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厳しい現実 仕事が流れていかない人

厳しい話ですが、世の中には「人は、白黒つけたがったり、イライラしたり、他責にする人に仕事を依頼しない」という暗黙の風潮があります。私は、グローバルCS・人材基盤形成教育の講師コンサルタントとして、企業や学校、自治体と関わらせていただく中で、明確に気づいたことがあります。それは、前述の特徴があるコンサルタントには仕事が流れていかないということです。

独立直後、ある大手企業T社のグローバルCS教育と内製化のためのコンサルチームの一員だった時、クライアント側から聞かされた胸の内は、チーム責任者の仕事ぶりに垣間見られていた違和感でした。それを私の言葉でまとめると以下です。

・イライラ・感情的な言動を情熱的と誤認識している節
・白黒つけたがる言動をリーダーシップや知見と誤認識している節
・クライアント企業内の問題点に対する批判的な言動
・うまくいかない原因を他責にする言動(原因他人論) など

「こんな考え方の責任者には、なんとか気づかせるべきですね」
「今までの習慣がこの問題を引き起こしたのでしょうね」
「責任者がこのレベルでは、困りますね」
「社員様の低い自主性とCSマインドを高める必要があります」
「責任者が心を入れ替えないと、教育の効果は限定的でしょうね」

これらは事実かもしれませんが、言われたクライアント側の担当者さんは、「このコンサルタント、大丈夫だろうか・・・」と一気に顔が曇ります。「正論をぶつければ、組織や社員がオセロのように黒から白へ一気に変わると勘違いしているのではないか・・・?」「外部コンサルタントの情熱だけで組織改革ができると勘違いしているのではないか・・・?」と不安になり、「この人、本当に成果を出してきているのだろうか・・・」と実績に疑問を持ち始めます。

特徴としては、担当者さんが「それはそうなんですよね」とか「現実は」という言葉が出始めたら、担当者さんはコンサルタントに不安を抱き始めています。更に、「〇〇さんは今までどうやって成果を出してきたのですか」と改めて質問してきたら、コンサルタントの実績を疑い始めた時です。いずれの場合も、担当者さんは穏やかな笑顔です。その質問の真意を理解せず、情熱・勢い・正論で「こうすれば成果が出ます!」などと答えれば、話は白紙になるはずです。


独立して気づき、ドキッとしたことは、「世の中には、永遠に営業活動している教育会社と、信頼の連鎖で仕事を得ている教育会社がある」ということなんです。良質な研修は、良質な研修を見抜き必要性を理解しているクライアントたちが集っている層を行き来しています。そこは、信頼だけで成り立っている世界だったりします。宣伝費を掛けて教育紹介サイトなどに掲載していないかもしれません。

一方、クライアント組織の自立自走に貢献しきれていない教育は、「とりあえず目先の問題を何とかしてくれ!(本質はいいから)」というクライアントたちが集っている層を行き来しています。そこには、講師側が知的財産を出し惜しみする風潮と、「どこまでやってくれるの?」というクライアント側の依存心があったりします。

いずれも、需要と供給はピタリ一致しているので問題はありませんが、クッキリとした2つの層があったのです。教育業界に足を踏み入れ、この構図が見えたとき、私は身が引き締まりました。


今、自分自身がコンサルタントや講師に仕事を依頼するようになった私が、注意を払っているのは以下のようなことです。

・うまくいかない時、イライラするか、どっしり構えていられるタイプか
・見ず知らずの他人に対しての寄添い力がどこまで高いか
・原因を他者や環境のせいにする原因他人論か、原因自分論が染みついているタイプか
・言葉選びのクセ(他者の批判や否定があるか、他者許容力が高いか、前向きか)
・ビジョンの質(自分の願望で頭が一杯か、他者貢献意識があるか)
・教育は、人を変えることだと考えているか、人の価値と可能性を見ることだと考えているか
・自分の話が多いタイプか、人の話を多く引き出せるタイプか
・相手によって態度や信念が変わるタイプか、ビジョンに一貫性があるか

ここがクリアできていないと、独りよがりの仕事、非生産的な時間などが生まれてしまい、それは、チームメンバーの能力が発揮されにくい環境を築き、クライアントへの寄添いに不足が生じ、結果として、クライアントへの貢献度に影響しかねません。なので、とても大事なポイントだと学ばせてもらいました。

面接では私はフレンドリーに振舞い、相手の素を見せていただきます。話題に、「悪口、原因他人論、白黒ジャッジ、自己陶酔」傾向が見られたら、現時点では共に仕事をすることはできないと判断しています。ただし、人は成長していくので、それらの傾向に変化があれば、力を貸してもらうことはありますし、自分を振り返る機会をもらえることもあります。また、相手の第一印象や表情は多くを教えてくれますが、そこまで重視していません。目に見える部分は、いくらでも頑張れます。教育の質を左右するのは、内面的な部分です。


ANAでCAをしていた時は、自分の内面性には関係なく、ある程度は自動的に仕事を与えられてきました。でも、独立して、仕事や依頼がどのように世の中を循環しているのかを知ったとき、本物にならなければ生き残れないのか・・・と、自分のこれからの長い道のりを思い、愕然としました。でも、この長い道のりを乗り越え続けなければ、持続可能な発展を下支えする教育に携わることはできない。そして、持続可能な発展に繋がる教育しか選ばれなくなる世の中の流れは、急激に加速しています。更に加速させることが、教育業界が社会のためにできることなんです。

きっと、教育業界以外でも、このような循環はあるのでしょうね。


ちなみに、
イライラする人は、感受性が高い人かもしれません。
白黒つけたがる人は、信念と正義感が強い人かもしれません。
原因他人論の人は、問題点を見抜く力がある人かもしれません。
いずれも素晴らしい魅力です。だから、まちがっているということではありません。どこにいるかによって、求められる力が異なるということであり、役割というだけの話かなと思っています。


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