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読書の感想

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読んだ本の感想を書きます。
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#人生

「ある行旅死亡人の物語」―孤独死から解き明かされる身元不明の女性の半生と、自分の人生について考える時間

 ノンフィクション、「ある行旅死亡人の物語」を手に取りました。ある孤独死をした身元不明の女性の人生に焦点を当てたこの作品は、彼女が残したわずかな痕跡から、記者たちがどうやって彼女の身元と半生を解き明かしていったのかを描いています。興味をお持ちの方は、ネット上で公開されている原稿もご一読いただけます。  (無料で全文読めました)↓  警察も探偵も、彼女の身元を明らかに出来きませんでした。なぜなら、彼女は住民登録がされておらず、銀行の通帳を作成したときに残るはずの資料も何故かな

問いの力は人生を変える:「独学の地図」読書感想文

 「独学の地図」という本をAudibleで聴いた。家事をしながらで聴いているので、さ~っと内容が流れていってしまうのだけど😅、最も印象に残ったのは「問いには2つある」ということ。1つは「人から与えられた問い」。もう一つは、「自ら作る問い」。  これはどういうことかというと、本文中に分かりやすい例で書かれていた。例えば学校で先生から出される問題は与えられた問いになり、夏休みの自由研究は自ら立てる問いになる。  自ら立てる問いというのは、本当に大事だと思う。自分は何を知りたいの

作家の晩年と人生哲学を探る:「死をポケットに入れて」ブコウスキー読書感想

 作家、チャールズ・ブコウスキーの「死をポケットに入れて」を読んだ。  ブコウスキーが亡くなったのは1994年3月9日。この作品は、1991年8月28日から1993年2月27日までの間に書かれた33日分の彼の日記である。しかし、実際は日記というよりもエッセイのようだと訳者あとがきには書かれている。確かに読んでいると、書くことについてやこれまでの人生について振り返っていたり、短編小説を読んでいるような面白いエピソードもいくつか書かれている。  文庫本としては、薄い230ペー