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沢田研二 70YEARS LIVE「OLD GUYS ROCK」

『終わり良ければ全て良し』 

その良しを決めるのは自分である。自分で決めたい。と言った、沢田研二ことジュリーの古希ツアーLIVE。 


2018.09.08  沢田研二 70YEARS LIVE「OLD GUYS ROCK」@奈良

アンコールは、キルトスタイルだった。

白い羽飾りがついた黒ハットに黒ジャケット。ふわりとひるがえる紫地に白ラインのタータン。股間の上には、銀色のなにかが眩しく光っていた。

  「この格好、してみたかったの」

キルトをひらめかせながら、齢70にして茶目っ気たっぷりのジュリー。
会場からは「可愛い~♡」の嬌声が飛びかう。

2018年7月6日の武道館を皮切りに、2019年1月まで全国60ヶ所以上で開催される「OLD GUYS ROCK」。古希ツアーにふさわしく、ラスト3日間も武道館だ。

セットリスト

カサブランカ・ダンディ
彼女はデリケート
お前なら
F.A.P.P
あなただけでいい
風は知らない
雨だれの挽歌
ISONOMIA
我が窮状
屋久島MAY
ロイヤル・ピーチ
核なき世界
グショグショワッショイ
A・C・B
マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
Dont be afraid to LOVE
ROCK'N ROLL MARCH
ヤマトより愛をこめて

1970~80年代のジュリーに心奪われ、ロイヤル・ストレート・フラッシュしか知らぬジュリー初心者には、最初とアンコールしか聞き覚えのない選曲。

古希ツアーで全国60ヶ所以上。最初と最後は武道館。にも関わらず、有名所を差し置いて新曲を並べるROCKなスタイル。実にタイトル通りの選曲だった。 

また、ROCKだったのは選曲だけではない。この古希ツアーは、ジュリーとギターの柴山和彦さんふたりだけで行われる、歌とギターだけの、ごまかしのきかないLIVEだった。

アンコールのMCで、古希ツアーについてジュリーが語ったこと。

このツアーは、構想12年。ですから、還暦になる前からやりたかったことでありまして。

もう、老人と呼ばれる歳でございます。終活、を考える歳でございます。

ですから、さいごは好きなことをやろう、好きなことをやっていこうと考えた時、好きなこととはなにか、を考えた訳であります。

歌うことは勿論でございます。そのまわりの表現において、たぶん、これは他人がしないだろう、選ばないだろうことをやろうと思いました。

楽器が多ければ、より深みが出るでしょう。しかし、それは皆様がしていることでございます。そうではなく、私は、私が頑張って、頑張らなければ出来ないことをやりたいと思いました。

私が、ギターを弾ければ、ひとりで行ったかもしれません。ですが、私には、人に聴かせるほどのギターの腕前がなかった訳でございます。
それは、思えば、幸いでありました。

そうして、好きな人とふたりだけで全国をまわりたい。それをエンドレスで続けていって、終わるときをさいごにしたい。そんな想いで、このツアーをはじめた訳であります。

「OLD GUYS ROCK」の名にふさわしい生き様、その一片を垣間見た。 

好きなものを好きなようにとは言ったが、決して好き勝手なだけではない。知らない曲でも聴き惚れる、70歳の声量とは思えぬ力強い歌声。

ラストの「ヤマトより愛をこめて」は、圧巻だった。 

ステージの真中に立つジュリー。
隣でギターを構えるカズさん。
ジュリーには影が落とされ、カズさんには蒼色が落とされる。 

皆でこぶしを振り上げるアップテンポな前曲「ROCK'N ROLL MARCH」から、瞬時に静まり返る会場。 

ギターだけではじまるイントロ。 
拍手さえおきない。 
誰ひとりの掛け声もなく、誰ひとりの振りもない。 

ただみていた。

きいていたのではない。ただみていた。
音楽さえみていた。

そんなヤマトだった。


ところで、アンコール時の衣装で銀色の股間あてだと思っていたものは「スポーラン」と呼ばれる小物入れらしく、大切な息子を守る防具ではなかった。

アンコール前の、紫エリマキトカゲばりのフリルがついた、上から下まで砕いたミラーボールを貼り付けた道化師の装いといい、衣装のPRETTYさは、歌唱と舞台のROCKを引き立たせていた。

1曲目に、昨年の50周年記念LIVEでは聞けなかった「カサブランカ・ダンディ」がきたのも男らしかった。 ボギーとジュリーに感謝を。


昨年の50周年記念LIVETweet


気と機が向きました際に、是非。