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六枚道場感想 第六回

今回も投票しそびれてしまいましたが、読ませていただきました。ちょっと短めになりますが、感想を書いてみたいと思います。まずはグループCまで。(※単なる個人的感想で、自分はこう思ったという以上のものではありません。ご了承ください)

グループAはこちら

「祭りの声」

非常に不穏な内容ですが、行われていることから目が離せないのはよくわかります。自分の姿が見られていないなら特に。昔よく一緒にあそんだ優奈ちゃんとその子供と、おそらくは子供の父親。周りにはもっと人がいるけれど、主人公にはその三人しか見えておらず、私も目が離せなくなります。子供の父親が溺死とかするんじゃないかな、と思って。

「花痣病」

こんな病気だから仕方ない。そう思ってすべてを受け入れてきた主人公に、別の可能性があると示唆する人との出会いが訪れる。その瞬間、喝采を叫びました。人生は自分が切り拓くものであるはずというメッセージを受け取って、勇気づけられました。

「貧富の彼岸」

貧しいのはどっち? 富んでいるのはどっち? そんな問いかけを感じながら読みました。この問いかけはそのまま、幸せなのはどっち? 不幸せなのはどっち? という問いかけでもあります。さてどっちでしょう。私は、両者の中間がいちばん幸せですけれど。


グループBはこちら

「私家魔術 マイワールド、ユアハート」

視力や聴力が限られていても、世界が失われるわけではなく、新しい世界が開けることもあるのかもしれないと、ポジティブに受け取りました。他者に対しあなたの世界を見せてと貪欲に求める彼のような存在は、どんな世界も主体的に背負ったことのない人間には脅威でしかないでしょう。自分はこういう人間だ、とようやく誰はばからず言えるようになった。その感慨があふれていると感じました。

「評伝『少年カスパール氏』の注釈(の一部)」

注釈の一部しか現存しない原稿の体をとった作品で、編集者氏の子供が湯船につけてしまい判別できなくなったようです。しかし原稿なら書き直せるのでは?(つまりこの設定には無理がある)と思いながら読み、少年カスパール氏の「氏」が非常に気になっています。少年だけれども人々の尊敬を集めた人物なのでしょうか。それにしても、まるで古代思想の写本であるかのような注釈群。ぜひとも本文が読みたいところです。

「Kの脱糞」

体内で小宇宙を生成することに成功した人のお話。何がきっかけでそうなったのか気になりますね。研究者の皆様にはぜひ明らかにしていただきたいです! もしや新種の腸内細菌が見つかったりして?? ひょっとして宇宙細菌?? などと妄想は尽きることがないのでした。


グループCはこちら

「うしろ、うしろ!」

主人公が夢中になっていたもの(この場合はお笑い番組)に興味を失うのが成長の節目となっているようです。佐藤由美子という女子も絡んでくるのですが、彼女のことを一度は忘れても、縁は何度も復活します。ただ進展はしない。そして自分がすでに興味を失ったお笑いに今も夢中になっている(ように見える)母親が、いちいち痛いところを突いてくる。うしろ、うしろ、と言ってくれる人がいれば。ホントそれ、という感じで、過去を正しく振り返るのって難しいですよね。面白かったです。

「“Des Abends” op.12-1 」

シューマンの幻想小曲集12の1、夕べにの曲をモチーフにした作品。夕景を描いたものです。土手はたぶんあの土手ですね。私も学生時代、利用してました。ときには散策に、ときにはカップルの片割れとして。でも凄まれたことはなかったです(笑)YouTubeで聴きましたが微睡みの中にあるような、意識のたゆたうような曲でした。幻想小曲集ですし、事実ばかりではないのでしょうが、来し方を振り返り懐かしむようなノスタルジーも感じられ、私はとても好きな作品です。

「扉を開けるとロンドンなのだけど、そこまで話は進まない」

扉というのはあれですかね、最後のほうに出てくるトイレのドアかな。トイレが開くたびに冷蔵庫の中身とか、いろいろなものがえらいことになって仰天する主人公ですが、(ルイボスティーがほうじ茶になったのもそのせいですよね?)タイトルどおりロンドンにつながっているのなら、それを知ってどんな反応をするでしょう。これは続きがあると思ってよいのでしょうか。期待してます!


グループDからFは後ほど!


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