんですよ。
こういう明るい未来を想像させる終わり方、すごく素敵ですよね。泣



✧その他細かい好きポイント

第三者(シン)から見た英二とアッシュの関係性

暁に2人が恋人だったのか問われた時に「それ以上さ」「恋愛に似た感情は…あったのかもしれない」「魂の…奥深いところで結びついていたんだ」と答えたシン。
2人の関係性は、周りから見てもかなり特別なものであったことが知れて、個人的にとても嬉しい場面でした。

3年ぶりに再会した英二に「女の子らしくなったよ」と言われて不満げな表情を見せる暁

1回目読んだ時は全然気にならなかったんですが、読み直した時に「自分の性に悩んでるフラグこんなとこに立ってた!?」とハッとしました。
これ、するどい人だと、「この子はなんのためにニューヨークに来たんだろう…この表情には何かわけが?」とかなんとか考えながら読むんだろうな…すごいな…

根本は変わらない英二の優しさ

悩みを抱える暁をニューヨークに呼び寄せたり、捨て犬だったバディを見つけてあげたり(バディの存在もここのエピソードのフラグだったのか…くぅっ…)、彼の作品にも優しさが滲み出ていたり、
シンは英二を「すっかり変わっちまった」と言っていたけれど、根っこの部分は何も変わらない、アッシュが愛した英二なんだなというのが要所要所で伝わってきて…号泣

暁の名前

これは最激エモポイントですね。

英二はいつから「アッシュと同じ名前だ…」って気づいてたんでしょうか。気づいた時めっちゃぽかぽかしたんだろうなと思ってニコニコしちゃいました。

シンの名前

「罪」って言った時の2人の表情。ここもフラグだったんですね。罪を感じるシンと、それに気づいていた英二と。

シンの成長

中身は優しくて明るいかわいいシンのまんまなのに、見た目と頭脳が急成長しすぎてて(少年時代から年齢のわりにハイスペックではあったけど)ときめかないわけがないです。

特に体格が…英二を抱きしめた時の体格差が…好きすぎて…



✧最後に

1回目読んだ時、アッシュの死をうまく受け入れられなくて辛かったし、でもなんか2人のその後が幸せそうで安心したし、ラストもほほえましく終わって心はぽかぽかしてるし、悲しいのか嬉しいのかなんかよく分かんないぞ!?あれ!?何この謎感情!?!?!
…と思って、自分なりの感想を一つ一つまとめて、ごっちゃになった感情を一つ一つ整理して落ち着かせようと思ったのが、この記事を書くきっかけでした。

なんか、まだ書き足りないことや間違えていることがあるような気もするけど、私の足りない頭にしてはうまくまとめられたんじゃないかと。褒めてあげます。

3人が何について悩んでいるのか、それをどう乗り越えたのか、自分なりにまとめることでようやく理解し、私が感じた謎感情の理由がわかってスッキリしました。これでやっと安眠できます。

今後もまた安眠できないような謎感情とぶつかった時にこうやってまとめるかもしれません。楽しかったです。ありがとうございました。

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