国連電子政府調査で14位ってなに
どんな仕組み?
国連の電子政府調査は、国連のDESAという組織が2年に一度行っている電子行政に関する調査です。日本は前回の2,018年の10位から順位を落として14位になりました。この調査は、調査票をもとに各国のネイティブスピーカーの人が実際のサイトを調査したり、各種統計を使ってポイントをつけていく方法で評価していきます。
大切なのは順位ではなく改善すること
この調査のポイントは順位ではありません。調査票の各質問に答える中で、各国は、評価指標に該当するサービスをどこまで実現できているか、できていない項目な何かを自己評価して、各項目について他国のデータとベンチマークしながら改善を図っていくことができます。よく、順位や点数を上げるために誇張した解答を作りたがる人がいますが、全く意味がありませんし、順位で一喜一憂するのも意味がありません。あくまでも継続的な改善のためのツールと捉えていく必要があります。
では、どうやって読めばよいの?
順位は関係ないといっても、日本の順位は6位から調査のたびに下がってきていますので、各国に対して相対的に低くなる問題点があることは否定できません。その原因は日本が後退しているわけではなく、各国が着々と改善を図っているということです。
表を見れば明らかなように、総合点であるEGDIを見ると、日本の評価点は2018年と2020年で殆ど変わっていません。一方、上位の国はサービスを向上させ、軒並み評価点を上げています。
メディアは、前回2018年の10位から圏外落ちのように面白おかしく取り上げます。しかし重要なのは、「最高レベルグループ(VH)」の14カ国にいるということです。ここの中にいるということは、「国際的に見て十分に先進的なサービスを実現している」と評価されているということです。1位と14位は差がありますが、11位以下はほとんど差がありません。
しかし、このまま改善しないでいると、次回には、「最高レベルグループ(VH)」から外れてしまう可能性があります。崖っぷちであることは認識する必要があります。
どこが評価されていて、どこがいまいちなのか?
この表にあるように、メインの評価はオンラインサービス(OSI)、人材(HCI)、技術環境(TII)になります。日本の特徴は、オンラインサービスは、そこそこのレベルで、技術環境が良くて、人材が低い評価になっていることです。この人材レベルを見ると、義務教育期の日本の評価が低いUNESCOの調査が使われており、実際にはもっと高いレベルにあると考えて良いと思います。
一方で、日本の評価が高いのは、メイン調査とともに並行して行われる市民参加評価(eParticipation)です。日本は東日本大震災以降の調査では常に5位以内に評価されており今年も4位の評価になっています。評価項目などを見ながら政府内の活動も改善を図っていますが、日本のCivicTechコミュニティの強さがこの評価につながっています。災害のたびに新たな活動がスタートし、既存の活動も強化され、それが地域活動や、教育、医療に広がっていくなど非常に良い循環を見せています。
今後に向けて
2022に向けての調査も始まりますが、このような国際的な評価指標もうまく活用しながら、より良いデジタル・ガバメントを構築していきたいものです。
また、事例紹介も重要になります。この調査レポートでは各国の事例も紹介するのですが、日本の事例は、いつも地味な事例が多いです。一方、国連と打ち合わせすると、いつも、「日本の事例は面白いなぁ」と言われます。今回の電子政府調査に関連したWebinarでも日本の取組みを発表し好評でした。
世界と知識や経験を共有し、客観的に評価しながら、デジタル・ガバメントを推進していくことが重要ですね
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