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経済指標から世の中の動向を読み解く「景気ウオッチャー調査が大幅下落」

経営コンサルタントとしてお客様にアドバイスをする上で、世の中の動向を読み解くことが非常に重要です。毎月国内外の各省庁から発表されている経済指標を定点観測している視点から、直近の経済動向を読み解いていきます。

◆ 景気ウォッチャー調査(内閣府)
 内容:地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て、地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し、景気動向判断の基礎資料
 見方:DIが50であれば横ばい、それ以上なら景気は上向き、それ以下なら景気は下向きと判断。


 この景気ウォッチャー調査は小売店の店長や担当者、タクシー運転手など景気に敏感に反応する業種に携わっている方を対象にした調査なので、いち早く景況感を知ることができます。また調査が当月の25日から月末に掛けて実施され、翌月の上旬にリリースされるのでほぼリアルタイムな情報を得ることができる指標です。
4月8日に3月分の調査結果がリリースされましたが、驚愕の結果でした。

景気ウォッチャー(月次推移.2020.3)

 2月の27.4も驚きの数字でしたが、14.2というのは私も長年この指標を見てきましたが初めての数字です。調べて見ると東日本大震災直後の水準(2011年4月の23.9)や、リーマン・ショック後の水準(08年12月の19.0)を下回り、過去最悪の数字でした。新型コロナウイルスの感染拡大の影響がいかに大きいかが伺えます。

景気ウォッチャー(グラフ.2020.3)

 長期トレンドのグラフを見てもいかに急激に深く落ち込んでいるのかが分かりますね。

 調査時期が3月25日~月末にかけて実施されているはずですが、東京都の小池百合子知事は、都民に対して週末の不要不急の外出自粛を呼びかけたのが25日でした。緊急時代宣言が発令された4月7日以降もっと状況は悪化しており、4月の数字が更に大幅に悪化するのは間違いありません。

 今後の展望ですが、現在本当に業績が悪化しているのは観光業やイベント業、飲食業などの業種です。これは外出自粛に伴う影響で来客が減っているためです。しかし、この状況が続けば外出自粛で悪化する業種に限らず消費低迷や設備投資抑制の影響が、幅広い業種に広がることは間違いありません。また個人的に懸念しているのは、一連の自粛によっての倒産に加え、原油価格が下落していることでシェールオイル関連を中心にオイル産業の倒産が広がること。そしてそこから波及する金融危機です。世界の金融機関の中でも以前から経営難が噂されているドイツ銀行が破綻すればリーマンショックどころの影響では済まないはずです。

 とにかく今は未曽有のショックに備えて対策を打つべきでしょう。色々と批判の声も上がっていますが、ここは政府に頑張ってもらい経済対策を進めてもらいたいところです。

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