力のあるプロって、滅多にいない
二十代のころに、英語教室の夏のキャンプの撮影に同行したことがありました。群馬県の赤城山です。往復バイクで行き、帰りは雨だったのでとても怖い思いをしました。関越自動車道を、60kmとか80kmとかでゆっくりゆっくり走りました。周りの自動車には申し訳ないのですが、怖いんだから仕方ありません。わたし、走りやではないので運転には自信がないのです。子どもができてからバイクはやめてしまいましたが、やはり身ひとつで100kmとか、やはり怖いです。
キャンプが終わったあと、写真を公開したのですが、英語教室の先生方にとても喜ばれました。保護者の方から
「うちの子、こんな表情するんだ。よっぽど楽しかったんですね。話しきいてもなかなか話さないからわからなかったんですが、この写真みれば一目瞭然ですね」と。
わたしは24mmとかの広角で、被写体=モデルさん、つまり子どもの眼前に迫るのです。子どもたちに輪ができていたら、そのなかに入っていく感じ。
オリエンテーリングで、何かマークを見つけたら、そのかおの前にカメラを入れる感じです。
興奮してテンションが上がっているわけではないときだと
「近い、近い」とよく言われます。
いっぽうで、わが子が学校のお泊り行事などに参加してきたときの写真をめにすると、遠くのほうから横顔が写るくらいの写真ばっかりで、
「なんじゃこりゃ」
と、正直思います。
二十代のころ、ある保育園のクリスマス会を撮影させていただいたことがありました。
イベントの終了後にあるおとうさんがひとこと、
「きょうはカメラマンさんに全部持っていかれたな」
とつぶやきました。私は聞こえなかったような振りをして無反応でしたが、
心のなかではガッツポーズでした。
保育園なのでごくごく小さい子、泣き出しちゃう子もいるわけです。
集合写真を撮るためにはみんなにかおを上げてもらう必要があります。
1秒でいいんです。
私の声は大きくて、とおるので、そこはいいのですが、
おもしろいこと、たのしそうな声色をつかって、なんかおもしろそうだ、
という雰囲気をかもしださなければなりません。
そういった意味でも、その場を仕切ることができた。
それに対するあのお父さんの賞賛ではなかったか、と喜んでいます。
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