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見込み数字と経営目標の違い

先日、ある企業の取締役会に参加しました。今回の取締役会のテーマは来期の重点施策と売上・利益などの経営目標についてでした。
重点施策については、外部環境の変化や自社の強みをよく考えた内容でありスムーズに話が進みました。しかし売上・利益などの経営目標についてテーマが移り、映写された資料を見て驚きました。この企業は増収・増益で順調に業績が推移しており、重点施策の話を聞いていても成長の余地は十分あると感じていました。しかし、資料に映写された数字は売上は横ばい、利益は減益というものでした。

なぜこれまで順調に成長してきたのに、突然ブレーキがかかる目標なのか経営陣に尋ねると、「既存の大型案件で金額が減ることになっている」「新入社員が例年より沢山入る」という程度のものでした。例えば富士山が噴火しているなど本当にどうしようもない外部環境の変化や、ビジネスモデルを大きく変えるために戦略的な踊り場にするなどの理由であれば多少は納得できます。しかし、案件の減額や新入社員が多いことなど業績面でのネガティブ要素は毎年あるものです。
確かに話を聞いていると例年よりもネガティブな要素は多い気がしました。しかし、その要素を全て汲んで立てた数字目標は、年度の見込み数字であって経営目標ではありません。
経営目標は経営陣の意思のある数字でなくてはいけません。こういう世の中にするためにこういう会社を作りたい。そのためにどの程度の規模になる必要があり、どのようなペースで成長しなければいけない。そのような思いと現状を踏まえて経営目標を設定すべきです。

社員としては設定された経営目標を達成するために、現状では難しいと感じればどうすればできるのか一生懸命考え、工夫と努力をします。その繰り返しが結果として会社の地力を上げたり、イノベーションが起きたりするものです。
成り行きで達成できるような目標であれば、大した工夫も努力もせずに今まで通りに仕事をこなすだけです。そこに組織の成長はありません。

アメリカの有名な経営者であるジャック・ウェルチがGE社に導入し、高い成果をあげたことで注目を集めるようになった“ストレッチ目標”というものがあります。ストレッチ目標とは成り行きで簡単に達成できるものではなく、頑張らないと達成が難しい目標のことです。
運動でも勉強でも仕事でも負荷が掛かるのはキツイことです。しかし、その負荷を乗り越えてこそ成長があり、成果に繋がり喜びに変わります。

そういう意味でも経営目標は見込み数字ではなく、意思をもった数字にする必要があります。

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